ぽにろぐ

パート主婦/中2ゲーム男子の母/ 夢は家族みんなが幸せでお金に困らない生活を送れること/おキャンプ研究部所属。PTAには入らない派。学校徴収金研究室。

審査請求シリーズ〜PTA等の入会に関する文書がない?/個人情報保護法

こんにちは、ぽにこです。

 

情報公開請求について勉強したことや実体験を共有して、制度を育てよう🌱会、審査請求シリーズ第六弾です。

 

過去のシリーズはこちらの記事↓にリンク貼っていってます。

ponikox.hatenablog.com

 

今回は、複数の県立高校に対し、PTA等の団体の加入に関する文書を請求しました。

その結果、一つもないところもあったし、1つ2つだけ出してきたところもありました。請求した文書について、該当するものがあるものについて決定通知が出ていて、なにもないところは、なんの決定もしていない状況です。

不存在なら不存在で、なぜないのか理由を明記してその決定を行わなければなりません。

不存在でも出すけどね

 

PTA等の団体の加入に関する文書は、それ自体がない可能性があることは想定済みでした。つまり、自動加入(強制加入)です。

 

だけど、その結果を受けて、

  • 団体会計は、地方公共団体の事務とは言えないんじゃない?
  • 学校は、必要な手続きを怠ってない?

ということを、個人情報保護法の観点からあぶり出しつつ教育委員会の審査庁および審査会にひっぱり出すというのが目的の一つにして、審査請求を行いました。

 

今回請求したPTA等の団体の加入に関する文書は、保護法に則って手続きしているのなら、存在するはずの文書にはなるので、不足してます。

高校は、学校によって違うけど、

  • PTA
  • 教育振興会(教育の環境整備とか系)
  • 後援会
  • 部活動後援会
  • 同窓会

など、乱立してます(;∀;)イヤダー

 

実際ないんだろうねって思ってはいるのですが、全ての学校が教材費等と併せて徴収しているので、法に則っていれば取得している文書のはずです。

「開示された文書が足りないよ?

って体裁で書きつつ、

いや〜、まさか、ないはずがないですよねー!!」と、

作成しました。

今回、個人情報保護法にも触れるので、ちょーっと長いです。

いや、かなり長いです・・・

 

 

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「PTA等の団体の加入に関する保護者向け文書すべて」を開示せよ

今回請求したのは、県立高校の

「PTAや後援会、同窓会等の保護者が加入する団体の保護者向け文書一切」

です。学校の私費会計について請求する一環でついでに請求したものです。

 

今回、5つの高校を選んで請求してまして、そのうち開示されたものが、

  • PTAの加入について・・・1校
  • 後援会の加入について・・2校
  • 同窓会の加入について・・2校

のみでした。

 

↑これ、延べ数です。

どの学校も、最低3つは団体が存在するようですが、3つとも揃ったところはありません。

1つもないところもあります。

そして、後援会を除いてPTAも同窓会も、入会案内はあっても選択の余地はない、強制入会のご様子です。

どこの学校も、PTA会費やPTAのエアコン代、後援会費、生徒会費は「団体諸費」として、教材費と合わせて徴収、同窓会は卒業学年に教材費に含まれて徴収するスタイルでした。

入学予定者には、いついつまでに口座振替登録するように、というお達しはありますが、その会費を教材費等と一緒に支払う同意書だったり申込書だったりはなく、中には授業料の払込用紙と同じ形式で表示していたり、「義務」と堂々と書いている学校もありました。

 

「みなさまにご加入いただいています」

 

いろいろと会の活動や必要な支援だとか、役員の強制はありませんとか書いてあったりするところもありましたけど(わずかながら)、金を出させるために意思は確認するつもりはないってことなんだろうと思います。

 

部活動の後援会で案内を出しているところは、一応、入会届形式でした(出してるところはね)。

後援会の主な支援は部活動なので、部活動が全入ではない&部活動により支援額が異なる関係上、全員からもれなく強制的に徴収できないという判断がどこかの時点でおこなわれたのでしょう。(と思いたいけど)

 

まあ、想定内。

 

高校は学校が通帳も印鑑も保管している

うちの県は、中学校までとは違い、高校になるとPTAの通帳も会長の印鑑も学校が保管し使用します。(中学校でもそういうところがあるかもしれません。)

正確には事務長が全部保管することになってます。

 

一応、体裁としては総会である程度の使途が承認されて、それが団体の意向ということになり、それに沿って校長の裁量で決裁し、事後的にPTAに報告して承認を得る、という流れです。管理執行、それに伴う事務はすべてお任せ。

 

通帳、預けちゃってます。

会長のハンコごと。

 

学校の規模にもよりますが、毎年300万ぐらいPTA会費として入ってきます。

後援会費500万、エアコン代1,200万*1、同窓会80万くらいってとこでしょうか。ざっと2,000〜3,000万。

 

県にも学校教職員向け私費会計取扱要綱とかマニュアルとかがあるんですけど、その中身を見ていると、仮に保護者が通帳管理しているとしたら、しょっちゅう学校に通わなければならなくなり、現実的ではない手順が記載されています。

問い合わせたら、主語が違ってました。

  • 会費を管理するのはその団体の会計(保護者)・・・✖️
  • 会費を管理するのは、その団体の会員の子供が通う学校・・・⭕️

 

保護者は金を出すことと、監査をするくらい。

保護者の監査って言ってもね〜・・

この前調べた市内の中学校の会計、ボロボロだったよ。監査機能してない。

 

学校によって多少違うところはあるかもしれませんが、どこの高校も似たような感じではあるんだと思います。

監査だって、ちゃんとやってるとこはちゃんとやってるでしょう。

事務の人もしっかりした人もいます。でもそうじゃない人もいます。

 

しかし、高校は金額の規模が違います。

なんだかんだマニュアル通りにやってるところも少ない。

事故が起きてない方がおかしいと思うくらいなんですけど、余剰金も多いのでどうにかしてるんでしょう。

 

高校PTAに関しては、お金の管理も何に使うかの具体的な意思決定も学校がやってます。多少、PTAの意向は入っているにしても。それが実態。

 

実態がどうであろうが、任意加入の団体であることに変わりはない

だからといって、高校になるとPTAが任意加入の団体でなくなるわけではありません。

弁護士会のように、法的に加入が義務付けられているものではないからです。

 

これは先生でも同じ。

鹿児島県の県立高校の教諭のPTA会費返還を求める訴訟の記事

学校の先生のPTA会費の負担は、学校によってはないところもあるようですが、加入の意思確認も行われずに、給与から天引きされるのが当たり前なんておかしい話です。

(給与に関する条例及び給与の支給)

第二十五条 職員の給与は、前条第五項の規定による給与に関する条例に基づいて支給されなければならず、また、これに基づかずには、いかなる金銭又は有価物も職員に支給してはならない。

 職員の給与は、法律又は条例により特に認められた場合を除き、通貨で、直接職員に、その全額を支払わなければならない。

地方公務員法 | e-Gov法令検索

 

公務員の給与の天引きについては詳しくはコチラを↓

平成22年では40%の市区町村で労働組合費が違法天引きだった⁉ | 参議院議員 浜田聡のブログ

 

PTA会費でエアコン代を払っていようが、学校の教育活動に必要な費用を払っていようが、事実上学校の運営費になっていようが、加入が任意であることが変わるわけではありません

ただ、高校になると加入が任意であると言ったら困るぐらいに、PTA会費からあれこれ支出していて、維持や費用回収がままならなくなるというだけです。

 

でもそれは、そもそもお金の取り方がおかしいという話で、

おかしな取り方でお金を取らないと学校運営に支障をきたすこと自体に問題があり、

PTAから学校運営に必要な支出を行なっているから加入せざるを得ない構造にしていることに問題があるということであって、

加入を強制する方法で問題を解決していいものでもなく、

加入しないことを理由に、子どもが学校教育を受けることを妨げてはいけないし、

加入しないという選択を妨げて良い理由にはなりません。

 

