ぽにろぐ

パート主婦/中2ゲーム男子の母/ 夢は家族みんなが幸せでお金に困らない生活を送れること/おキャンプ研究部所属。PTAには入らない派。学校徴収金研究室。

審査請求シリーズ〜審査請求書の書き方

こんにちは、ぽにこです。

 

わたしは主に学校のおカネ関係に疑問があり調べているのですが、そのために時には情報公開請求(開示請求)を利用します。比較したり、参考にするために、居住している自治体以外に請求をすることもあります。

開示請求をしていると、さまざまな理由をつけて開示しないということに出くわします。できるだけその都度、審査請求*1を行い、ちゃんと不服の意思を示すようにしています。

 

プンプン怒る Angryのイラスト

わたしが今まで経験した、情報公開請求の不開示決定に対して審査請求を行い、開示の裁決を得てきた「審査請求の理由」を共有していくための審査請求シリーズを書いていこうと思い、その第一弾として審査請求書の書き方です。

 

審査請求書の手続きそのものはとても簡単です。

書類を書いて郵送するだけでOK。封筒をポストに入れる(2種)のイラスト / Put the envelopes in the post (2 types) Illustration

「必ず記載しなければならないこと」を押さえつつ、期限を守りつつ、なんといっても大事なのは審査請求の理由です。

審査請求の理由については、次回以降に事例とともにシリーズ化を計画しています。

(遅筆と内容は置いといて・・)

 

わたしが審査請求を行った結果、今のところ、処分庁の裁決で開示に至った率は70%です。

30%は、審査会へ諮問に付されて審査待ちです(長いのコレが)。

 

情報公開請求は、請求する内容も、それを受けた処分理由もケースバイケースなので、この時はこう!と必ずしも定型で示すことができるものではないのですが、傾向や対抗のための例示、使える判例など、何か共通するものがあれば参考にすることができるかもしれません。

開示されないという情報公開の壁にぶつかった場合に使えそうな、ちょっとしたヒントやネタとなれば嬉しいですし、情報公開請求という権利を守り、育み、住民を守る強力なツールとなるよう、事例の共有が進んでいくといいなと思っています。

 

当ブログはアフリエイト広告を利用しています

審査請求の流れ

部分開示決定や不開示決定などの不利益処分を受け、その内容に不服がある場合、審査請求を行うことができます。

 

審査請求とは、開示請求を行った機関が下した処分に対して、不服申し立てを行うことです。

通常、審査請求は書面を作成し、郵送で送ります。

 

受理された審査請求*2は、まず

  1. 請求を認容し、処分取り消し又は変更をする
  2. 審査会へ諮問へ付す

かの判断がされます。

 

請求を認容し、処分取り消し又は変更をする

審査請求がなされた場合、審査庁が行政機関として、再度、公開すべきか否かを判断することになります。

次の場合には、審査会へ諮問せずに処分取り消しまたは変更をすることができます。

  • 審査請求期間を経過している場合、審査請求適格のない者からの審査請求の場合、審査請求に必要的記載事項が記載されていない場合など、審査請求を不適法として却下する場合
  • 審査請求の全部を認容し、審査請求にかかる行政文書の全部を公開する場合
  • 審査請求人から、情報公開審査会等への諮問を希望しない旨の申し出がされている場合

 

審査請求に理由がある場合(請求人の主張が正当で不開示決定が違法不当と認められる場合)には、審査庁は、裁決で「非公開決定」あるいは「部分公開決定」を取り消し、またはこれを変更することになります。

 

審査会へ諮問に付す

審査庁で認容判決がされず、審査会へ諮問へ付された場合、「諮問通知書」と、処分庁の主張がまとめられた「弁明書」が届きます。

諮問通知書



自治体により異なるようですが、私の住む自治体だと、審査請求を提出してから45日以内になされます。

弁明書送付書と弁明書

審査会へ諮問決定がなされたものは、答申を待ちますが、この期間がとーーーーっても長い。早いケースだと2ヶ月程度でされることもあるようですが(本当か?)、1年とか2年とかのレベル・・。

わたしの上記諮問は、早くて3年だそうです。審査請求の未処理が溜まりに溜まって、毎年300件〜500件ほど未処理のまま翌年に繰越されています。

公表されている未処理の件数と、1年に処理される件数から推定するに、15年くらいかかるんじゃないかって状況です(まさか!と思いたい泣)。杖のおばあさんのイラスト / Old lady with a cane Illustration

 

・・・では、他に方法はないのか?

となると、あとは提起です。訴訟を起こすしかありません。

情報公開請求は、不服申し立て(審査請求)を経ずとも提起することができます。

 

提起にも期限があり、不開示決定通知を知ってから6ヶ月※以内*3で、審査請求をしていれば、それに対する結論が出てから提起の期限が起算されるそうなので*4、審査請求を出しておいてから、審査請求の答申を待つか、訴訟を起こすか、多少はゆっくり考えることができます。

※情報公開条例は自治体により違いがあるため、当該自治体の情報公開条例や決定通知書をよく確認するようにしてください。

 

審査請求書に書かなければならないもの

審査請求書の様式は決まっていませんが、必ず記載しなければならない項目があります。

書類の雛形をHPに出している自治体もあります*5(非常に少ないです)。

自治体がひな形等出していない場合は、特に定めがない(要件さえ備えていれば問題としないない)ということがほとんどなので、心配な場合は問い合わせをして確認すれば良いし、気にしないのであれば、下記の要件を押さえて作成します。

 

行政不服審査法の第19条の「審査請求書の提出」では、

行政不服審査法 | e-Gov法令検索

  • 審査請求人の氏名又は名称及び住所又は居所
  • 審査請求に係る処分の内容
  • 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
  • 審査請求の趣旨及び理由
  • 処分庁の教示の有無及びその内容
  • 審査請求の年月日

記載しなければならないものとして定めています。

 

基本的に上記を押さえておけば問題ないはずですが、自治体によっては押印や年齢の記載*6を求めているところもあるようです。

審査請求を提出する場合は、提出する自治体に確認しておけば、余計な手間がかからずに済むかもしれません。

 

審査請求書のひな形

上記、記載しなければならないものを踏まえて、文書を作ると、こんな感じになります。

審査請求書

●や黄色でマーカーした部分を、それぞれの請求内容などに応じて書き換えてください。中身については次で説明します。

 

☆ワードで作ったものをGoogleにあげたので、どうぞ↓☆

審査請求書ひながた.docx - Google ドキュメント

 

審査請求書の書き方

審査請求をする「公文書部分公開決定通知書」や「公文書不開示決定通知書」を確認しながら書き入れていきます。

不開示決定通知書

審査請求書の日付

日付は、文書を書き上げた日付でも、ポストに投函する日付でもOKです。

ただし、審査請求の受付期間内*7です。

ちなみに、郵送の期間を考えると、到着は請求期間のギリギリになってしまいそうな場合もあるかと思いますが、行政不服審査法では、郵送の日数は含まず発送日が提出日とされます*8ので、消印が押される日が発送日=提出日とされます。

せっかく書いたのに期日経過で却下になったらもったいないから早めにね!

 

審査請求が期限内になされていない、または必要事項の記載がない等、形式的要件を満たしていない場合には、情報公開審査会等への諮問をせずに却下することができます。

(審理手続を経ないでする却下裁決)
第二十四条 前条の場合において、審査請求人が同条の期間内に不備を補正しないときは、審査庁は、次節に規定する審理手続を経ないで、第四十五条第一項又は第四十九条第一項の規定に基づき、裁決で、当該審査請求を却下することができる。
 審査請求が不適法であって補正することができないことが明らかなときも、前項と同様とする。

なお、審査請求の内容に不備があっても、補正といって行政側が請求人に対して請求文書を特定するための確認をしたり修正を求めたりすることができます*9。補正もなく直ちに却下されるようなことはまずないかと思いますが、そういう制度があるということは知っておいて損はないです。

 

これは情報公開請求時も同じで、補正もなく不開示決定されて、請求人の請求内容が不明確であるなどと理由付けしてくるような場合や、鼻から確認する気などないような場合にも一言、言うことができます。

補正をすることが可能であるにも関わらず、怠ったわけだからね

出し渋りには、こちらの落ち度は棚に上げてチクリと言ってあげましょう。

宛先

公文書の「部分開示決定書」「不開示決定書」の下欄にある、審査請求の申し立てを行う相手方を記載します。

審査請求の宛先

決定通知書の下欄には、「〜の翌日から起算して3ヶ月以内に、●●に対して審査請求をすることができます」のような記載があります。

審査請求は、処分庁の最上級行政庁に対して行うので、この●●には、通常、都道府県知事や市町村長と記載するのですが、独立した行政機関である教育委員会は、上級行政庁がないため、教育委員会*10に対して行うことになります。

行政不服審査違法4条4号 行政不服審査法 | e-Gov法令検索

(審査請求をすべき行政庁)

第四条 審査請求は、法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める行政庁に対してするものとする

一 処分庁等(処分をした行政庁(以下「処分庁」という。)又は不作為に係る行政庁(以下「不作為庁」という。)をいう。以下同じ。)に上級行政庁がない場合又は処分庁等が主任の大臣若しくは宮内庁長官若しくは内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項若しくは第二項若しくは国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する庁の長である場合 当該処分庁等

二 宮内庁長官又は内閣府設置法第四十九条第一項若しくは第二項若しくは国家行政組織法第三条第二項に規定する庁の長が処分庁等の上級行政庁である場合 宮内庁長官又は当該庁の長

 主任の大臣が処分庁等の上級行政庁である場合(前二号に掲げる場合を除く。) 当該主任の大臣

 前三号に掲げる場合以外の場合 当該処分庁等の最上級行政庁

教育委員会が決定した処分に対する不服を教育委員会に申し立てるんだ〜

そうなの。処分を下したところが、また審査するの・・(納得いかない)

 

ちなみに、学校関連は当然、教育委員会が所管で、開示請求も審査請求も教育委員会あてになるのですが、審査請求書の宛名は教育委員会、封筒の宛名は情報公開請求の担当部署に送るという、ささやかな抵抗(大した効果はないが、教育委員会よりよっぽど信用できる。補正があればそこでスムーズに行ってくれる。)を毎回してます。

 

いやらしい笑顔のイラスト / obscene smile Illustration

通常、審査請求が届いた場合には、市の担当部署(総務系)と審査庁(処分庁の上級庁)で直ちに相互に連絡を取り合い手続きを進めることになっているはずなので、どちらに送っても問題ありません。

 

審査請求人の氏名・住所・電話番号

審査請求人である自身の氏名・住所・電話番号です。

自治体によっては、押印が必要なところがあったり、生年月日・年齢の記載が必要としているところもあります。

法律上、押印や年齢は、記載を定められていることではないので、わたしは今まで特に問題になったことはないのですが、行政はなるべく受け付けたくないというお気持ちを醸し出してくるので、規定があるようであれば※、従っておくことが無難かもしれません。

自治体のHPはよく確認して、心配なら電話して確認。でもたぶん大丈夫。

 

審査請求に係る処分の表示(内容)

受けた処分の内容を記載します。

「処分庁が、令和●年●月●日付け●●市●●第●●●号で、審査請求人に対して行なった公文書の部分公開決定処分」

 

手元にある決定通知書の右上にある日付、文書番号を記載します。

ちなみに、手書きで記入されてる日付は、文書を受け取った日をわたしがメモ書きしたものです。(21日に見えるかもしれないけど27日←どうでもいい)

 

審査請求に係る処分があったことを知った年月日

審査請求に係る処分があったことを知った年月日なので、文書を受け取った日付(到着した日付)になります。よって、文書の決定日とは異なります

わたしはいくつか同時並行で請求していたりするので、受け取った日付はメモするようにしています。

忘れてしまったような場合、通常、郵便が配達されると推定可能な、発行日から土日含めず2〜3日後でオケです。

 

審査請求の趣旨

ひな形どおりであれば、

「上記2記載の処分を取り消し、「本件公文書の公開をする。」との決定を求めます。」

と記載します。

要は審査請求で何を求めているのかを簡潔に書けば良いです。

 

ここは特にこだわらなくて大丈夫だと思いますが、過去に自分が作った審査請求書を振り返ってみると、

「1のうち、「事故報告書」の一部不開示の処分の取り消し、「●●」の不開示決定の処分を取消し、対象文書の一部を開示するよう求めます。」

と書いているものもありました。

この審査請求は、私から見ても明らかに一部に不開示情報が含まれているもので、そこ以外の開示を求めるものであったため、上記のような表現にしたのですが、意味があったかどうかは分かりません。

ちなみに、コピペで明らかな誤記をしたものも通ってますww(気づいてない?)

 

具体的な内容は、次の審査請求の理由欄に記載します。

 

審査請求の理由

ここがメインディッシュです。

受けた処分のどこが違法不当であり、その根拠や判例などを引用してこちらの言い分を主張します。

この審査請求シリーズで、ここの主張について記録を共有することにより、より多くの人が審査請求を少しでも簡単に行使できるようになることが目標です。

 

当記事に入れるとムチャ長い記事になってしまいますので次回以降です。

いろんな不開示パターン、請求書の理由欄その他、審査請求がらみのネタが増えていくごとにリンク貼っていきます。

↓↓↓

*審査請求シリーズ

☆PTA等の外郭団体にまつわる資料請求に↓

審査請求シリーズ〜(PTA等保有文書)作成及び取得していないため保有していない - ぽにろぐ

☆当初何の団体かわからなかったやつ↓

審査請求シリーズ〜(教職員加入団体文書)作成及び取得していないため保有していない - ぽにろぐ

☆請求した文書と、開示された文書に相違があったパターン↓

審査請求シリーズ〜開示されるはずの文書名が決定通知にない? - ぽにろぐ

☆審査請求出したら「開示するから取り下げて」と言ってきたやつ↓

審査請求シリーズ〜開示決定するんだから審査請求を取り下げろ? - ぽにろぐ

☆PTA等の入会に関する文書がないのは保護法に照らすとおかしいね?ってか、PTAの会計等の事務は学校の事務じゃないっしょ?ってことをあぶり出す請求↓

審査請求シリーズ〜PTA等の入会に関する文書がない?/個人情報保護法 - ぽにろぐ

 

非公開決定等が訴訟で争われた場合、対象となった文書や情報が非公開事由に該当するかどうかの主張・立証責任については、実施機関の側にあるという判例があります(大阪府水道事件。最判平成6年2月8日民集48巻2号255頁)。

大阪府水道事件/最高裁判例/裁判例検索

(P.4)

4 そうすると、本件文書を公開することにより右のようなおそれがあるというためには、上告人の側で、当該懇談会等が企画調整等事務又は交渉等事務に当たり、しかもそれが事業の施行のために必要な事項についての関係者との内密な協議を目的として行われたものであり、かつ、本件文書に記録された情報について、その記録内容自体から、あるいは他の関連情報と照合することにより、懇談会等の相手方等が了知される可能性があることを主張、立証する必要があるのであって、上告人において、右に示した各点についての判断を可館(まま)とする程度に具体的事実を主張、立証しない限り、本件文書の公開による前記のような恐れがあると断ずることはできない筋合いである。ところが、本件において、上告人は、右の各点において具体的に主張するところがない。

 

わたしはこの判例を審査請求の理由の最後に締めで付け加えています。

なお、判例によると、非公開決定が訴訟で争われた場合、非公開事由に該当するとする立証責任は実施機関の側にあるとされています(大阪府水道事件。最判平成6年2月8日民集48巻2号255頁)。

役所は何かとおそれ、おそれ言ってくるの!

○○のおそれが〜!△△のおそれが〜!

ぎゃ!出た!この妖怪おそれ野郎!

 

処分庁の教示の有無および内容

決定通知書の下欄にある文章が「教示(きょうじ)」と言われるものです。

不服申立てをすべき行政庁等の教示)

第八十二条 行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立て(以下この条において「不服申立て」と総称する。)をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。

 (略)

 (略)

この教示の有無および内容は、ピンクで囲った部分をそのまま引用して記載します。

5 教育委員会による教示の有無及びその内容

「この決定に不服がある場合には、この決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、●●市教育委員会に対して審査請求をすることができます。」との教示がありました。

添付書類

根拠資料となるような添付したい資料があれば、ここにその書類がわかるように記載します。コレといったものがあるのであれば、突きつけてやりましょう。

無くてもまったく問題ありません。

 

おわりに

情報公開請求は国民の権利です。

行政が持つ情報を開示することは、行政の義務です。

 

ところがですよ。

なんとまぁ、なんとかして開示しないでおこうとする行政機関の多いこと多いこと。

いとも簡単に、不開示にしてきます。

その度、「あー、むっちゃ軽視してんなー」って思います。

 

情報公開請求は、開示が原則です。

開示することは行政の義務です。 

行政機関の保有する情報の公開に関する法律

「行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない

 

情報公開条例は、各自治体で制定するため、上記情報公開法と解釈、運用等異なることがありますが、原則開示、開示義務は同じです。

繰り返しになりますが、原則開示、行政には開示義務があります。

その上で、例外的に不開示情報が定められているのです。

なのに、例外の拡大解釈多発中よ。

 

だから、なんやかんや理由をつけて安易に不開示にしてくる行政に対して、情報公開請求を行うことと同じくらい、審査請求を行うことも大事です。

特段の事情がない限り、決定通知が届いて、開示される文書がある場合はそれを確認次第、即刻審査請求出してます。バレーボールのイラスト Volleyball-A

 

私が行う開示請求なんて、本当に行政の機微にかかわるようなモノなんて、少ないです。

それでこんな状況なんて、本当に自分が困って、真実を知りたいと思った時に、開示されずに知ることも判断するための材料を得ることもできず、なす術なく絶望に陥る・・という状況も想像に難くなく、小さなことでも許しちゃいかんやつって思ってます。座って落ち込む人に声をかけるのイラスト / Talk to someone Illustration

役所の人も、ちゃんと理解していないまま、一部の文言を切り取って、都合のいいように解釈してることもあります。

だから、こっちが気合い入れて勉強しておけば、形勢逆転なんてこともおきます。

 

住民の知見が増え、事例の共有と経験が積み重なっていくことで、情報公開制度が鍛えられ、より充実し、住民の暮らしに資することを願っています。

 

まだまだ勉強中の身ですが、情報公開請求については色々と読み漁って勉強してます。今までのところ、「自治体職員のための情報公開事務ハンドブック/松村享」が読みやすくておススメです。

自治体職員が自治体職員に向けて書いているもので、バランスがよく、判例や例示も参考になります。

 

条例は自治体ごとに定めるため、自治体により異なります。

そのため、当該自治体の条例の読み込みは欠かせません。

 

どこの自治体もだいたい、条例の他に手引きを作成しています。

HPで公開していたり、こちらも開示請求で取り寄せることもできますので、ぜひ手引きのチェックも忘れずに。

 

ではでは。

ぽにこ

 

当記事には、【てがきですのβ】かわいい・ゆるい無料イラストさんのかわいくてゆるいイラストを利用させて頂きました(´∀`)ノ アリガトウ

 

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

*1:処分(開示・不開示の決定)を行った処分庁に対して不服を申し立てることができる制度

*2:審査請求の要件を満たさない場合、却下されることがあります

*3:かつ決定日から1年を経過すると処分の取り消しの訴えを提起することができなくなる

*4:つまり、審査請求の結果を知った日の翌日から6ヶ月以内、と計算される

*5:

開示決定等に不服があるとき(審査請求) 横浜市

*6:年齢の記載は行政不服審査法の改正により要件ではなくなっています。

*7:通常は不開示決定があったことを知った日の翌日から3ヶ月以内。自治体によるので要確認。

*8:行政不服審査法第18条第3項

*9:行政不服審査法では第23条で補正すべきことを命じなければならないとしています。

*10:教育委員会の総務課が審査庁になることが一般的

学校徴収金、保護者負担軽減に向けての動き

こんにちは、ぽにこです。

 

かねてからPTA問題をきっかけに、自治体の学校徴収金について調べたり、それを元に質問や働きかけをしてきましたが、ここへきて大きく動きそうです。

 

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

当ブログはアフリエイト広告を利用しています

 

学校徴収金検討委員会の設置と指針作成

市の教育委員会が、学校徴収金についての検討委員会を設置し、(たったの)3回の会議を経て、現在、その報告と新たな指針を作成しています。

 

この記事を書いている時点で、その詳細は明らかになっていませんが、教育委員会によると学校が徴収する教材費等だけではなく、各自が購入するなどして準備し持参する類のもの、PTA等の会費等の保護者が負担しているものまで広く検討の対象としているとのことです。

 

この検討には、過去に私が提出した資料も参考にしてくれているとのことで、夜な夜な作った甲斐があるというものです。

 

この検討会議と指針の作成を経て、予算化に向けた取り組みが本格化するというお話でした。

 

教育委員会に提出してきた資料

情報公開請求を利用して集めた資料や、子どもの通う学校での実体験を元に、いくつかの資料を作成し、教育委員会に提出してきました。

また、今年、公立小中学校の教材費等をテーマにする議員さんが当選しましたので、そちらにも情報提供をしてきました。

 

今まで提出してきた資料は、

  • 市内中学校全ての学校徴収金の実態調査結果
  • 市内小学校の学校徴収金の実態調査結果
  • 学校徴収金以外で保護者が実際に負担しているもの(制服や指定物品等)と金額各校一覧とまとめ
  • 学校徴収金その他保護者負担についての法的な問題点のまとめ
  • PTAや後援会等の問題点のまとめ
  • 進路費(中学校)の使途や処理方法についての問題点のまとめ

です。

 

教育委員会が作成している「学校徴収金取扱要綱」や「学校徴収金マニュアル」も情報公開により取り寄せてありますので、それらとの矛盾点や疑問点も合わせて記載しています。

 

それでもまだまだ心配は尽きないw

教育委員会が、保護者負担の実態に合わせて保護者負担の軽減に向け動き始めたことは、とても喜ばしいことです。

しかし、懸念点もいくつかあり、「よし、これでOK!」とは行かなそうだなと思っています。

 

まず、検討委員会の構成メンバーが、市内校長会会長や教職員代表等の行政側がほとんどを占め、保護者は市のPTA連絡協議会の代表一人です。

THE 官製!