非難されるべき矛先は、そういう構造にしている側です。

解決すべきなのは、その構造です。

てか、なんね、この全国共通搾取システム

 

個人情報保護法を確認しよう

2023年4月から、個人の情報の保護に関する法律(以下「保護法」が改正され、行政機関も個人情報保護法が適用されています。

基本的なところや考え方は変わらないのですが、それまでは行政機関はそれぞれが制定した個人情報に関する条例が適用されていたのが、個人情報保護法の中に行政機関も入って一緒になった感じです。

今までは、個人情報に関する条例は、それぞれの自治体でバラバラに作られていて、保護される内容も条例によるところだったり、対応が一律でないなどの問題もあり、統一された運用が行われるよう、一つにまとめられました。

行政機関について特に定められていることは、第5章に書かれています。

 

地方公共団体の定める「情報公開条例」で請求できる文書は「行政文書」で、その「行政文書」とは、

  1. 実施機関の職員が職務上作成し又は取得した文書、図画及び電磁的記録
  2. 当該実施機関の職員が組織的に用いるもの
  3. 当該実施機関が保有しているもの

ですので、保護法の規定等に照らし、こういう文書がないってことはないですよね?と書くために、保護法を確認して押さえていきます。

 

 

法律はその理念、目的、趣旨がとても大事です。

長くなってしまうので今回は、行政機関に義務付けられているところを中心に、関わりのあるところをピックアップします。

眠くなるけど、頑張って読もうな!

個人情報の保護に関する法律 | e-Gov法令検索

 

この記事は、以下の資料を参考に書いています。

 

行政機関の保有する個人情報の取り扱いは、先にまとめると、以下のように定められています。

  • 保有できるのは法令の定めた事務(業務)の遂行に必要な場合に限り、かつ利用目的をできるだけ特定しなければならない
  • 当然、その情報はその特定された事務の遂行においてのみ利用できる
  • 行政機関が取り扱っている個人情報が住民がわかるように、個人情報ファイル簿の作成と公表が義務付けられている
  • 特定した目的外利用または提供する場合は、本人の承諾が必要

 

行政が保有できる個人情報には制限がある

まず、行政機関等といえども、個人情報を無制限に保有できるものではなく、保有の制限があります。

(個人情報の保有の制限等)

第六十一条  行政機関等は、個人情報を保有するに当たっては、法令(条例を含む。第六十六条第二項第三号及び第四号、第六十九条第二項第二号及び第三号並びに第四節において同じ。の定める所掌事務又は業務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用目的をできる限り特定しなければならない。

2 行政機関等は、前項の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を保有してはならない。

3 行政機関等は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。

 

保護法第61条は、個人情報の保有を、法令の定める所掌事務または業務(以下「所掌事務」のみの表記とします。)を遂行するために必要な場合に限り認める規定です。

 

事務または業務とは、個人情報保護委員会が作成したガイドラインによると、

5-1 保有に関する制限

  事務又は業務については、行政機関等が事実上行っているというだけではなく、法令上の根拠が必要であり、行政機関等の設置の根拠となる法令において「所掌事務」等を定める条文に列挙されている事務又は業務のほか、「権限」を定める条文上で規定されている事務又は業務や、作用法上規定されている事務又は業務が含まれる。地方公共団体においては、地方自治法第 2 条第 2 項に規定する「地域における事務」もこれに含まれる。なお、所掌事務又は業務の根拠となる法第 61 条第 1 項の「法令」には、条例が含まれるほか、規則等の地方公共団体が法令に基づき定める法規が含まれる。

と、行政機関等が事実上行なっているというだけではなく地方公共団体が行う事務または事業の根拠となる、なんらか法令*2の定めに従って行う所掌事務を遂行する場合に必要な場合に限っています。

 

そして、それだけではなく、

かつ、その利用目的をできる限り特定しなければならないとしていて、

「利用目的をできるだけ特定」するとは、

5-1 同項の規定により、行政機関等は、個人情報の利用目的について、当該個人情報がどのような事務又は業務の用に供されどのような目的に使われるかをできるだけ具体的かつ個別的に特定しなければならない。この際、行政機関等の恣意的な判断により利用目的の特定の程度を弱めることは許容されず、具体的な利用行為が当該利用目的の範囲内であるか否か、合理的かつ明確に判断することができるものでなければならない。

と、具体的かつ個別的な特定が求められています。

ちゃんと本人が理解できるような表現じゃないとね!

行政機関の恣意的な判断による利用目的の特定の程度を弱めることも許容されぬのだ!!

 

地方公共団体の事務は、それこそひろ〜い範囲を含むものですが、行政の誰かが、「これは地域の事務だ!」と言ったところで、それが直ちに個人情報の保有を許すものにはなりません。

地方自治法第2条第2項に定める地域における事務も、「法律またはこれに基づく政令により処理することとされるもの」とされています。

普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律またはこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。

そして、自治法第14条の規定*3により、その地方公共団体の地域における事務やその他の事務について、条例を制定することができますので、その地域における事務で法律またはこれに基づく政令により定められているものも、法律に基づいてその地域で制定した規則も、その地域において条例により定められているものも、対象になるという意味になります。

まぁそもそも、自治体の職務はなんらか法に基づいて行われているよね

だよね。個人情報を保有しなければ遂行できない事務なんかだと、ことさら何らかの根拠があるよ。学校関連は他にも怪しいのがあるけどな。

 

地方公共団体が、保有するためには、そういいったなんらかの法令の根拠がある所掌事務で、かつ、あらかじめ利用目的を具体的・個別的に特定しておく必要があるのです。

行政と言えども、法令の定めに従い適法に行う事務を遂行するため必要な場合に限り個人情報の保有が認められ、さらに同時に、どのような事務又は業務のために用いられるのか、どのような目的に使われるかをできるだけ具体的かつ個別的に特定しなければならないということです。

「PTAの事務を学校が行うことは学校運営において重要な事務であり、学校教育活動に不可欠なものとして位置付けている。おっほん。」とか言いそう!

あはは、言いそう!金目当てのな!

 

とはいえ、PTAはあくまで任意団体学校とは別の組織ですので、行政とは別の組織の会費の徴収のために、学校へ提出した個人情報を利用したり提供することが、学校の個人情報の利用目的にはなりえませんので、その辺りも審査請求には入れていきます。

本人から依頼されたわけでもなく、同意を得ているわけでもなく〜

行政とは別な組織の会費を勝手に徴収することが学校の事務になるわけがない。

 

利用目的の明示・個人情報ファイル簿の公開は義務

行政機関は、個人情報を本人から直接書面で取得する際、

(利用目的の明示)

第六十二条 行政機関等は、本人から直接書面(電磁的記録を含む。)に記録された当該本人の個人情報を取得するときは、次に掲げる場合を除き、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない。
一 人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要があるとき。
二 利用目的を本人に明示することにより、本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがあるとき。
三 利用目的を本人に明示することにより、国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
四 取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められるとき。

と、本人が認識することができる適切な方法により、本人に対し、利用目的をあらかじめ明示しなければならないとしています。

 

「利用目的」は、保有から利用及び提供に至る個人情報の取り扱いの範囲に係る重要な要素であるとされ、個人情報が無限定に取り扱われ、個人が不測の権利利益侵害を被ることを未然に防止するために、個人情報の利用目的が明確にされ、以後その利用目的に沿って適切に取り扱われることが必要だとされています。(事務ガイドP66)

 

一般的に、学校は保護者に向けて個人情報の取扱いについての手紙を配布するなどもしていると思いますが、行政機関にも、個人情報の収集、保管、利用の状況を明らかにするために「個人情報ファイル簿」を備え付け公表しなければならないとしています。

(個人情報ファイル簿の作成及び公表)

第七十五条 行政機関の長等は、政令で定めるところにより、当該行政機関の長等の属する行政機関等が保有している個人情報ファイルについて、それぞれ前条第一項第一号から第七号まで、第九号及び第十号に掲げる事項その他政令で定める事項を記載した帳簿(以下この章において「個人情報ファイル簿」という。)を作成し、公表しなければならない

個人情報ファイル簿

個人情報ファイル簿は、行政機関がどのような名称で、どのような目的でどんな個人情報を扱っているのか等を示すものです。

自治体によっては、エクセルで公表しているところもあります(探すのが楽!)(重いけど!)
※職員の人事関係等、公表をしなくても良いとされる個人情報ファイル簿もあります(法75条)

 

このファイル簿の作成と公表*4は行政機関の義務です。

 

このファイル簿で、利用目的や利用項目、主な提供先、責任を有する課室などを確認することができます。

保護法で作成と公開が義務付けられている個人情報ファイル簿は、政令個人情報保護法施行令第20条第1項第2号)で、本人の数が1,000人以上とされており、1,000人以下の場合は、ウチの自治体では保護法に基づいて定めた個人情報保護法施行条例でカバーして、公表するとされていますので、例外*5を除いて、全て公開されているはずです。

※法に基づく個人情報ファイル簿は当該自治体のHPなどのインターネット等の情報通信技術を利用して公開するよう、保護法施行令第21条第5項で定められています。自治体により定められる条例に1000人以下のファイル簿について規定がある場合、上記ファイル簿と合わせてHP上で公開することが一般的ですが、条例によるファイル簿は一部についてHP上で公開していたり、役所の受付や担当課等で備え付けて公表のところもあるかもしれません。当該自治体の条例に記載があるかと思うのでご確認ください。
※条例は自治体により定めるものなので、名称や条件等、異なる可能性があります。

 

上記の「授業料口座振替関係書類」では、「授業料等の徴収を行う」ために、「本人」から収集し、「氏名・住所・電話番号・金融機関名・口座番号など」が記録されていて、記録情報の経常的提供先は「ー」となっているので、ないってことが確認できます。

 

上記のファイル簿のケースでは、利用目的の欄の、「授業料等」の「等」がどこまで含まれていて、他の団体の会費を徴収するために利用することができるのかってところが気になりますが、このような表記について、行政の個人情報保護法の担当課の話だと、

「基本的には「等」の前に代表として表示されているものから容易に類推できるものである前提だが、その取り扱い事務によって、そうでない場合もないとは言い切れない。」

ということでしたので、中にはそういった事務もなくはないのでしょうが、基本的には、

  • 行政機関が個人情報を保有できるのは、法令に定める所掌事務の遂行のために必要な場合であり(法61条)、
  • 本人から書面で直接個人情報を受け取る場合は、本人が認識できる適切な方法で利用目的を明示することが求められており(法62条)、
  • 利用目的は、具体的かつ個別的な特定が求められており(法61条)、
  • 個人情報ファイル簿は、そもそも、個人情報に実態を的確に把握するための仕組みとして設けられ、住民に対して具体的にわかりやすく知らせるためのもの

ですので、この「等」に他の団体の会費の徴収が含まれるとは、よもや一般に理解するものとは言えないことは明らかです。

実際は、授業料のほか、入学料や授業料の滞納金などもこの「授業料等」に含まれるため、この表記になっているとのことでした(確認済み)。

授業料等の等に他の団体の会費が含まれてたらビックリだよ

ま、言い出しかねないけどな!

 

目的以外利用または提供は禁止が原則

(利用及び提供の制限)

第六十九条 行政機関の長等は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない

行政機関は、法令に基づく場合を除き、あらかじめ特定した利用目的以外の目的への利用や、提供を禁止されています。

 

「法令に基づく場合を除く」とありますが、ガイドラインでは、

5‐5‐1利用目的以外の目的のための利用及び提供の禁止の原則

「法令に基づく場合」とは、法令に基づく情報の利用又は提供が義務付けられている場合のみならず、法令に情報の利用又は提供の根拠規定がおかれている場合も含むと解されるが、他方で、具体的な情報の利用又は提供に着目せず行政機関等の包括的な権能を定めている規定がある場合に当該規定のみに基づいて行う個人情報の取扱いは、「法令に基づく場合」には当たらない。例えば、行政機関等の設置の根拠となる法令において「所掌事務」等を定める条文に事務又は業務が列挙されていることのみでは、そのために行う個人情報の取扱いは、「法令に基づく場合」には当たらない。また、普通地方公共団体が「地域における事務」を担うことを定めている地方自治法第 2 条第 2 項のような、包括的な権能を定めている規定がある場合に当該規定のみに基づいて行う個人情報の取扱いも、「法令に基づく場合」には当たらない。 「法令」には、「法令」の委任に基づき定められた条例は含まれるが、それ以外の条例は含まれない。 なお、法第69条第1項は、他の法令に基づく場合は、利用目的以外の目的のための利用及び提供をし得るとするものであり、同項の規定により利用及び提供が義務付けられるものではない。 実際に利用及び提供することの適否については、それぞれの法令の趣旨に沿って適切に判断しなければならない。

としており、「法令に基づく場合を除く」とは、

  • 法令や法令に基づく条例により、情報の利用や提供が義務付けられているもの
    (例:裁判所の文書提出命令(民事訴訟法第220条)、児童虐待の通告義務(児童虐待の防止に関する法律第6条第1項)など)
  • 法令に情報の提供や利用の根拠規定がある場合
    (例:捜査関係事項照会(刑事訴訟法第197条第2項)、税情報の照会(国税徴収法第141条)など)

が該当し、その場合は提供をしうるけど、逆に、

  • 法令に基づかない条例による個人情報の取り扱い
  • 具体的な情報の利用又は提供に着目せず行政機関等の包括的な権能を定めている規定がある場合に当該規定のみに基づいて行う個人情報の取扱い
  • 行政機関等の設置の根拠となる法令において「所掌事務」等を定める条文に事務又は業務が列挙されていることのみの場合でそのために行う個人情報の取扱い
  • 包括的な権能を定めている規定がある場合に当該規定のみに基づいて行う個人情報の取扱い

は、この「法令に基づく場合」には含まれないとしています。

また、事務対応ガイドでは、

  • 法律および法律に基づいて制定される政令、府省令は含まれる。
  • 行政機関等の長が、所管の機関または職員に対して命令または示達を行うための内部的な訓令もしくは通達は含まれない

としています(事務対応ガイドp102)。

 

つまり、

行政機関の保有する個人情報は、法令により情報提供が義務付けられている場合や、法令に情報提供の根拠規定がおかれている場合でなければ、目的外利用および提供はしてはならず、

例示されている「地方自治法第 2 条第 2 項*6」のような包括的な権能を定めている規定がある場合に、その規定にのみ基づいて行う個人情報の取扱いは、(所掌事務として保有の理由にはなり得るけど)あらかじめ特定した目的以外の目的のための利用や提供を可能とする理由にはならない(目的外利用や提供をしてはならない除外規定の法令には該当しない)ってことです。

行政機関が個人情報の保有が認められるのは、法に定める事務を遂行するために必要な場合に限り、かつ利用目的を特定しなければならないんだから、当然、その情報の利用は利用目的を特定した事務に利用する場合に限られるよね。

そうじゃなければ利用目的を特定する意味がない!