設置者負担をさておき私費負担を求めることが当然のように現場に染み渡ってるんだよ。そんな彼らが出す指針とは・・。

 

会議は3回だけという少なさもありますが、官製の検討委員会で急ごしらえ、その設置や検討を始めるといったことが、そのテーマの主たる負担者である保護者やPTAに対してなんらアナウンスされていません。

議会では答弁されているので、そちらをウォッチされている方であれば、多少は知りうることではありますが、そんな方は極一部でしょうし、保護者が負担するカネは事実上、行政が決めている証左とも言えます。

 

とはいえ、実際に予算が絡んできますので、急ぐことを優先したというのもあるのでしょうし、第一段階として、保護者負担を軽減する行政の姿勢のメッセージとして、許容しつつ、これでお終いとならないよう、引き続き注視していく必要があります。

 

これからの課題としてほしいもの

私個人としては、義務教育は無償であること、その実現に向けて国も国民も努力をすべきこと、学校運営にかかる費用は設置者負担であることを大前提として、その前段階として公会計化を求めています。

そして、公会計化にあたり、

  1. 学校徴収金等の保護者負担分の見直し、整理
  2. 義務教育は無償・設置者負担の原則と徴収金の相反についての整理
  3. 教育行政における法律による行政の原理の具現化
  4. 教育行政における財政民主主義化の推進

あたりが、多少順番の前後があったとしても、自治体自らが向き合わなければならない課題として欲しいものたちです。

 

が、実態はなかなか難しいんでしょうね。

いつも形式上や体裁上で、今回の学校徴収金検討委員会も官製です。

ぶっちゃけ、保護者の様々な意見を受け止めきれないから?

それはあると思うけど、だから内々だけで良いとはならないよね。

とはいえ、今までのような「学校お任せコース」で、教委は裁量の名の下にただ追認するだけ、足りない予算で学校は保護者や教職員に転嫁するしかないような構造、ようやく関係者の目が向いて、解決しなければならない課題としたことや、予算化に向けた動きは評価できます。

 

つぎに、義務教育無償性との相反性です。

憲法では義務教育は無償ですし、設置者負担の法律はありますが、教材費等を保護者から徴収する法律はありません。

その上で、自治体はどのように解釈し、運用していくのかってところです。

 

もし義務を課すというなら、議会を経由して条例で定めなければなならない、となりますけど、

地方自治法

第三章 条例及び規則

第十四条 普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。

普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。

③ (略)

第十五条 普通地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができる。

② (略)

現行のように、教材費等は保護者が校長に購入を委任する契約という体裁をとって、少なくとも内部向けの取り扱い規則の制定はすることになるんでしょうかね。

条例にせよ規則にせよ、「法令に違反しない限りにおいて」ですから、上位法令に違反しないことが前提となります。

さてさて、どう折り合いをつけるのか。説明もキチッとしていただかないと。

もちろん、「税外負担禁止条例」や「義務教育完全無償条例」作ってくれてもええんやで〜

それなら法令に反しないね!

反しないね〜

 

実際、先行して公会計化をしている自治体では、規則の制定にとどまっているようです。

ある自治体関係者に聞いたところ、「実際はそこまで検討した訳ではない*1というのが本当のところなんですが・・、義務を課すものではないから条例にはせず、でもやはり内部的な規則は必要だろうと規則の制定は行なった。」とのことでした。

 

しかし実際は、双方の自由意志による契約であるということは敢えて説明せず、ご理解ご協力をひたすら唱えるだけで、住民側からすれば義務を課されているのと変わらないですから、行政の都合の良い苦しい解釈だなぁと思いますし、あくまで住民の信託と理解の元に実施しているという体裁を守るのに必死です。(信託した覚えも、詳しく説明を受けた記憶もないけどね)

※ちなみに、公会計化された分の教材費等は費用徴収前に児童・生徒に配布されているようで、 保護者が支払をしていないことで直ちに児童生徒の授業に支障をきたすことはないとしています。学校は児童生徒の教育を受ける権利、機会均等を守り、自治体が自治体の債権として保護者に支払いを求めることになります。

憲法どおり無償にできれば要らない解釈だね。

そうなんだよね〜。予算がなければそうするしかない行政の苦しいところでもあるね。

どちらにせよ、重要な事項ですから、いずれ説明を求めることになりうる点です。

 

それから大事なのが、教育行政に行政の原理(法治主義)を浸透させることです。

学校は治外法権ってよく言われるよね

 

教材費等を市の予算に組み込まず、学校ごとに徴収・管理を行っていることは、私は地方自治法に反するのでは?と思っています。

学校の裁量の問題も、法の下の取り扱いの上で成り立たせるべきで、学校の一存や慣習で一律の保護者負担前提で実現される裁量には疑問を感じますし、校長に我が家の金銭の使途を決められたり、金銭の徴収権まで信託した覚えもありません。

 

これは学校徴収金の問題にとどまらない話で、これだけを許して他はちゃんとやれるなんてことはないと思っているからです。「それくらいはいいだろう」が、「どれくらいならマズイ」って、いい塩梅にコントロールして、それをどう担保します?

【法律による行政の原理】
法律に従い行動するのが行政活動の基本原則で、行政の活動を住民の代表者である議会により制定された法律に従わせることによって、公権力の恣意的な行使を防ぎ、住民の自由・権利の保護を図るという自由主義的な側面と、行政活動を法律によって統制することにより、民主的コントロールの下に置くという民主的側面を有するとされています。

ところが学校や教育委員会は、よく言えば独自性・裁量、悪く言えば独断・越権、といいましょうか、ここがとても曖昧な割りに広く裁量を認めるような感じで、やっぱり人ですから、やり過ぎたり、保身に走ったりしちゃうこともあるし、保護者の受け止めも様々だから、ズレもミゾも生じまくり。

何より、丁寧に説明してるかっていうとそうでもない。

何でもご理解、ご協力で
ゴリ押ししすぎや

 

学校という性質上、守備範囲広すぎるのと、なんとか対応しようと頑張る職員が多いと感じますが、どこかで歯止めをかけなければ、となればやはり法律に従うことが最良、となるんだと思います。

裁量の名の下に作られた独自ルールもトラブルのもと

きっと住民だけじゃなくて、教職員を守ることにもつながるよね〜

もちろん、校長先生をはじめ教職員の方々には一定の信頼のもと、子どもを預けて教育を受けさせていますけどね。

しかし、それでもなお、敢えて法に基づかない取り扱いをする、ということは、それなりの理由があるということなのでしょう。

 

あらためて、市の設置する学校で、実施する教育が市の事業であるなら、保護者から費用徴収をする教材費等も市の予算に編入して、曲がりなりにも民意を得た議会の議決を経て決定されるというのが、本来の筋であり、法に基づいた取り扱いだろうと思います。

(これはこれで不当な介入のおそれもないわけではないと思いますが、それについては住民としてしっかり監視していく必要があると思います。)

 

現状は、予算の土俵にも上がっていないんですから、必要な予算であるという認識もされず、その内容が妥当であるか、費用が過剰ではないか、なんて学校の極一部の人たちでしか検討されていない(検討すらしていないこともままある)状態ですからね。

同じ市内の学校で同じ教育活動なのに、こっちの学校では費用徴収して、こっちの学校では公費でやってるとか、公費で支出すべきことなのに私費負担求めていても、誰も何もわからない、言えないってことが起こるんです。これはもう、裁量どうのこうのの話ではなくて、関係者が理解しないまま密室でそれぞれ独断でやってるから起きてることです。(マニュアルの存在って一体・・・)

 

保護者負担の軽減といいつつ、保護者負担分を予算にも計上しない(から実態を知らない)、環境の変化があっても学校予算も増やさない状態で、裁量でなんとか解決できるわけないんです。

制服やワーク、材料とか、なんもかも着々と値上がりしてるんやで〜

毎年負担する保護者は変わるから、目に見えにくいところだね

それに、お金がないということは、どこかでお金をプールしようとか、流用しようとか、そういったことの動機付けにもなります。それでなくても、世の中裏金だらけですよ。この「私費」という構造上、すでにあるんでしょうけど。

 

それはさておき、保護者が負担している経費を把握していないということは、教育委員会自治体も、学校に必要な経費を補足できてないってことで、その努力を自分たちがする必要性も感じてなかったってことです。

地方財政法】

(予算の編成)

第三条 地方公共団体は、法令の定めるところに従い、且つ、合理的な基準によりその経費を算定し、これを予算に計上しなければならない。

地方公共団体は、あらゆる資料に基いて正確にその財源を捕そくし、且つ、経済の現実に即応してその収入を算定し、これを予算に計上しなければならない

 

今回は、1. の保護者負担の見直しと整理、という点で進んだと言えるかなと思います。その際に、実態と私が指摘した事項を見てくれているなら、そのおかしさについても、一応一度は立ち止まって考えてくれていると期待します。

今の時点でウチの自治体は公会計化をする予定があるとは聞いていないのですが、どちらにせよこの辺りの見直しは必要なことなので、ひとまずヨシとしますが、まだまだ課題はあります。

 

公会計化をしていないことによる法的なおかしさを、今後もいろんな人を巻き込みながら疑問を投げかけていくつもりです。

 

一方で県の教育委員会

公立学校が公会計化をしていないことについて、県の教育委員会にも投げかけています。市町村の小中学校に比べ、高校の学校徴収金の取扱額は桁が違います。

(県立高校の徴収金については、現在資料収集中、まとめ中ですが、この規模、処理方法で事故がおきないわけがないと感じてます。)

 

やり取りを始めて、もうかれこれ半年以上になりますが、県の教育委員会は、学校徴収金の取り扱いは教職員の職務であるとしながら、法的な矛盾について明瞭な回答がないまま、「文部科学省に聞いてみてはいかがでしょうか?」って言ってきました。

もうとっくに聞いてる!

総務省にも聞いてる!

 

すでに各省に聞いた上で県に問い合わせしていること、その内容をかいつまんでの説明をお伝えし、

  • 学校徴収金が地方公共団体の設置した学校の職務であるならば、地方公共団体の予算に編入せず学校で扱うことは、自治法210条の総計予算主義および同235条の4第2項に反する行為ではないか?
  • 学校徴収金を地方公共団体の予算に編入しないということは、その法的な効果を地方公共団体に属させないということであり、地方公共団体に法的効果が属さない契約や予算執行等は、自治法ならびに地方教育行の組織及び運営に関する法律により付与される権限についても範囲外になるのではないのか?(それなのにさも公務上の権限かのように振る舞ってるの、おかしくない?)

 

と、改めて疑問を投げかけると、

「今はお答えできない。いつ答えられるかも、お答えするかどうかも含めてお答えできない。」

だそうです。

大丈夫そ?

 

おわりに

他の自治体の教材費等の公会計化の話題は、三鷹市や町田市以降聞きませんが、今後増えていくだろうと思っています。

 

基本的に自治体は、給食に関しては「国のやるべきこと」と考えているところが多いようですが、今年は給食費無償化を導入する自治体、第三子や期間を限定して一部負担をして保護者の負担軽減を図る自治体が多く出ました。

学校給食費の無償化をめぐる主な動向

 

こんな話題↓もありましたが、どこ行っちゃったんですかね?今年ももう終わります。自民党も終わりなのかもしれませんが。

自民 茂木幹事長 給食費無償化盛り込む考え示す 党の論点整理 | NHK | 福島県

 

そんな中で、教材費の無償化をする自治体も出てきました。

小中学校の教材費「来年度から全学年で無償化」 海老名市長が表明 [神奈川県]:朝日新聞デジタル

同市では、入学時の費用負担が重い小1と中1に限り、2015年度から教材費を無償化していた。

無償化の予算は、今年度は約3700万円。今後、全学年に拡大すると年間1億5千万円程度が必要になると見込まれている。

この日の市議会定例会の一般質問で、倉橋正美市議に来年度からの無償化拡大の政治判断を繰り返し迫られ、内野市長は「そこまで言われれば、来年からやりましょう」と実施を約束した。

無償化拡大は11月の市長選で6選を果たした内野市長の今後4年間の公約の一つだ。この日の答弁では、今後も学校へのエアコン設置など費用がかかる事業が残っていることを挙げ、教材費無償化は段階的に実施する案も示したが、最終的に要求を受け入れた。

一方、学校給食の無償化は実施しないと改めて確認。国や県の動向を踏まえる考えを示した。

 

国の動向も見逃せませんが、目の前の自治体もしっかり見ていかないといけません。

さ、我が自治体は、どういう方向に向かうんでしょうね。

保護者が負担している教材費等はウチの自治体の予算のわずか0.3%。
給食費を入れても2%分です。
これは出せないんじゃなくて、出さないんですよ。

ある意味、自治体から住民へのメッセージだよね

 

私は、公会計化とそれに伴う周辺の整理は、行政職員や住民が学校徴収金や学校予算、義務教育そのものについて認識を醸成・共有する上で必須なプロセスと思っていて、それが、学校の抱える様々な問題の解決の一助になり、ひいては教職員の働く環境だったり、学校へ通う子どもや保護者の福祉*2、地域の安定に寄与するのでは、と考えています。

 

昭和39年2月26日の義務教育費負担請求事件判決から、60年。

文科省は、

義務教育は憲法の規定により無償でなければならない。したがって、義務教育は高校や大学のように授業料により受益者負担に転嫁することができず、原則として全ての経費を公費で賄わなければならない

としつつも、

児童生徒個人の用に共する教材については、義務教育無償の原則に触れるものではないと解されているため、必要な範囲で家計の負担を求めている。

としています。

 

しかし、後者はただ単に現状を記載しているに過ぎず、「義務教育無償の原則に触れるものではないと解されている」元と考えられる義務教育負担請求事件は、

憲法26条で国が義務教育は、これを無償とするという条文の無償の範囲は授業料とすることが相当である」

と解釈を示していますが、

もとより、憲法はすべての国民に対し、その保護する子女をして普通教育を受けさせることを義務として強制しているのであるから、国が保護者の教科書等の費用の負担についても、これをできるだけ軽減するよう配慮、努力することは望ましいところではあるが、それは国の財政等の事情を考慮して、立法政策の問題として解決すべき事柄であって、憲法の前記法条の規定するところではないというべきである

と続き、この後、教科書の無償給与が立法により実現します。

 

つまり、義務教育はやはり無償で、原則としてすべて公費で賄うものであって、費用負担の軽減等は立法によって解決すべきところ、教科書(昭和38年)以来、積極的に必要な措置を講じてこなかったってことなんだと思ってます。

いやむしろ、国やそれに追従する自治体は、義務教育無償を実現するための努力をせずに、そこに民意なんてなくて、

「義務教育の無償は授業料のみであって、その他の費用は受益者負担で保護者が支払うべき、それが当然の親のツトメである」

というプロパガンダを推し進めてきた、ということが実態に近いんじゃないですかね?

とても効果が出ていると思います。

立法趣旨やいろんな辻褄の合わなさを辿っていくと、そうとしか考えられないんだよね〜

学校教育の情報化の推進に関する法律はさすがに作ったね

 

とはいえ、2000年の地方分権改革以降、法の解釈権は自治体にある(それに対する責任も自治体にある)とされていますから、目の前の自治体には「どうなってる?」って正面きって聞けるわけです。今まで「国が」「県が」って言い逃れてきたことが、たとえ国や県の通知に従ったとしても、その判断と責任は自治体にあります。

自分たちの生活に直結する自治体に、「あなた方がどう解釈して、この問題をどう解決するのか聞いてます」って言えるんです。

 

ということで、私は私でまだちょっと気になることもありますし、外堀を埋めていくような作業をコツコツと進めていきます。

 

最近読んで面白かった本↓

参考になる事例がたくさん掲載されててワクワクしながら読みましたw ←変態

 

ではでは。

ぽにこ

 

 

ponikox.hatenablog.com

 

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

*1:この自治体は教職員の働き方改革の観点で公会計化したため、この点について深く検討されなかったとのこと。

*2:しあわせ。幸福。特に、(公的扶助による)生活の安定や充足。また、人々の幸福で安定した生活を公的に達成しようとすること。

PTA雇用職員ってなんだ?

こんにちは、ぽにこです。

 

今日は、「PTA雇用職員」について調べてみましたので共有です。

 

時々聞く「PTA雇用職員」。

当地にはそのような存在がないので、「PTAが雇用してるんだろうな〜」程度くらいの認識でした。

 

また、PTAの恨みつらみが流れるシーズンには、

「会費割増で出すからPTAやってくれる人雇いたい」

「雇用にも繋がるし」

なーんて声を聞くこともあります。

 

それらが具体的にどういうイメージで言っているのかはわかりませんが、「やめとけ」って毎年思ってます。

 

さて、PTAで雑務を引き受けてくれる人を雇うとは、どういうことなのか、現実にすでにあるPTA雇用職員とはどういうものなのか、探ってみました。

 

なお、今回調べたものは、ある地域の学校の例になりますので、それが全てのPTA雇用職員と同じであるとは限りません。

 

当ブログはアフリエイト広告を利用しています

[PR]

PTA雇用職員とは

PTA雇用職員とは、PTAが雇用し、PTAが給料を払い、PTAに関する事務を行う職員です。

名目上は。

 

その職務内容は、PTAにより様々かと思いますが、PTAに関する事務のほか、一部、市の職員の業務も職務範囲に入っているところもあります。

というより、きっちりPTA関連業務だけに専念ということはほぼないのでは?という印象。

 

PTA雇用職員を置くところは、大規模校であるなど、その事務が膨大であることが理由のようで、市や県の事務職員の他に、1〜2名のPTA雇用職員を置いているようでした。

 

今回、資料取り寄せ、質問等に対応していただいたところでは、学校事務の一部を担当することを条件に、市から、1校あたり約80万円の補助金が出ていました。

 

主な業務内容は、

PTA事務として「PTA事務局業務」「購買部関係業務」、学校事務として「校納金会計補助業務」「図書室関係補助業務」「印刷等学校の事務整理補助業務」「来客の接遇業務」「その他学校長・共闘および事務主任が指定した事務」その他、特に必要な業務が生じた場合は学校長の指示に従う

となっていましたが、主だった業務の指定はあるものの、なんでも、ってところですかね。

 

上記業務内容には「補助業務」とか書いてありますけど、

↑上記のように、お金の集金、管理は、PTA関連であろうと、学校事務であろうと、ほぼPTA雇用職員が受け持っているようでした。

同市の教育委員会議事録等を読むに、他の事務職員と同じ事務室で仕事をしている上、見た目には誰がPTA雇用職員であるかなんて外部には分かりませんので、名目上の業務だけということは難しいこともあるようです。

 

PTA雇用職員の職域は、冒頭に書いた「割り増しで会費を出す代わりにPTAの業務をやってもらう」のイメージとはちょっと違うかもしれませんね。

PTA雇用職員は、PTA業務受け持つ事務職員というというところが実態に近そうです。

 

※購買部というのは、生徒が使う鉛筆、ノートなどの学用品の販売や運動会の記念品を用意したりしているそうです。(この購買部も、ちょっと闇ありそう・・。)

 

PTAが行う雇用契約って?

一般的なPTAは、任意の団体で法人格を持ちません。

法人格を法律上付与されない任意団体*1の場合、契約を締結する等の権利・義務を持ち得ない*2ので、会の代表者が個人名義で契約をし、その法的効果は権利能力なき社団(人格なき社団)に属し、社団法人に準じて扱われるとされています。

 

ちなみに、権利能力なき社団(人格なき社団)とは、

  1. 共同の目的のために結集した人的結合体であって
  2. 団体としての組織を備え
  3. そこには多数決の原理が行われ
  4. 構成員の変更にもかかわらず、団体そのものが存続し
  5. その組織によって、代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体として主要な点が確定しているもの

とされています(最高裁昭和39年10月15・昭和35(オ)1029建物収去土地明渡請求*3

任意団体すべて=権利なき社団というわけじゃないよ。

一般的なPTAは該当しそうだね!

 

判例*4や学説の通説では、

権利能力なき社団の権利義務は構成員に総有的に帰属し、構成員各人は権利能力なき社団の債務についての有限責任を負う。

とされ、代表者が行った事務遂行目的のための法律行為の効力は、社団法人に準じて構成員とは独立した法主体として、総有的に(=全員で所有。個人に持分はない)団体のものとして、権利能力なき社団(PTA)に帰属し、権利能力なき社団(PTA)が債務超過に陥っても、その債務は組織の資産を限度として、それ以上に構成員に責任を及ぼさない(有限責任)としています。

上記判例も問題を含むとされていて明白でないと言われているね。

場合によっては、個人の責任とされる可能性もありうるし、逆に会長名義のPTA資産が会長の私事で差し押さえられたりする可能性も。

 

権利能力なき社団の扱いは問題がありながらも、一応は、PTA雇用職員とPTAの雇用契約は、契約の主体となりうるPTAの代表者である会長(自然人)が会を代表して、会長の名義で行います。

その雇用契約の効果は、PTAに帰属し、PTAは使用者としての責務を負うことになります。PTAに加入する以上、その責務も負うことになるわけで、当然に入会前に説明があってしかるべきで、その上でかつ入会の自由が担保されるべきと思うけど、実際はそうじゃないんでしょうね・・・

こんなこと気にしてるPTAの構成員はいなそうだね・・

 

PTA雇用職員の税金・社会保険

PTAが雇用主となった場合、使用者であるPTAにはさまざまな義務が発生します。

 

代表的で基礎的なものとして、

がありますが、PTA雇用職員についてはどうでしょうか。

 

法律により定められている、労働条件として明示しなければならないものとして、「労働契約期間」「就業場所、従事する業務」「始業、終業の時刻、休憩時間」「休日、休暇」「所定外労働の有無」「交代制、勤務をさせる場合の就業時転換について」「賃金の決定、計算、支払方法、賃金の締め切り、支払いの時期について」「退職について」があります。

契約書に記載して労働契約を交わすことが一般的です。

 