 

例外的に目的外利用又は提供ができる場合

保護法第69条では、行政機関と言えども、利用目的以外の目的のために利用したり、提供してはいけないと定められていましたが、同条第2項では、目的外利用や提供をすることができる場合の規定がおかれています。

第69条 2 前項の規定にかかわらず、行政機関の長等は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供することができる。ただし、保有個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供することによって、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。
一 本人の同意があるとき、又は本人に提供するとき。
二 行政機関等が法令の定める所掌事務又は業務の遂行に必要な限度保有個人情報を内部で利用する場合であって、当該保有個人情報を利用することについて相当の理由があるとき
三他の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体の機関又は地方独立行政法人保有個人情報を提供する場合において、保有個人情報の提供を受ける者が、法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当の理由があるとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、専ら統計の作成又は学術研究の目的のために保有個人情報を提供するとき、本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるとき、その他保有個人情報を提供することについて特別の理由があるとき

行政機関は目的外利用や提供は基本しちゃいけないんだけど、例外として、本人の同意がある場合はOKとしています。

逆に、行政機関は、行政機関と言えども、行政機関があらかじめ特定した利用目的以外の目的のために、本人の同意がなければ保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならないんです。

OK?

Oh!YES!!

 

また、本人の同意がある場合のほか、ただし書の二にある「行政内部間で利用するとき」も、目的外利用や提供ができるのは、「相当な理由があるとき」として、ガイドラインでは、

行政機関等の恣意的な判断を許容するものではなく、少なくとも、社会通念上、客観的にみて合理的な理由があることが求められる。 相当の理由があるかどうかは、保有個人情報の内容や当該保有個人情報の利用目的等を勘案して、行政機関の長等が個別に判断することとなるが、例外的に利用目的以外の目的のための利用及び提供が許容される場合について規定した趣旨から、例外としてふさわしい理由であることが求められる。

「例外としてふさわしい理由であること」が求められるとし、行政機関内であれば当然に目的外利用することが許されるのではなく、その理由に恣意的な判断を許容するものでもなく、相応な理由があると認められなければ、行政内部間での利用も認められていないということになります。もちろん、法令に基づく所掌事務に必要な範囲内で。

ましてや行政でもなんでもない他の団体!

だよね〜

 

そして、ただし書の四にある、「特別な理由がある時」とは、上記の「相当な理由があるとき」のさらに厳格版で、ガイドラインでは、

  1. 行政機関等に提供する場合と同程度の公益性があること
  2. 提供を受ける側が自ら当該保有個人情報に相当する個人情報を取得することが著しく困難であること
  3. 提供を受ける側の事務が緊急を要すること
  4. 当該保有個人情報の提供を受けなければ提供を受ける側の事務の目的を達成することが困難であること

等を具体例として示しています。

4の「提供を受ける側の事務の目的の達成が困難になる」ような場合とは、たとえば、在留外国人の安否確認の必要があった場合に外国政府や国際機関に対して情報を提供する場合なんかが例示されてます(事務ガイドP106)

さぁ、あの乱立する保護者団体たちに、これら特別な理由に相当する理由があるだろうか?!

南極に事務所があるなら該当しちゃうかも!

それってもはや何の団体!!!

 

ただし!!

保有個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供することによって、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。

いくら例外規定に、目的外利用または提供ができる場合と列挙されていて、それに該当するとしても、それはもちろん、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがないことが大前提で、そのおそれがあると認められるときは、例外規定に該当することを理由に、目的外利用したり提供することは妥当とは言えなくなります。

 

これは、どういうことかというと、例えば、

「本人の同意があったとしても、その同意が強制されたものである場合、本項ただし書きに該当する(事務対応ガイドP103)」

とされていて、本項ただし書とは、「保有個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供することによって、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。」です。

 

ちなみにこの事務対応ガイドは、

本事務対応ガイドのうち、地方公共団体に適用される部分については、地方公共団体に対する技術的助言としての性格を有するものである。

ただし、本事務対応ガイドのうち、「しなければならない」「してはならない」及び「許容されない」と記述している事項については、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人についても、これらに従わなかった場合、法違反と判断される可能性がある。(事務対応ガイドP14)

としています。

 

覚えていますか?↓これです。

(利用及び提供の制限)

第六十九条 行政機関の長等は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない

 

また、目的外利用や提供が恒常的に行われる予定がある場合について、事務取扱ガイドでは、「利用目的以外の目的のための利用及び提供の制限との関係」として、

  • 恒常的に行われる場合・・・保護法第61条第3項に基づく利用目的の変更に該当
  • 臨時的に行われる場合・・・保護法第69条第2項の規定に基づく目的外利用及び提供に該当

とし、利用目的以外の目的のための利用及び提供を恒常的に行うことを個人情報の取得前から予定している場合は、そのような利用及び提供が可能となるように、利用目的を設定しておく必要があると示しています(事務対応ガイドP69)。

なお、個人情報ファイル簿に記載項目のある「経常的提供先」とは、一定の相手方に継続的に提供する場合のほか、一定期間ごとに提供する場合、不定期であっても依頼があれば必ず提供することとしている場合等が含まれる。提供先の個々の具体的な名称を通知することを原則とする。経常的提供は、利用目的内の提供か、利用目的以外の提供かを問わないとしています。(事務対応ガイドP158)

 

では、他の団体の会費の徴収や、管理執行について、学校が個人情報を取得する際に利用目的として設定しておけば良いかというと、それこそ、そもそも恒常的に目的外利用するようなそれが法に定める所掌事務と言えるのか?ということになってくるかと思います。

 

審査請求の理由

さて、保護法のポイントを確認したところで、本題の審査請求の理由に移りたいと思います。

初めの頃に書きましたが、入会に関する文書は本当にないんだろうと思います。

 

文書がないことをわかっているにも関わらず、わざわざ審査請求を出す理由は、

  • 団体会計が地方公共団体の事務とは言えないことのあぶり出し
  • 学校・教育委員会が必要な手続きを怠っていることの指摘

回答せざるを得ない状況に持ち込むことが目的です。

今の時点で子どもがどこの学校に行くか不明ですし、どうも個別の学校が特に行なっていることではなさそうだし、相手は県だし、構造的な問題そのものを公にしたいからです。

あ、ここからも長いですので〜

 

まずは、出だし。

今回も、審査請求シリーズ〜審査請求書の書き方の雛形のうち、5の「審査請求の理由」欄は「別紙のとおり」とし、別紙に書き出す前提です。

必要に応じて適宜アレンジ!

  1. 審査請求人は、令和○年○月○日、処分庁に対し、○○県情報公開条例に基づき、以下の請求をしました。
    ・ ○県立○○高等学校、○○高等学校、○○高等学校、○○高等学校、○○高等学校の5校の令和○年度から3年分のPTA、後援会、同窓会等、保護者が加入する団体の加入についての保護者向け文書一切
  2. 処分庁は、令和○年○月○日、○月○日付で開示等が決定された上記請求に係る公文書のうち、以下の処分を行いました。
    ・「○○会入会について」の文書を除いて、文書の特定及び決定等をしていない。
  3. 原処分の違法性について

これから請求する人は、入会に関する文書一切だけだと徴収の仕組みが見えないので、会費の徴収に関するもの(徴収のお知らせや支払い方法がわかるもの)も請求した方が良いかもしれません。

 

続いて、原処分の違法性について、ツラツラと書き連ねます←

※とても長いので、少しでも見やすくするために所々分けて書いていますが、実際はそのまま繋げて書いています。ただ、記事の作成上、前後の繋がりや段落番号、レイアウト等変えているところもあります。

 