社会保険には、「労災保険」「雇用保険」「医療保険介護保険・年金」があります。

そのうち、「労災保険」と「雇用保険」は、1人でも従業員(パート・アルバイト含む)を雇っている雇用主には加入義務があります

医療保険介護保険・年金」については、従業員が5人以下の場合は適用事業所外となり、従業員の半分以上の同意があれば加入することはできますが、加入しない場合は、扶養者の保険に加入するか、個人で加入することになります。

 

PTAで雇用する場合、「労働保険」「雇用保険」は加入必須で、労災保険は、所轄の労働基準監督署雇用保険については、所轄の公共職業安定所ハローワーク)で所定の手続きが必要となります。

 

所得税*5・住民税*6は、本人に代わって徴収・納付する源泉徴収制度を利用するところが多いですが、今回調査したケースでは、本人納付ということでした。

本人納付の場合、所得税は税務署に、住民税は市町村に、確定申告を行ってそれぞれ納付することになります。

 

ちなみに、今回の調査ケースの場合、月額給与がおよそ10万円でしたので、それでざっくり計算してみると、

  • 労災保険・・・300円/月
  • 雇用保険・・・本人530円/月、雇用主901円/月
  • 所得税・・・12,500円/年
  • 住民税・・・31,500円/年※居住地により異なります

というところでしょうか。

※上2つ(労災保険雇用保険)は必須、下2つ(所得税・住民税)は、本人納付も可能。

 

労災保険等は経費にすることOKみたいよ。

 

PTA等の負担により雇用した職員ついての是正通知

PTA雇用職員は、雇用関係としては、(PTAを代表する)PTA会長と職員の間の契約で、給与や雇用保険もPTA会費から支払われています。

しかし実態は、PTA関係の事務を含んだ学校事務全般を行なっており、校長が採用に関与し、雇用職員を管理するのも校長というところもあるようで、雇用契約と給与の拠出だけがPTAというところも多いようです。

調査したケースでは、「PTA雇用職員補助金交付要綱」を全面改正し、条件付き(PTA雇用職員の時は対象外だった市の管轄事務も担当させる)で1校あたりおよそ80万円の補助金を出しており、併せて市の学校事務嘱託職員もPTA事務の一部を担うことができるとし、相互に協力できる体制を構築したようです。

それにより「仕事を頼みやすくなった」と校長やPTA会長から好評なんだそうです・・。

要は使い勝手がよくなったと・・

 

  • 地方財政法第27条の4】市町村は、法令の規定に基づき当該市町村の負担に属するものとされている経費で政令で定めるものについて、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。
  • 地方財政法施行令第52条】法第27条の4に規定する経費で政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
    ①市町村の職員の給与に要する経費
    ②市町村立の小学校、中学校及び義務教育学校の建物の維持及び修繕に要する経費

上記地方財政法は、学校関係の実質強制的な税外負担を問題視したため、禁止が明記されたという経緯があります。


今回のケースでは、体裁としてはPTAが雇用した職員ですが、補助金を拠出する条件として、学校事務について職域を広げた契約にしています。

市町村雇用ではなく、PTA雇用の建前をもって、PTA会費からその給与の支払いを可能とするのであれば、上記の法令の回避策とも受け取れますし、市の事務を行わせる代わりに補助金として拠出しているというところが、なんともグレー・・

じゃぁ、市で雇用すればいいというのも、建前では市の職員はPTA事務を勤務時間内にはできない*7ことになってますから。

PTAの事務はPTAがやるものだからね

ponikox.hatenablog.com

 

以下、学校給食職員の給与をPTAが支払っていた時代(今でもあるかも)、「公費負担に切り替えよ」という文部省からの通知です。

学校給食に従事する職員の定数確保および身分安定について(通知)

文部省体育局長から各都道府県知事・各都道府県教育委員会教育長あて

文体給第277号 昭和35.12.14

教育費に対する住民の税外負担の解消については、昭和三十五年十二月三日付文初財第四七一号文部事務次官通達をもって通知したように、地方財政法および同法施行令に改正規定が・・(中略)・・これに伴い、学校給食の運営に支障をきたさないよう下記の点に留意のうえ、学校給食に従事する職員(以下「学校給食調理員」という)の定数確保を図るよう管下の市町村をご指導願います。

市町村立学校の職員である学校給食調理員の給与の一部または全部をPTA等が負担している場合においては、すみやかにその負担を公費に切り替え、給与全額を市町村が支弁すること

現にPTA等に雇用され、市町村立学校の職員として発令されていない学校給食調理員については、可及的すみやかに市町村立学校の職員として発令するように務めること。

上記通達全文を見たい方は→国会図書館デジタル「教育委員会月報」教育費に対する税外負担の禁止について/西村勝己/P82 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/6034778

 

これ↑昭和35年
未だPTA雇用職員が健在とは・・

 

次は東京都。

私費雇用職員の取扱いについて

PTA等の私費会計による雇用職員を、本来、教職員が行う公務に従事させていることは妥当でない。したがつて、今後、これらの職員を公務に従事させることは勿論、新規に雇用し、もしくは、欠員の補充を行うことのないよう、教職員の職務分担等を検討し、改善の措置を講ずること。

私費負担の解消と学校運営の適正化について(東京都 昭和56年通知)

 

PTA雇用職員、PTAに関する業務に従事するのみならいざ知らず、補助金出して市の事務まで担務させるのは、ちょっと・・いやかなり苦しい。

そうせざるを得ない事務量が問題じゃない?

確かにね、集金関係だけでも本当にたくさんの種類扱ってるのよ。

 

【PTA雇用職員を置いている小中学校で扱っている集金例】

  • ある中学校・・・PTA会費、教育振興費、体育文化後援会費、部活動基金給食費、給食運営費、副教材等、購買部、事業部、就学支援金、災害共済保険等、卒業アルバム、修学旅行等、各種助成金
  • ある小学校・・・PTA会費、教育振興費、給食費、学級費、副教材費等、購買部、給食特別会計、運動会等寄付金会計、リサイクル会計、就学援助金、災害共済保険等、卒業アルバム、修学旅行等、各種助成金

 

PTA雇用職員の労働条件の紛争を機にPTAが解散した例

平成19年に、PTA雇用職員の労働条件に関する紛争がきっかけとなって、解散に至ったPTAがあります。

生徒数減少の中、PTA会計に占める職員の人件費の割合の高さ、今後の継続について、会員から懸念の声があったため検討を重ねた結果、雇用職員をパート化し、給与を335万→171万/年に減額する案がまとまり、当該職員に提案するも、妥結には至らず、平成19年3月末で雇用関係を終了とし、同年4月に職員がPTAを相手取り提訴、4月定期総会で訴訟対応策がまとまらず、5月臨時総会でPTA解散決議、解散というものです。

(雇用関係上の地位確認と給与支払い請求訴訟・福島地裁平成19年7月10日・賃金相当額の損害賠償および慰謝料支払い請求訴訟・福島地裁平成20年11月11日)

上記訴訟の内容がわかります↓

教育と法 第16回公立高校PTA・解散とPTA雇用職員の地位/星野豊(筑波大准教授)

 

この件は高校なので、中学校に比べれば会計の規模も大きいのですが、上記職員の給与335万円というのが、一般会計の平成18年度で45%、平成19年度には46%(見込み)を占めるとのことで、生徒数も1クラス(40人程度)単位で減っていたようなので、会員から懸念の声があがることは当然です。

 

一方で、生徒数減少による会計額の減少があるとはいえ、単年度契約を17年に渡り更新してきたこと、161万円減の提示、失業と、雇用関係の解消に違法性がなかったとしても、労働者の立場としてはとても深刻な問題です。

 

また、先に述べたように、一般的なPTAは法的には権利能力なき社団に該当するとされるので、損害賠償が発生しても、その債務は組織の資産を限度として、それ以上構成員に責任を及ぼさないとされていますが、本ケースは解散してその資産を会員に分配清算(つまりは団体としての資産をなくしてしまった)してしまい、解散前に起こされた訴訟は係属中であるから、社団としての清算責任は未了となり、清算人と認定された解散時の代表者である会長個人がその責を負う役目となったようです(損害賠償・慰謝料請求については、前会長も連帯して支払責任があるとされました)。

 

いずれにしても、人を雇うということは責任が生じます

そして、そもそもね、この職員をPTAが雇う必要があったのか?ですよ。

 

PTA雇用職員の着服事件は国賠法の対象となりうるのか?

PTA雇用職員の着服事件、今年ニュースになって記憶にあるのだけでも2件あります。

www.sanin-chuo.co.jp

 www.yomiuri.co.jp

 

ニュースになった後、どうなったかまでは分からないものも多いですが、都城市に関しては、市が賠償しているようです。

 

都城市は、「今回の事案は、学校の管理下で発生した事案であることから、市が設置した学校の校長が「都城市立小中学校準公金マニュアル」に基づく適切な管理(帳簿の作成および金庫内点検など)を怠った過失により損害を与えた相手方(保護者等)に対して、国家賠償法により、市が賠償を行うことも視野に、検討を進めております。」としており、6月23日には、市が被害を受けた保護者らに539万円の損害賠償金を支払うとし、2023年度一般会計補正予算案に盛り込み可決され、一部支払いも始まっています。

 

賠償の内訳は、必要のない納入金を徴収された保護者144人に対して約334万円、支払いが滞っていた納入業者に対し約168万円、購入費の一部を立て替えたPTAに約31万円ということですが、使途不明額自体が増えていますので、こちらも今後増えていく可能性もあります。

 

文科省は事故、事件が発生した場合の責任体制と賠償問題について以下の見解を公開しています。

(2)事故・事件等が生じた場合の責任体制と賠償問題(⇒国賠法との関係)

1.学校の教育活動として位置づける場合

国家賠償法上、ア:職務に関するもの、イ:故意又は過失、ウ:損害との直接的関連性の3つの要件に該当する場合には、対象となりうる。なお、「公権力の行使」については、判例上「広義」に捉えられており学校教育活動全般が当たると解されている。

国家賠償法第一条国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

2.学校の教育活動として位置づけない場合

職務に該当しないため国賠法の対象からは外れるが、民法上の賠償責任が生じる対象となりうる。

資料5 教員の職務について:文部科学省

学校の教育活動であるか、職務であるか、否かが、国賠法の対象となるか否かがわかれるポイントのようです。

「職務」は、「校務」のうち職員に与えられて果たすべき任務・担当する役割である(具体的には、児童生徒の教育のほか、教務、生徒指導又は会計等の事務、あるいは時間外勤務としての非常災害時における業務等がある。)。

 

国家賠償法

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

 

今回のケースの場合、

ア. 職務に関すること → 校長の管理

イ. 故意または過失 → 校長が管理を怠った

ウ. 損害との直接関連性 → イが原因となり住民・事業者に損害を与えた

と、今回、実際にことを起こしたPTA雇用職員ではなく、学校管理者である校長の管理過失を原因として、住民や事業者に損害が発生したということで、市が、税金(公金)を支出して賠償金にあてるということのようです。

 