開示されている文書から推定できる事実関係の確認

(1)団体加入の保護者向け文書について

  • 処分庁は、団体加入の保護者向け文書について、「○○の入会について」を除いて何ら決定等を行なっていません。
  • 保護者が加入する団体は、学校とは別の組織であり、法的に加入が義務付けられたものではなく、任意で加入するものです。
    任意で加入するものである以上、なんらか入会に関する文書が存在するはずで、それがないのであれば、会員が誰であるか特定する行為が行われていないということになります。
    すでに開示されている文書の諸団体費納入の方法を拝見すると、教材費等と併せて学校がまとめて徴収していることがうかがわれます。
  • 団体の入会に関する一連の手続きについて
    各団体は、会費の徴収をはじめ、連絡、議決等、入会の案内および入会に付随する手続き上の文書がなければ、誰が会員であるのかを把握することはおよそ不可能であるため、当該文書がないとは考えられません。
    個人情報取扱事業者が個人情報を取得する場合、利用目的を明確に示す必要がある(個人情報を保護する法律(以下「保護法」という。)第21条)ことから、利用目的等を明示した個人情報取扱についての文書、学校へその団体の会費の徴収を依頼するにあたり、会員を特定して依頼する必要があり、個人情報取扱事業者保有する個人情報を第三者提供する場合、本人の承諾を得る必要がある(保護法第27条)ことから、諸団体それぞれの入会の手続き等に関する文書、個人情報取扱いについての文書、第三者提供の承諾を得る文書等、確認できるものが少なくとも含まれるはずです。
    なお、○○高等学校では、すでに開示されている「○○会入会について」には、全員加入と受け取れる内容の記載がありますが、それをもって加入が任意であることが変わることはありません。
  • 教育委員会作成の学校私費会計取扱マニュアルによると、「校長は責任者としてすべての私費会計に係る事務処理を統括する」、「校長は保護者から私費会計に係る金銭を徴収する場合は、徴収目的、徴収金額および徴収方法について、保護者に対して事前に周知及び説明を行い、事後に決算報告を行わなければならない」とあることや、実際に金銭の徴収は学校が行なっていることが確認されることから、会計の徴収目的等を周知説明していることは明白であり、それに付随する加入に関する文書はじめ、個人情報の取扱い等について、特別に説明や必要な諸手続きを行っていないとは考えられないところです。
  • 当該の一連の文書は、職員が作成または取得し、学校内で利用・保有される組織共有性のある文書であり、開示請求対象の行政文書にあたります。

と、まずは、団体は任意加入の団体なんだから、加入のお誘いまたは手続きにあたり必要な文書は作ってるはずだよね?と書きました。

続いて、行政機関としては、こういう取り扱いになってるよね?と確認します。

(2)行政機関が保有する個人情報の扱いについて

  • 保護法では、「行政機関等は、個人情報を保有するに当たっては、法令の定める所掌事務又は業務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用目的をできる限り特定しなければならない(同法第61条)。」「行政機関等は、前項の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を保有してはならない(同第2項)。」としています。
    地方公共団体の事務は広範におよぶものですが、保護法における個人情報の保有は、当然に無制限に認められるものではありません。
    保護法第61条は、法令の定める所掌事務または業務を遂行するために必要な場合に限って、行政機関に個人情報の保有を認める規定であり、事実上行っているというだけでは保有を認める理由になりません。
  • 行政機関が個人情報を保有する場合、法令の定める所掌事務のうち、当該個人情報を保有することによって遂行しようとする具体的な事務または業務の遂行に必要な場合に限り許容されており、その際、利用目的の特定をしなければなりません。
    利用目的の特定は、「当該個人情報がどのような事務又は業務の用に供され、どのような目的に使われるかをできるだけ具体的かつ個別的に特定しなければならない。この際、行政機関等の恣意的な判断により、利用目的の特定の程度を弱めることは許容されず、具体的な利用行為が、当該利用目的の範囲内であるか否か、合理的かつ明確に判断することができるものでなければならない。」と、個人情報保護委員会作成の行政機関向けガイドラインには記載されています。
  • 保護法第75条では、「行政機関の長等は、政令で定めるところにより、当該機関の長等の属する行政機関等が保有している個人情報ファイルについて、(略)・・で定める事項を記載した帳簿(個人情報ファイル簿)を作成し、公表しなければならない。」としていますが、保護法及び保護法に基づいて制定された施行条例により、作成・公表が義務付けられている「個人情報ファイル簿」に、学校が他の団体の会費の徴収のために行う事務は見当たりません。また、教材費等の徴収を実際に学校が行なっている事務についても、同ファイル簿がありません。
  • 個人情報ファイル簿の作成と公表は、地方公共団体の行政機関の長の義務であり、政令第21条において、「行政機関の長等は、個人情報ファイルを保有するに至ったときは、直ちに個人情報ファイル簿を作成しなければならない。」としていますが、上記個人情報ファイルは、保護法改正前から保有していた個人情報ファイルです。

ウチの自治体のファイル簿を隈なく見たんですけどね、ないんですよね〜。それどころか、私費会計の徴収事務自体のファイル簿すらない。これには驚きだったんですけども・・・。

見落としてたりして〜

それは・・笑えん・・けど一応確認もしたからね・・

ちなみに、私費会計に係る個人情報ファイルが作成・公開されていないことについて、「なんでですか?」の問いに、県の教育委員会は「・・・失念?・・」とか言っちゃってます。ヤバし。そんでいつもの通り、回答を先延ばしにされてます。

ちなみに、個人情報ファイルを作成・公表しなくても良い場合に、「1年以内に消去することとなる記録情報のみを記録する個人情報ファイル(第74条第2項第6号)」や「資料その他の物品もしくは金銭の送付または業務上必要な連絡のために利用する記録情報を記録した個人情報ファイルであって、送付または連絡の相手方の氏名、住所その他の送付または連絡に必要な事項のみを記録するもの(第74条第2項第7号)など、がありますが、学校徴収金の振替口座等の情報は少なくとも3年は利用するもので、この例外規定にも該当はしません。

 

そして、今回の本題、目的外利用や提供について、現在開示を受けている文書を見る限り、こういうことになっちゃってるよね?おかしいなぁ?と確認。

(3)行政機関の保有する個人情報の目的外利用又は提供について

  • 保護法第69条では、「行政機関の長等は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない」として、同条第2項において「利用目的以外の目的のために保有個人情報を自らの利用又は提供することができる」ものとして、「本人の同意があるとき、又は本人に提供するとき」としています。
    ① 行政の保有する個人情報の提供 
    個人情報を保有する実施機関とは別の団体のために、行政機関の保有する個人情報の提供を行うためには、本人の同意が必要であるため、そのための文書がないはずがありません。「本人の同意」とは、本人の明確な意思表示が口頭または文書等により確認された場合であって、提供の目的と、提供される個人情報の項目を本人が認識できる適切な方法により明示され、承知している状態を言います。
    上記文書を取得していない上で、団体の会員を特定することは不可能であり、会員を特定しないまま、団体を成立させ運営することは困難であるにも関わらず、総会で決議が行われ、会費の口座振替を学校が行っていること等と照らし合わせると、学校に提供した個人情報を他の団体のために、本人の承諾を得ないまま、提供しているとしか考えられないことになります。
    ② 学校の保有する個人情報の目的外利用その他
    行政機関が目的外利用を行う場合、保護法第69条の規定により、本人の同意が必要です。また、経常的に提供する場合、個人情報ファイル簿に記載することになっていますが、そもそも行政機関の長に作成および公表が義務付けられている、教材費等の徴収事務の個人情報ファイル簿が見当たりません。
    また、他の団体の入会に関する事務や会費の徴収に関する事務に該当するものも見当たりません。
    本件開示請求で入会に関する文書およびその手続きに関する文書等もないとなると、会員の特定を行わないまま、学校が保護者から不適法に取得した情報を、さらに目的外利用していると推定することになります。
    ファイル簿が公表されていないということは、個人情報を保有する所掌事務ではないということであり かつ他の団体の会費の徴収は、行政機関が個人情報を保有できる法の定める所掌事務とは言えないため、学校の取得する個人情報の利用目的になり得ません。
    一連の学校の諸手続きの中で、学校が個人情報を保有しうる所掌事務を超えた収集であるとは、多くの保護者にとって実質的に十分に認識できることとは言えず、それ故に的確に判断しえない状況下であると言え、「全員が提出しなければならないもの」と誤認しうる方法により取得、利用していると見なされても致し方なく、仮にその状態で提出されたことをもって「同意を得た」ことにしているとしたら、適切に明示しているとも、正確に本人が認識している状態とも言えず、そもそもの取得が適法であるかという問題になり、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められるとき(保護法第62条ただし書四)。」以前の問題です。
    目的外利用または提供の際の例外規定に該当する場合であっても、その除外規定となる同条ただし書には「本人または第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りではない」とあり、「例えば本人の同意があったとしても、その同意が強制されたものである場合は、本条ただし書に該当する(事務対応ガイド)」とされています。
  • また、「保有個人情報を提供することについて特別の理由があるとき(保護法第69条第2項第4号)。」についても、例外として提供することが認められるためにふさわしい要件として、「相当の理由」よりもさらに厳格な理由が必要とされています。ガイドラインには具体例がしめされており、それを例に当てはめて考えても、当該各団体は、公益性はそれなりにあるとしても、団体自らが希望する本人から個人情報を取得することが著しく困難とも言えず、会費を徴収することも可能であり、緊急性もなく、単に便宜を図っているだけで、特別な理由があるとは言えません。
    仮に提供を受けなければその団体の事務の目的を達成することが困難であるとするならば、それはその団体が行うべき事務とすること自体に問題がある、あるいは、地方公共団体がなすべき責のある事務として適法に行われていないなどの別の問題であって、行政機関に所掌事務外の個人情報を保有することも、行政機関の保有個人情報の目的外利用や提供を許容する理由にもなりません。

「もう、ほんと、学校さんがそんな不適切な、もしかして違法?みたいな取り扱いするなんて、ありえないと思うんですけど、でも状況的にこうなっちゃってますね?変だなぁ?」ってことをちゃんと嫌味として、受け取っていだだけてますかね?

 

学校の所掌事務としての正当性

ここらで、そもそも他の団体の会費の徴収は、学校の事務とは言えないくない?ってことを具体的に入れていきます。

今までは、開示請求した文書にあるはずのものがないけど?っていうために、「こうこうこうだから、あるはず」という根拠という体裁で書いてますが、ここからは、保護法的にその取り扱い事務が間違ってないか?ってことを敢えて入れて、この文書がない背景としてそもそもの事務の不当性を主張します。

 

なんせ、行政の情報開示請求と個人情報保護に関する担当課は一緒です。(もちろん、それぞれ担当する事務は違うけど)

そして、多くの市町村はその審査会も同じメンバーだったりします。都道府県になると審査会委員はそれぞれ別だったりします)

教育委員会と個人、学校と個人で話をすると、すり替えや強引な手法によって、その事柄を、こちらの非常識のせいにされたり、黙殺されたりすることは残念ながら常ですから。

当事者だけではない場へ出すのが目的の一つです。

 

また、本件文書がないこと、個人情報ファイル簿も作成・公表されていないことは、そもそも県の所掌事務として適法性に欠けることにより作成されていないことも考えられます。

審査を行うにあたり、その文書が存在するかどうかは処分の妥当性の判断の要素にもなりえます。

そもそも、本当にないから出していないのか?

それともあるのに、開示していないのか?

その文書は本来あるはずのものか?

あるはずのものであれば、なぜ、その文書がないのか?

(4)行政機関の個人情報の保有の制限について

  • 先述しているとおり、「行政機関等は、個人情報を保有するにあたっては、法令の定める所掌事務又は業務を遂行するため必要な場合に限り(保護法第61条)」とし、ガイドラインおよび事務取扱ガイドでは法令の定めに従い適法に行う事務または業務を遂行する場合に限り、個人情報を保有することができると説明しています。
    この「法令の定めるところの所掌事務又は業務」とは、行政機関等が事実上行なっているというだけではなく、法令上の根拠が必要とされています。
    所掌事務又は業務の根拠となる保護法第61条第1項の「法令」には、法令に基づき定める規則等が含まれるほか、地方公共団体が定める条例も含まれます。
    地方公共団体の設置する教育機関が、他の団体の会費を徴収し管理および執行するような法令もそれに基づく規則等の法規のほか、地方公共団体で定める条例にも該当するものは見当たりません。
  • 教育委員会は、PTA会計、後援会会計、同窓会会計、生徒会会計等を団体費会計として、学校行事経費、学校給食費、学年諸経費、修学旅行経費、卒業アルバム代、学級費、副教材費等その他学校指定物品を学校徴収金会計として、創立記念事業経費や卒業記念事業会計をその他会計と位置づけた学校私費会計取扱要綱および学校私費会計取扱マニュアルを作成しており、学校が団体会計を取り扱っていることは事実です。
  • しかし、要綱やマニュアルは、事務の取扱の基準や手順等を内規として定めたものにすぎず、同条の「法令」には該当しません。また、事実上行なっているということも、理由にはなりません。
  • 教材費等の徴収の一部に関し、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づき制定される学校管理規則に基づく事務であるとしても、その徴収に関しては、県の歳入に入れていない以上、保護者と私個人としての校長とのなんらかの契約とするほかなく、行政機関の所掌事務とは言えない可能性があり、保護法の行政機関が個人情報を保有する要件を満たさないこととなることから、それは制度上に瑕疵がある可能性があります。しかし、制度上の瑕疵が保有を許す理由にはなりません。
  • 教材費の徴収の一部、団体費会計、創立記念事業経費や卒業記念事業会計については、法令の定める所掌事務または業務であるとは言えません。となると、学校がその会費の徴収やその他の事務を行うことは所掌事務にあたらず、職務としてそのために個人情報を保有できる理由がそもそもないということになります。
  • 仮に団体より委任を受けて当該事務を行っていたとしても、県の歳計現金に入れていないことから、法的効果を県に帰属させておらず、また属させるようなものでもなく、校長が立場を離れた私個人と団体とが契約したものと捉えるしかなく、それをもって、行政機関の設置した教育機関として保護法にいう保有、目的外利用又は提供が許される理由にはなりません。当然、教職員も会を構成していることとも関係ありません。
  • 当該団体は、地方公共団体の行政組織に属するものではないことは明らかであり、適正な説明と手続きを経ずに学校に提出された個人情報を利用して、本人の明確な同意もなく、他の団体ために利用することや、県の所掌事務の範疇に入るだろう事務と、そうとは言えない事務を混在させて提示し、その団体の会費を徴収すること、さらには会費の管理・執行も行っていることは、いかに公益性が高くとも、密接な関わりがあろうとも、協力や連携等の地方公共団体の設置する教育機関としての関わりの域を超えており、その事務が地方公共団体のなすべき責を有するものとは言いがたく、到底、地方公共団体の事務と同一視できるものではありません。
  • また、先に述べた個人情報ファイル簿を作成・公表していないことから、法の定める行政機関の所掌事務とされていないことも考えられ、そうであった場合、学校名で徴収する正当性がないばかりか、保護法における保有の要件を満たしておらず、違法性を帯びてくることになります。

↑学校や教育委員会が、PTAの事務は学校の事務だと主張してくると仮定すると、根拠となりそうなものは要綱やマニュアルくらいしかなさそう、と踏んで書いてます。

自分らに都合のいいように拡大解釈しすぎなんよ

所掌事務だっていうなら、その根拠法令出して?