現在のところ、使途不明金そのものが確定していないため、市が賠償を負う範囲がどこまでになるかはまだ分かりません。

市は起訴された元職員に対して賠償請求を行うことを検討しているとしています。

 

公立学校があらゆる名目で多額で多様な徴収を行なっており、当該地方公共団体の所有に属さない現金を所有し、公費によらない職員を雇い、管理も行き届かず、結果起きた着服事件に対して、市はどこまで責任を負うことができるのか。

 

そもそも校長はじめ、市は、地方自治法*8守ってないという前提が、軽視されているように感じます。

そして国の機関である文科省もその実態を認識していますね。

 

賠償請求をするための費用もまた税金から拠出されるとなると、法律に則った取り扱いをしていない当該自治体はじめ、その状況を認知していながら長い間放置してきた県、文科省の不作為により発生したとも言え、そのために必要が生じた公金支出の正当性すら、疑問を感じざるをえません。

 

以上のように、地方自治法に基づかない学校会計のありようは、問題を多くはらんでいます。これでは、PTA雇用職員を含み学校で働く教職員も、学校を信頼して(せざるを得なくて)お金を預ける住民(保護者)も制度の中で守られることもなく、都合よく費用と労力が搾取されていると言われても仕方のないことです。

 

おわりに

いやー・・・・・・・・。

 

学校の事務量が膨大なら、設置者が費用負担して責任もって雇用しろよって話ですよ。

学校運営に必要な経費なら、設置者が責任もって費用出せよって話ですよ。

 

強制的に集めないと成立が困難になるシステムの上に、人の雇用を立たせるなんて、怖すぎるし残酷。

 

判例をあげた公立高校の例だと、PTA一般会計の45%がPTA雇用職員の人件費ということでしたが、今回わたしが調査したケースでも、市の補助金を入れて46%。補助金がなかったら、64%です。会費自体も高めです。

生徒数が減れば当然会費収入も減るわけで、雇用職員のお給料は、会費収入に比例して増減するわけじゃない。集めた会費から雇用する側も収入が減れば人件費が負担になるのは当然だし、雇用される人も、生活や子どもの学費の足しにしたり何らか生活設計上の計画があるかもしれないし、なんだったら生活基盤そのものかもしれない。

 

権利能力なき社団は、その責任は不明瞭で曖昧すぎて、ひとたび問題が起きれば第三者にとっては不利益を受ける可能性が高く、それ故、取引相手としては不適とされています。実際に、PTA等が大きな取引や財産を所有するケースもあり、うまくいっているうちはまだいいかもしれませんが、その「うまくいっている」も、どういう裏側があるのか、支えている中身の不安定さ、この先の未来を想像すると・・持続可能?

 

PTAが担う事務が多すぎて職員を雇わなければならないということ、雇われる側の不安定さ、雇用者の責任、そもそも学校運営にかかる費用をPTA会費や保護者の集金からの拠出に頼っていることも、行政の怠慢、ひいては国の怠慢ですよ。

 

これも、

学校が、住民からお金を集金できてしまうから。

住民が負担しているお金が見えないから。

 

じゃぁ、どうしたらいい?

 

ではでは。

ぽにこ

 

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

[PR]

*1:他に組合もありますが、PTAには条件が当てはまりません。

*2:契約主体となれるのは、法人か自然人。

*3:

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/694/053694_hanrei.pdf

*4:最高裁昭和48年10月9日・民集27巻9号1129頁

*5:年収103万円を超えた場合、所得金額に適用される所得控除を差し引いた額が課税対象となり、所得税がかかります。 所得税額は課税所得金額に応じた税率(5%〜40%)を適用して計算します

*6:住民税は、単身世帯や控除対象配偶者、扶養親族の場合、年収が約100万円を超えると発生するのが一般的です。その金額は世帯数や自治体によって変動がありますが、93万~100万円を超えると住民税が発生します

*7:職務専念義務免除許可を受ければ可能。時間給の事務さんだったら、お給料出ないことになりますね。

*8:地方自治法第210条総計予算主義の原則、同法第235条の4現金及び有価証券の保管

学校徴収金の徴収は、校長には権限がなかった説!

当ブログはアフリエイト広告を利用しています

 

こんにちは、ぽにこです。

 

公立学校で集められる教材費や修学旅行などの学校で行われる集金(校納金)のお知らせは、「学校名+学校長名」で来てますか?

集金の内容によっては、校長名が担当者であったり、事務職員であったり、その連名ということもあるかもしれません。

 

集金袋のイラスト

 

子の学校は「学校名+校長名」でお知らせが来ます。

市内の小中学校、すべてそうです。

校長は学校の責任者であり、学校を代表する人なんだから、そんなもんだと思っていました。

そして、公的機関である学校で行われる集金は、その学校からお知らせが来て、公的な機関(学校)へ支払っているんだから、「払わなきゃいけないモノ」という感じの認識でした。

 

しかしですね、

どうも、何かが違うんですよ。

今日はいつもよりちょっと詳しく深掘ります。

 

 

[PR]

 

地方公共団体の長の所掌事務と権限の範囲

地方公共団体は、地方自治法第2条により「法人格を有する」とされます。

第二条 地方公共団体は、法人とする。

 

同法で、地方公共団体の長に、地方公共団体統括権、代表権、執行権等の重要な権限を独占させています。

第百四十七条

 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体統轄し、これを代表する

第百四十八条

 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体事務を管理し及びこれを執行する

第百四十九条

 普通地方公共団体の長は、概ね左に掲げる事務を担任する。

 普通地方公共団体の議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること。

 予算を調製し、及びこれを執行すること。

 地方税賦課徴収し、分担金、使用料、加入金又は手数料を徴収し、及び過料を科すること。

 決算普通地方公共団体議会の認定に付すること。

 会計を監督すること。

 財産を取得し、管理し、及び処分すること。

 公の施設を設置し、管理し、及び廃止すること。

 証書及び公文書類を保管すること。

 前各号に定めるものを除く外、当該普通地方公共団体の事務を執行すること。

長は地方公共団体という法人の代表者なんだね!

 

そして、それぞれの執行機関*1の所掌事務*2と権限の範囲を明確にして、地方公共団体の事務を手分けして受け持つこと(分掌)を法により定めています。

第百三十八条の三【執行機関組織の原則】 普通地方公共団体の執行機関の組織は、普通地方公共団体長の所轄の下に、それぞれ明確な範囲の所掌事務と権限を有する執行機関によつて、系統的にこれを構成しなければならない。

普通地方公共団体の執行機関は、普通地方公共団体の長の所轄の下に、執行機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない

普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の執行機関相互の間にその権限につき疑義が生じたときは、これを調整するように努めなければならない

地方自治法 | e-Gov法令検索

教育委員会地方公共団体の一つの執行機関だよ。

 

また、

第百五十三条【長の事務の委任・臨時代理】 

普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部をその補助機関である職員に委任し、又はこれに臨時に代理させることができる。

普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部をその管理に属する行政庁に委任することができる。

第百八十条の二 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部を、当該普通地方公共団体の委員会又は委員と協議して、普通地方公共団体委員会、委員会の委員長教育委員会にあつては、教育長)、委員若しくはこれらの執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員に委任し、又はこれらの執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員をして補助執行させることができる。ただし、政令で定める普通地方公共団体の委員会又は委員については、この限りでない。

と、法により、長の事務の一部を、委任または補助執行させることができるとしています。

また、教育委員会の所掌事務や権限は、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」によって定められています。

地方自治法憲法の規定を承けた基幹的な事項を定めた法律で、地教行法は教育行政に関して定められた法律だね。

 

さらに、予算執行機関と会計機関を分離するため、

第百六十八条【会計管理者】普通地方公共団体に会計管理者一人を置く。

会計管理者は、普通地方公共団体の長の補助機関である職員のうちから、普通地方公共団体の長が命ずる。

として、会計事務は、長の付属機関でありながら、長から独立して権限を行使する会計管理者(昔の出納帳や収入役)を置いています。会計管理者の事務についても、長はその事務の一部を出納員や会計職員として委任させることができます。

 

それぞれの執行機関は、各自の所掌事務について、法に基づき「委任規則」や「事案決定規定」なんかを定めて、権限の委任および委任された権限の行使の手続き等を明らかにして、日々の事務を執行しているわけです。

住んでる自治体の規則を調べたいときは、自治体HPの中の「例規集」や「法規集」を探してみて!

自治体によって名称いろいろで規則もたくさんあるよ

正直、見てもよく分かんないよね。( )書きが多くて読みにくいしねー

 

ちょっと長いのでまとめます。

*まとめ
地方公共団体は法人であり、 法律により、事務の範囲や権限が定められている
地方公共団体の重要な権限は長に集中している。
◎会計事務においては会計管理者が独立して権限を持つ。
◎それぞれの執行機関は、法に基づき所管する事務と権限を明確にし、事務を分担し執行している。
◎長は、その権限に属する事務を、その所管を担当する委員会等に、事務の一部を委任したり、協議によって補助執行をさせることができる。
◎長は、会計管理者の事務を、出納員やその他の会計職員に委任させることができる。

 

教育委員会の三大ナイ権限

教育委員会の所掌事務は、教育に関する幅広いものですが、実は、長から委任を受けない限り、持っていない権限があります。

 

地方教育行政の組織及び運営に関する法律」のよると、「自治体の長の職務権限」として、以下が定められています。

長の職務権限)

第二十二条 地方公共団体の長は、大綱の策定に関する事務のほか、次に掲げる教育に関する事務を管理し、及び執行する。

 大学に関すること。

 幼保連携型認定こども園に関すること。

 私立学校に関すること。

 教育財産を取得し、及び処分すること

 教育委員会の所掌に係る事項に関する契約を結ぶこと

 前号に掲げるもののほか、教育委員会の所掌に係る事項に関する予算を執行すること

地方教育行政の組織及び運営に関する法律|eーGov法令検索

 

つまり、教育委員会の公立学校に関係する三大ナイ権限は、

  • 教育財産の取得・処分をすること
  • 教育委員会の所掌に係る事項に関する契約をすること
  • 教育委員会の所掌にかかる事項に関する予算を執行すること

となり、長から委任を受けてはじめて、権限が教育委員会に委譲されます。

また、会計事務については、長の補助機関(他の執行機関は含まれない)である職員のうちから、出納員その他会計職員を長が任命するとなっており、独立した執行機関である教育庁に属する職員は、長の補助機関へ併任という形をとって、任命・委任しているようです。

 

長の様々な権限は、法律によって授権されており、法によって、わ・ざ・わ・ざ教育委員会の権限から切り離し、長に持たせているのです。

 

教育に係る財務事務が地方公共団体の長にある理由

なぜ、教育に係る財務事務の権限を、わざわざ法により長に持たせているかというと、

  • 団体財政の統一的な処理を可能とし、効率的な、均衡のとれた運営を図る
  • 地方公共団体の長の、教育についての財政面からの責務を明確にする

ための一つの方法として、平成11年の地方分権一括法を期に導入したとされています。

 

それ以前の旧法は、

教育行政の自主性を貫くため、教育財産の取得および処分に関すること、教育委員会の所掌に係る歳入歳出予算に関すること、教育事務のための契約に関すること、教育委員会の所掌に係る予算について支出を命令すること等、いわゆる財務事務をも、教育に関する限り、これを教育事務として教育委員会に担任させることとしていた(旧法49条(2)〔9〕〔10〕)。