 

教材費等の私会計が一切、県の個人情報ファイル簿に掲載されていないことは、

  • 掲載すべきだが本当に失念している
  • 県の事務だと思ってないから載せる必要がないとしている
  • 県の会計に入れていない不都合があるため失念したことにしている

ことなどが考えられます。(まさか県がそんなことするなんて思わないよね。私もどういうつもりなのかと考えあぐねてる。)

同時に、教育委員会が、長年に渡り行政機関としてその所管する学校の所掌事務の整理を行なってこなかったがために起きた不都合 ↓ だとも言えるかもしれません。

地方自治法

第210条 一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない。

県の会計に入れとらんのう?っちゅーこと。

 

こういうところも、学校は治外法権と言われる所以だと思うのですが、県の会計に入れていない私会計を

  • 掲載するならするで、公金ではない徴収は、県の制度上に瑕疵があり、そのために県の所掌事務たりえる要件を満たしておらず、そのための保有は違法性がある
  • 掲載しないならしないで、県の所掌事務とは言えない証左であり、学校名で取得・保有することに違法性がある

ということになってくるだろうと思います。

どういうつもりなんだろうね??

うーん・・・

 

ひとまず、ひとまずですよ、そういった制度上の瑕疵*7と思われることや、義務付けされているはずのものをやっていないことについての適否は、ひとまずさておいたとして、校外学習や教材費なんかは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づき制定される学校管理規則に所掌事務として記載があり、なんとか所掌事務の範疇にはなるだろうとは思います。(徴収の部分は、歳入に入れていないっていう制度上の瑕疵が発生する)

 

これらはひとまず、ひとまず、ひとまず置いておいて、話を戻すと、学校が他の団体の会費の徴収・管理執行するにあたり、そのために個人情報を保有することが許されるような「法の定める所掌事務」がありませんよね?って話です。

 

ウチの県の要綱やマニュアルは、過去の度重なる現金事故を受けて作成されています。

ちょっと話は逸れますが、マニュアルには「校長の裁量による徴収や支出が可能であるため」って記述があって、見る度に心底腹が立ちます💢

そのあとに、だから適正に扱えって続くんですけど。

校長にどんな徴収権限があるっちゅーねん。

徴収権限があるのは地方公共団体の長な!

しかも公金になるやつな!!

 

校長が校長という肩書きを外して職務上でもなく、個人としてその学校のために尽くすことを妨げるつもりはありません。ご自由にどうぞ。

しかし、校長が校長という肩書きを使って、その立場を利用して徴収するなら、法に則った手続きを踏めって話です。

 

主張する可能性のあることを潰していく

具体的に類似する判例や裁判例等を挿入して、彼らが主張してきそうな「公益性」を潰すのと、匂わせをしときます。

  • 実際に、地方公共団体によって設立された法人や協会に、派遣された職員や職務命令を受けてその法人の事務を行っていた職員の給与を地方公共団体から支出していたケースで、公益性の高い法人であっても、地方公共団体とは別の組織であり、その職員は当該地方公共団体またはその機関の事務を行っていることにはならないとし、法人に対する不当利得あるいは関係職員の賠償責任を認め支払いを命じた判決があります(東京高裁平成6年10月25日、東京地裁平成14年7月18日)。

【引用した裁判例↓】

*平成4(行コ)53 地方自治法242条の2に基づく不当利得返還、公金支出差止請求控訴事件 平成6年10月25日 東京高裁

市の出資によって設立された株式会社であり、当時市長がその代表取締役の地位を占めていた第三セクターに対し、市が職員を派遣して、これに給与等を支給したことが違法な公金の支出に当たるとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、前記第三セクターに対してされた不当利得返還請求が、認容された事例

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/385/016385_hanrei.pdf

 

*平成11(行ウ)272 損害賠償請求事件 平成14年7月18日 東京地方裁判所 住民訴訟

八王子市が、職務命令によって観光協会に職員を従事させていたのに、その給与を全額市から支出していたのは違法だとして起こされた住民訴訟

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/333/015333_hanrei.pdf

 

保護法の違法性まとめ↓

  • 他の団体の会費の徴収事務が学校の事務とは言えないばかりか、本請求におけるすでに開示されている文書によると、行政機関への個人情報の提出と同一視してしまうような誤認しかねない方法で個人情報を取得し、他の団体の会費の徴収に利用している可能性があると言え、保護法第61条の個人情報の保有制限、第69条の利用及び提供の制限、第64条の適正な取得の規定に抵触するおそれ、また第75条(及び施行条例)の個人情報ファイル簿の作成及び公表義務に関する疑義があり、行政の執行体制に懸念を持ちます。

学校は適法に手続きを行なっているはずだから、今現在開示されている文書だけだと、違法であるおそれが出てきちゃう。まっさか!!ぴえん 。心配!!!

 

↓〆ます。

  • 以上のことから、学校とは別の団体の会費を学校が徴収するにあたり、個人情報を保有・利用する場合、それが県の設置した教育機関の所掌事務である必要がありますが、そもそも行政機関に属さない他の団体のための会費の徴収は、県にその法的効果が属するものでもなく、学校の事務とは到底言えないものであって、そればかりか、このような取得・利用の方法は、適法性・正当性が疑われるものであり、こういった運用が、毎年恒常的に行われているのだとしたら、保護法の趣旨、規定を逸脱しており、場合によっては違法であるというほかありません。
    いずれにしても、現状で学校が他の団体の会費の徴収を行なっていることは事実として明らかで、県の設置した教育機関が、適法とは言えない方法で運用することや、該当する一連の行政文書を作成、取得していないとはおよそ考え難いことで、本件開示文書以外にないとは考えられません。
  • 以上、文書の特定及び開示決定等を求めます。

あくまで、文書がないってことはないでしょ?まさかね?だからもう一回探して?という体裁・・のつもりです。

審査請求を行う際、自分の気持ちはできるだけ載せないようにしていますので、当記事にて吐き出させていただきました。だけど、どこか気がつかないところに漏れ出てしまっているかもしれません。

 

おわりに

審査請求を受けて、どのように処分を決定するかは、まず審査庁が判断します。

今回のように、開示請求が学校に移送されていても、あくまで担当は教育委員会ですので、まずは審査庁としての教育委員会の主張を伺うことになります。

 

審査請求がなされて、審査会へ諮問に付さなくてもよいのは、

  • 要件が揃っていないなどで審査請求を却下する場合
  • 請求人の主張を認容する場合

です。

ところが今回は、本来あるはずのものが、認容しようにも「ない」んですから、認容しようがないってことになります。そうすると、審査会へ諮問へ付さなければならなくなり、その際、審査庁は弁明書を作成しなければなりません。

めんどくさいから作って出してきたりして!

まさか〜・・ある?

 

審査請求は、行政機関が行なった処分に対して、請求人を救済するための法律上の制度です。
私がされた処分は、なんら決定をされていない不作為で、一応それに沿った審査請求にしている「つもり」です。そこにちょっと公立高校の個人情報の取り扱いの違法性を添えてるだけです。

 

審査請求という法の定めに従った正式な手続きを踏んで行なっているので、いつものように誤魔化したり、いつ回答できるかは答えられないと言っていつまでも回答しないようなことはできません。

期限が決まっています。

 

さて、彼らはなんて言うのでしょう?

私は、ない文書を見たいのではありません。

 

学校徴収金にまつわる一連の不都合についてまで言及がなされるかは分かりません。
本請求が一石になるか、想像の斜め上の対応されるのか(ありうる)、撃沈に終わるのか(ありうる)。

 

でも審査庁およびその後の審査会のご意見を是非聞きたいと思っています。

審査会の順番が回ってくるのは相当先ですが。

 

なんて答えるかな?