なお、特記すべきことは、予算案、条例案についてのいわゆる二本建て制度を設けて、国における国会、裁判所および会計検査院並びに人事院におけると同じく(財政法19条、国公法13条4)、その独立性、自主性を保障しようとしたことである(旧法56〜58条の2、61〜63条)。

これらのことは、教育委員会の委員の公選制とともに、地方公共団体に執行機関として置かれる他の行政委員会には、例を見ないところであった。

【逐条解説】地方教育行政の組織及び運営に関する法律/木田宏著/第一法規

と、教育行政の自主性と安定性を図るため、一部を除き教育、学術、文化に対する事務全般(財務事務を含む)を教育委員会の権限に属させていました。

 

また、「このような教育委員会の権限は、一部の地方公共団体にあって、地方公共団体の長との間に、紛争を生じさせることとなったりしたため、教育委員会の権限、殊に二本建制度の再検討が早くから要望されてきたところである」とし、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって、「教育事務のうち、いわゆる財政事務に属する特定の権限は、これを地方公共団体の長の権限に移行するとともに、これらの財政事務について、教育委員会の意思の反映を図り、教育委員会を存置した趣旨の実現を期するものとされた」としています。

 

教育委員会の財政的基盤は地方公共団体の財政の一般の上に立っているから、地方公共団体の財政全般の合理的運営による発展なくしては、教育委員会の財政的基盤の真の確立はあり得ない、と書かれてるね。

教育財政が貧相なのや、保護者負担に事業の財源を求めているところ、他の部局の人が教育委員会は別モノと感じていることなんかもこの辺りにも根っこがありそうだね。

 

 

校長の権限はどこから来るのか?

では、具体的に、学校で集金することについて考えてみます。

 

学校で集金をするときは、一般的に、使用する教材や行事等で必要とする具体的な内容を決定し、保護者へ集金のお知らせをし、実際に集金するという流れになるかと思いますが、他に、教材納入業者等と契約をしたり、そのための相見積もりや入札を行ったり、取引のための銀行口座を開設したり、さまざまな事務が考えられます。

 

学校の集金にまつわる事務を、行政事務に当てはめてみると、

  1. 集金内容の決定・・・調製*3は長/議会へ提出は長/予算の決定は議会
  2. 銀行口座の開設・・・契約は長/口座名は地方公共団体/出納と管理は会計管理者
  3. 業者等との契約・・・契約は長
  4. 集金のお知らせ・・・納入の通知は長(減免も長の権限)
  5. 集金する・・・徴収は長/出納は会計管理者/領収書は会計管理者の名義
  6. 業者への支払い・・・支払命令は長/確認・支払は会計管理者/領収書は会計管理者あて
  7. 物品の受領・・・受領から交付における管理は会計管理者/管理権は長
  8. 督促・・・督促状の発行は長/収納は会計管理者
  9. 決算の報告・・・作成は会計管理者/議会に付すのは長/認定するのは議会

という感じですかね。※銀行利用の場合は、銀行の領収書でも可となってます。

 

冒頭の話に出た、「集金のお知らせ」は、その集金の目的の事業が地方自治法に基づく地方公共団体の事務であり行政活動であるならば、「地方公共団体の長の名前」で来るはずです。

 

資料からひとつひとつ拾ったから、細かいとこ違ったらごめんね(´人`)

要は、ひとつひとつの行政の行動には、ちゃんと権限者が決まってるってこと。

 

学校は独立した機関ではありませんので、校長は学校の責任者であり代表者であったとしても、当然に権限が発生するわけではありません。

その学校の設置者である地方公共団体が法人として権能を持ち、法により所管する事務や権限をそれぞれの執行機関に委ね、それぞれ権限を持つ者から、法に基づき委任を受けて職員は地方公共団体の事務を管理・執行することになります。

 

校長が保護者から集金し、それに伴う事務が、地方公共団体の事務だというのであれば、当然に、法に基づき、事務を行うに必要な権限の委任が行われて、その権限を行使しているということになるはずです。

しかし、そのためには、その行為により発生する法的な効果(権利・義務)を、地方公共団体に帰属させることが前提となります。

 

ところが学校が行う集金は、地方自治体の対象外

ところがですよ。

 

地方自治法では、

(総計予算主義の原則)

第二百十条 一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない。

としていますが、学校で行われる集金の多くは、歳入歳出予算に編入されていません。
給食費の公会計化は進んでおり、公会計化されているものは地方公共団体の歳入歳出予算に編入されています。
 
また、

(現金及び有価証券の保管)

第二百三十五条の四 普通地方公共団体の歳入歳出に属する現金(以下「歳計現金」という。)は、政令の定めるところにより、最も確実かつ有利な方法によりこれを保管しなければならない。

 債権の担保として徴するもののほか、普通地方公共団体の所有に属しない現金又は有価証券は、法律又は政令の規定によるのでなければ、これを保管することができない

とし、「債権の担保として徴するもののほか、地方公共団体の所有に属さない現金の保管」は法律または政令の規定によるものでなければ禁止されています。
 
  • 「最も確実かつ有利な方法」とは、金融機関に預金して安全に保管することを指す(※預金以外の方法としては証券会社からの買い現先が認められている。行政実例S57.7.20)
  • 「債権の担保として徴するもの」とは、指定金融機関の提供する担保(令168-2-3)、財産売払代金の延納に係る担保(令169-7-2)地方税の徴収等の猶予に伴う担保(地税法16)等が該当。
  • 地方公共団体の所有に属さない現金」の、属するか属しないかは、歳入歳出となるかならないかによって決められる。
  • 地方公共団体の所有に属しない」とは、現金については、普通地方公共団体の占有には属するが、その所有権自体は当該地方公共団体以外の者に属するという意味。
  • 普通地方公共団体の所有に属しない現金又は有価証券」は、入札保証金、契約補償金、公営住宅敷金、共済掛金、職員の給与にかかる源泉聴取所得税もしくは住民税としての現金、地方税法の規定による納付納入受託のため保管する有価証券または受託徴収金、未納地方税に係る差し押さえ物件公売代金、普通地方公共団体が債権者として債務者に属する権利を代位して行うことにより受領すべき現金または有価証券(令168-7-1)等がある。
  • 「法律または政令の規定」総務省令(地方自治法施行規則12条-5)では、「普通地方公共団体が債権者として債務者に属する権利を代位して行うことにより受領すべき現金又は有価証券」、「災害により被害を受けた者に対する見舞金に係る現金または有価証券」、「公立学校公立大学高等専門学校における奨学を目的とする寄附金を原資として交付された現金または有価証券」が規定されている。
  • 「法律または政令の規定によるのでなければ」とは、権原*4が、法律又は政令に根拠を有すること、保管手続きが法律又は政令に根拠を有することの2つを意味する。

【逐条地方自治法 第9次改訂版/松本英昭/学陽書房

歳入歳出外現金の制度は、普通地方公共団体が責任をもって現金の保管に当たる趣旨から法定され、整理させたのであるから、このほかさらに普通地方公共団体が、無制限にその所有に属しない、いわゆる“雑部金”のような現金を保管することは考えられないところである。つまり、制度上は、さらに“雑部金”というような現金は残り得ないということであり、普通地方公共団体が財務規則等により、任意に“雑部金”の制度を設けることはできないものである。仮に、法律または政令の規定によらない現金の保管があったとすれば、その現金の保管者個人が、一般の私人と同じ立場において保管しているということになろうが、運用としては、このような私人としての現金の保管は、責任の所在を不明瞭にするものであり、はじめから保管しないように厳に留意する必要があろう。- 逐条地方自治法/松本英昭 -

歳入歳出外現金および保有有価証券の出納は、支出の場合の長の命令(法232-4-1)と同じように、普通地方公共団体の長の通知がなければすることができないとし、この面でも、会計管理者との間の内部牽制機能が活用されることとされている(令167-7-2)。

歳入歳出外現金の出納および保管は、歳計現金の出納および保管の例により行う。現金を区別する必要はあっても、出納および保管の事務処理はまったく同じであるとの意であるから、かつてのように会見管理者が自らの権限によって適宜の運用をしていたようなことは許されない。

【逐条地方自治法 第9次改訂版/松本英昭】

 

 

学校で保護者から集金されたお金が、地方公共団体の歳入歳出予算に編入されないということは、学校の集金事務の法的効果を地方公共団体に帰属させないということであり、地方自治法の対象外 = 私人として行なっている行為、というほかありません。

総務省にも確認したよ!そのことの記事↓

【続】諸派党構想・政治版を利用して、学校徴収金について文科省に質問してみた。 - ぽにろぐ

 

ましてや、地方自治法では、「一切の収入・支出のすべてを歳入歳出予算に編入しなければなら」ず、「法律又は政令によるもの以外の地方公共団体に属さない現金の保管はできない」とされている中で、そうしていない現金が、自治体の長や会計管理者の所掌する事務であると言えるか問題もあります。

地方公共団体に帰属しない事柄についてまで、自治体の長や会計管理者の権限が及びうるのかってこと。

 

法により授権される長の権限すら対象外となる故、大もとの権限の発生もない、もしくは権限の及ばない範囲であるとなれば、その後の委任や補助執行も、法的には成り立たない、ということになってしまいます。

 

つまり、学校で行われる集金は、法的には、公務員としての校長ではなく、校長個人が私人として契約、集金、支払いをしていると考えるしかない、ということになってしまうわけです。

いやいや、フツーに考えておかしいでしょ。公的な学校がやってることなのに。

うん、フツーにおかしいよね。口座名も校長名義だしね。

 

学校が行う教育活動が、行政の事務であり行政活動であるならば、その全てを地方公共団体の歳入歳出とすべきです。

 

地方自治法に反していても集金は有効になる可能性

さて、では、地方自治法に反しているのであれば、その集金も直ちに無効となるのか?の問題です。

 

現実として、学校の集金は、校長は個人としてではなく、公的な機関の業務として認識して行なっていると思われます。

ほとんどの保護者も、校長個人に個人的に支払っているつもりはなく、公的な機関である学校へ支払っているつもりだろうと思います。

これは、目の前の校長や教育委員会が独断で行なっていると考えるよりも、法的な瑕疵を何らかの理由によって長年放置し、慣例により行われてきたもの、と考える方が事実に近そうです。(ただし、法的な瑕疵の認知や確認の不履行を認容するということではありません)

 

学校が保護者から集金する行為そのものは、校長(個人)と保護者の「委任契約」もしくは「売買契約」と解されています。

 

学校によりその方法は色々かと思いますが、一般的に、集金があるというお知らせがあり、それに何らか許諾したとみなされる行為があれば、契約は成立しえます。

許諾したとみなされる行為とは、例えば口座振替の手続きを行って学校にその旨報告する、申込書や同意書にサインして提出するなどが考えられ、そういった手続きがなかった場合でも、支払いの意思がない旨を表明しない限り同意があったと見なされる可能性はあります。

 

学校集金の事実上の強制性や、自治法に基づかない取り扱いは、一旦横に置くとして、その行為そのものだけに焦点を当てて考えてみると、

  • 自治法的な法的瑕疵はあるとしても、校長(個人)と保護者の契約自体は成立しているとみなされ、支払わないで利益を承けた場合は不当利得

と判断される可能性が、今は現実的な問題として捨てきれないな・・・と思います。

 

現状、学校で行われている集金は、校長個人(私人)と保護者の、私法上の契約で、児童生徒の利するものという大義が(勝手に)掲げられています。争議となれば、最終的に判断するのは裁判所ですから、事柄をどう受け取られるかでもあります。問題の本質をすり替えられないよう、切り口は慎重にしたいものです。

もちろん、契約は双方の自由でなされるものなので、契約をしない=物品等を受け取らないということは、問題はないはずです。

 

しかし、学校で行われている集金は、学校教育のための原資であり、実質的に選択肢がないということが、やはり問題となってくると思います。

県立高校の納入通知書 納入「義務者」と記載されている・・・

また、自由契約であることを何ら知らせず、さも義務かのような振る舞いにも疑問を感じますし(義務と断言する学校もある。それなら、条例で制定する必要があるはず*5、仮に自由契約であることで教育活動に支障をきたすようでは、それはもはや自由契約とすることが適当ではないということではないでしょうか。

購入を希望しない人が続出した場合、成立するのか問題。

それぞれ欲するものも必要なものも違うもんね

 

例えば、標準的な授業に影響を及ぼすことのない課外授業を学校が設定したとして、それが真に自由参加である場合には、その部分の自由契約はありうるかもしれませんが、公立学校の標準的な活動の範囲内のもので、実質選択が困難なものに対して、自由契約を持ち込むのは、行政側の都合のいい論理だと感じざるをえません。

ほとんどの保護者が従順に支払っているから成立してると言えるね。

その裏には、従順に支払うような仕掛けがあるとも言えるね。

 

本来であれば、行政活動は税金で賄われるもの、高校においては授業料をもって支弁されるものであれば、このような齟齬は起きないはずなのですが、法に拠らない受益者負担という財政政策を行ってきたのは国であり、それは自治体も同じですから、学校としてもない袖は振れない、苦しいところではあるでしょう。

 

そうであっても、公立学校と、そこへ通わせる保護者(児童・生徒)という関係性をみるに、非常に大きな力の差があります。

そこへ学校教育に必要な資金を保護者から集金するにあたり、自治体が自治法的縛りもなく、責任を不明確にして、自由契約の原則を持ち込むことの是非、それ故、保護者の負担が実質的に無制限であること、支払う謂れのないモノへの請求、それが公務員の倫理観的なぼんやりしたものだけが唯一のストッパーであることは、明らかに問題であるはずです。

 

住民の福祉の向上を図り、利益を保護するはずの行政が、何ら自らを拘束することなく、当たり前のように住民から集金したり負担させることについて、学校関係者は誰も疑問を持たないのでしょうかね?

 

おわりに

結論。

公会計化するしかないです。

公会計化してください。

 

公的な立場としての校長には、公会計化(歳入歳出予算に編入)されていない限り、地方公共団体が有する権限の委任は成立しないと解するのが妥当です。

というより、公会計化していないことがこの問題を引き起こしています。

 

現在、「なんで歳入歳出現金としないのか?」と併せて権限について、県の教育委員会に対して質問していますが、明瞭な回答はまだ得られていません(延長を重ねられています)。

日常的に行っている自身の行政活動について、こんなに長い間、最初の質問から4ヶ月以上が経過して、まだ回答ができないというのはどうかと思いますが。早く教えて〜

同時に行った開示請求では、「学校徴収金を歳入歳出としない意思決定をした経緯がわかる文書」は「不存在」でした。

 

また、記事中にも書きましたが、公的な教育機関で、その行政活動の範囲内に自由契約を持ち込み、それにより行政活動そのものが左右される可能性があることや、児童・生徒が教育を受ける権利を阻害する要因となりえることは、とてもじゃないですが適切だとは言えそうにありません。

集金のその内容についても、「児童・生徒に利するもの」「保護者の利便性」という建て付けさえあれば、学校のみの判断で一方的に私費として徴収できてしまう仕組みの存在も問題です。

制服とか、家庭での準備品もそうだよね〜

増える一方よ!

 

議会に付すことなく、財源を保護者から徴収できれば、実現したい教育も比較的簡単に取り入れることができる反面、教職員の業務も無限に広がります。そしてそこに、生徒や保護者の意向が本当に民主的に取り入れられているかについても、疑問です。

 

しかし、現状は、法的には個人間の契約になってしまっていること、自治法的手続きがなされていない以上、自治法に基づき、まずは公会計化を進めるべき、と私は考えます。

その際に、集金のそのもの、自由契約の是非を含めて、教育委員会と一部の人たちの意向で物事を決めるのではなく、地域の大事な課題として取り上げ、オープンに民主的な手続きを踏んで、住民に適切な情報提供と、意向を反映する仕組みを構築していただきたいものです。

 

公会計化することによって集金が妥当ではない(=公費妥当)とされるモノは絶対あるよね。今はすごく色々集金されてるし、扱いもメチャクチャ。

それはあると思う〜。
それに、都合よく行政の優越的な地位を利用しているところが噴飯ものだしね。

 

まずは、地方自治法の土俵に上げるのが、公会計化です。

 

 

ではでは。

ぽにこ

 

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

[PR]

*1:普通地方公共団体の長、教育委員会選挙管理委員会、監査委員などのように、それぞれ独自の執行権限を持ち、その担任する事務の管理および執行に当たって、自ら決定し、表示しうるところの機関を指す

*2:司り処理する事務

*3:会計年度の行政活動に必要な経費およびそれを賄うための財源を示す財政計画

*4:私法上の概念で、ある法律行為または事実行為を正当とする法律上の原

*5:第十四条 普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。
② 普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。

糠平湖周辺/廃線跡をめぐる幌加駅跡とタウシュベツ川橋梁(めがね橋)【北海道】

当ブログはアフリエイト広告を利用しています

 

こんにちは、ぽにこです。

 

北海道キャンプ旅に行って来ました。

帯広から旭川に抜ける途中にある糠平湖周辺の散策情報です。

 

糠平湖周辺では、今は廃線となっている国鉄士幌線で使用されていたコンクリート作りのアーチ橋をところどころに見かけます。

 

タウシュベツ川に架かるタウシュベツ川橋梁は、国道237号線から少し入ったところにある展望台から見ることができます。また、タウシュベツ川橋梁から車で5分ほどの距離に旧国鉄士幌線幌加駅跡があり、こちらもかつての暮らしを想像しながらも、まるで異空間に来たような気分を味わえます。

 

 

[広告]

ひがし大雪自然館でクマ出没の情報収集

糠平湖もクマの目撃情報が相次いでいます。

 

糠平湖南にあるひがし大雪自然館でも目撃情報の提供を行っています。

ひがし大雪自然館 Google マップ

ひがし大雪資料館のヒグマ情報

観光協会等のHPでも情報提供を行っていますので、事前に情報収集してから行くのが良いかと思います。

上士幌町観光協会/四季折々の感動エリア ひがし大雪 KAMISHIHORO

 

こちらでタウシュベツ川橋梁のマップを調達しました。

タウシュベツ橋梁の展望台駐車場は道沿いにあるちょっとしたスペースみたいなもので、先客(車)が止まっていないと気付かずに通り過ぎてしまうかもしれません。

ひがし大雪自然館で配布しているタウシュベツ橋梁展望台へのマップ

 

自然観の展示物もなかなか見ごたえがあり、ついつい見てしまいます。

ひがし大雪自然館公式サイト 大雪山国立公園ひがし大雪エリアの総合情報サイト

ひがし大雪自然館

営業時間 9:00〜17:00

定休日 水曜日

 

ところで、クマの出没情報のボードの横に、こんなもの↓がありまして、

↑改めてクマにビビリながら向かいました。

 

タウシュベツ橋梁

タウシュベツ川橋梁展望台から見えるタウシュベツ川に架かる旧国鉄士幌線の橋梁跡です。

タウシュベツ橋梁

今年は水量がとても少ないそうで、全貌を見ることができました。

(普段は8月には水没してるそうです)

 

なんともロマンです・・・。

明治後期に始まったとされる道央と道東を結ぶ鉄道の建設。

鉄道の開通により大量輸送が実現し、発展の元となったかつての礎の跡。

多くの方が苦労して築き上げ、そこに暮らしがあったであろう痕跡。

 

ちなみに水のある時はこんな感じ↓だそうです。

上士幌町HPより

これはこれで素敵。

春〜初夏でしょうか。

 

タウシュベツ橋梁糠平湖の北側にあり、国道273号沿いに展望台と、路肩に駐車できるスペースがあります。

タウシュベツ川橋梁の案内板と駐車スペース

看板も駐車スペースも見逃す勢いです。

 

展望台までは遊歩道が整備されており、200メートルほどで展望台につきます。


途中横切る長い一本道は、かつて線路が敷かれていたところだそうです。

 

クマの目撃情報があったので、家族で大声で話しながら進みました。

静かな場所なので、静けさも楽しみたかったけど仕方ないですね。

 

旧国鉄士幌線 アーチ橋見学ツアーを利用したり、道の駅かみしほろで鍵を受け取って、すぐ近くまで行くこともできるようです。

「林道ゲート通行鍵/予約ページ」/上士幌町タウシュベツ川橋梁観光

↓またクマが出ているようです。しかも子熊(やばいやつ)。くれぐれもお気をつけください。

2021年9月20日の午前7:30頃、展望台にて子熊一頭が目撃されました。十分にご注意ください。

 

 

国鉄士幌線 幌加駅跡

こちらもタウシュベツ橋梁と続く士幌線の駅です。

初見、「マジか!」って思いました。

あまりに幻想的で、異世界感というんですかね。

 

夏は草が生い茂り、伺い見ることはできませんでしたが、

士幌線幌加駅跡

かつては、ここにも町があり、暮らしがあったんですね〜。

上士幌町鉄道資料館より

 

この幌加駅も、とてもわかりにくいところにあります。

案内板

↑一応看板はあるんですが・・

すぐ近くに「北海道開発局の幌加除雪ステーション」があるので、そこを目指すといいです。そのすぐ脇にある小道が幌加駅入り口です。

北海道開発局 幌加除雪ステーション Google マップ

除雪ステーション入口と幌加駅入口



少しですが駐車できるスペースもあり、満車なら隣の除雪ステーションに駐車して歩くこともできます。(利用できるトイレもあります)

 

おわりに

北海道旅は開拓の歴史を感じることも魅力の一つですよね。

過酷な環境の中、近代化前の技術で一つ一つ開拓していった、その苦労と人生に思いを馳せるとね、胸熱ですよ・・。

 

鉄道跡は近代化産業遺跡群として整備されており、巡る旅もしやすいです。

 

ではでは。

ぽにこ

 

[広告]

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

[rakuten:f012076-obihiro:10001322:detail]

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

ponikox.hatenablog.com

[広告]

プライバシーポリシー お問い合わせ