ねー!。

 

adiós!審査会で会おう。

 

ではでは。

ぽにこ

 

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*1:数年前から一部県費負担となっており、総額は2,000万円ぐらいです。

*2:条例を含み、規則等法令に基づき定める法規を含む

*3:地方自治法第14条①普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。

*4:施行令第21条第5項行政機関の長等は、個人情報ファイル簿を作成したときは、遅滞なく、これを当該行政機関等の事務所に備えて置き一般の閲覧に供するとともに、インターネットの利用その他の情報通信の技術を利用する方法により公表しなければならない。

*5:犯罪や租税の捜査等に関するものや、専ら職員の人事・給与等に関する事項を記載したものなど、保護法第74条第1項第1号〜7号、9,10号が対象。

*6:普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で、法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。

*7:一切の収入支出は歳入歳出予算に入れなければならないという地方自治法210条に反し、県の会計に編入していないのであれば、県としての所掌事務どころか、長からの徴収等の権限の委任・補助執行も成立しえないという疑義。

審査請求シリーズ〜開示されるはずの文書名が決定通知にない?

こんにちは、ぽにこです。

 

情報公開請求について勉強したことや実体験を共有して、制度を育てよう🌱会、審査請求シリーズ第四弾です。

 

ponikox.hatenablog.com

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今回は、情報公開請求をした文書について、

  • 開示されるはずだった文書の一部しか開示されていない
  • 誤った内容の文書が開示された

ケースについてです。

開示請求後に届いた決定通知書には、開示される文書の名称が記載されますが、そこにも誤った内容が記載されています。

 

いやいや、ちょっと待って、他にもあるでしょ!

てか、これ、請求した文書と違うんだけど!

ってケースです。

いや〜、いろんなケースがあるよね〜

ありすぎ〜。

 

 

請求した文書が決定通知にない?

開示請求をすると、およそ2週間後*1に「開示決定(部分開示・不開示等)通知書」が郵送で届きます。

決定通知書には、「開示請求に係る公文書の名称」や「公文書の件名」などの記載欄があります。

開示請求に係る公文書の名称

開示や部分開示が決定された文書は、この「開示請求に係る公文書の名称」欄に、決定された文書名が記載されます。

この時点で、何という名称の文書が開示(部分開示)されるのかは判明します。

この時に、明らかに違うと認識できるような場合もあれば、到着した文書の内容を見てみないとなんとも言えないものもあります。

 

私は開示された資料を見ていて気づくパターンです。

来るはず(と思っている)資料がなく、決定通知書を見返してみると、記載すらありません。決定通知書には公開する文書名を記載するので、そりゃそうです。

良い子のみなさんは、ちゃんと確認しましょう!

どの口が言う〜

 

だからと言って、そこで気がつかなかったとしても問題はなく、こちらの落ち度にはなりませんので、特に気にしてません←

 

念のため電話で問い合わせてみると

あれ?と思ったら、一応問い合わせをしてます。

もしかしたら、こちらに思い至らなかった落ち度があるかもしれませんからね。

もちろん、請求した内容も再確認済みです。

 

「●●について請求したんですが、その資料の一部しか開示されていないようなんですが、どういうことかなぁと思って電話しましたぁ。」

「●年度の資料を請求したつもりなんですが、違う年度の資料が開示されているんですよねぇ。何か手続き間違えてしまいましたかね〜?」

 

だけどだいたい、「その文書はそもそも作成されておりません」とか「改めて請求し直してください」とか返ってきます・・。



なので、こちらに特別落ち度はなさそうだな〜と思ったら、

「そうですか〜。では審査請求出しますので、そちらで手続きお願いしま〜す。」

ってことにします。

 

そうしたらですね、ないと言ってた資料や、再度請求してくれって言ってた資料が出てくるんですよ。

なんでやねーん

なんでやねーん

 

今のところ、私の経験したこういったケースでは、差し替えの依頼をされて、それに応じれば決定通知書そのものから差し替え、追加交付が行われます。

 

急転スピード公開!

申請し直しでも審査請求でも早くても1ヶ月はかかるのにね〜。

 

これは正規の手続きではなく、イレギュラーな扱いです。まぁなんとでもなるんでしょう。

だから、どこの自治体も同じだとは言えませんし、条例は自治体ごとに定めるため、その取り扱いについてもその自治体で定めたことを元に運用することが筋です。

でも、今回のような「あるはずの文書の一部しか開示されていない」とか、「そもそも開示する文書を間違っている」ケースは、もちろん審査請求することが妥当な案件なので、ちゃっちゃと審査請求出しちゃいましょう

 

この時は私も早く情報が欲しかったのと、別な思惑もあって了承したため、結果、審査請求は出さずに終わっています。

わ、駆け引き?

正当なコミュニケーション

 

不作為も審査請求の対象

ということで、提出することはなかった審査請求にはなりますが、ここに置いて成仏させようと思います。

出す気満々だったやん・・

 

今回のケースは、本来、開示等の決定がなされるべき文書に対して

  • 一部のみ開示決定=他の文書について決定処分がなされていない
  • 別の文書に開示決定=本来の文書に決定処分がなされていない

という点から「不作為」が近いかなぁと思い、「不作為」の前提で審査請求書を作成しています。

不作為っちゅーか、ただのミス?怠慢?

でも敢えて一部だけ公開した可能性もあるよね

 

審査請求をするにあたっては、それが不作為であるかどうかを請求人が確定する必要もないのですが、文書作成上の都合です。

 

不作為とは、情報公開請求においては、
情報公開請求に基づき開示請求をしたことに対して、請求を受けた側(実施機関)が、処分(開示・非開示等の決定)をしていないようなケースは、不作為に該当する可能性があります。
 

第三条 法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。以下同じ。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。

行政不服審査法 | e-Gov法令検索

と、行政庁の不作為とは、「法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないこと」とし、不作為についても審査請求を認めています。

 

条文中にある、「処分についての申請」とは、行政手続法で、

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(略)

 申請 法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。

行政手続法 | e-Gov法令検索

とし、開示請求はこの申請に含まれるとされています。

 
ですので、情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)(地方公共団体の条例でもほぼ同様の定めがある)では、

(審査会への諮問)

第十九条 開示決定等又は開示請求に係る不作為について審査請求があったときは、当該審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、情報公開・個人情報保護審査会(審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長が会計検査院の長である場合にあっては、別に法律で定める審査会)に諮問しなければならない。

と、不作為について審査請求があった場合、他の開示決定等と同じく、審査会への諮問または条件により審査庁での裁決をすることとしています。

要は情報公開請求も、不作為について審査請求が認められてるってことだね。

請求人が「これは不作為である!」と明確に示せなくてもいいしね。

だって素人だもの〜

市民最強!!

 

審査請求書には、

  • 審査請求人の氏名又は名称及び住所又は居所
  • 審査請求に係る処分の内容
  • 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
  • 審査請求の趣旨及び理由
  • 処分庁の教示の有無及びその内容
  • 審査請求の年月日

を記載します。

 

本記事では、そのうちの「審査請求の趣旨及び理由」について書いています。

その他の項目については、審査請求シリーズ〜審査請求書の書き方 - ぽにろぐに記載しています。

 

請求の趣旨

まず、請求の趣旨なんですが、通常、開示・非開示について簡潔に主張を記載するところですが、不作為についての審査請求になるため、

  1. 令和●年●月●日に開示請求の申請をしたもののうち一部について、期限内に決定に関する処分がなされていません。
  2. 上記未処分の件につき、早急な対処を求めます。

と記載しました。

 

今回の明らかに謝りと指摘できるケースだと、そのまま事実を書いてもいいかもしれません。

  1. 令和●年●月●日に開示請求の申請をしたものにつき、異なる年度で開示決定をしていることは処分庁の誤りであり、請求に対して正確に処分がなされていません。
  2. 上記未処分の件につき、正当な年度での開示決定を求めます。

 

請求理由

請求理由には、まず、不作為であるとする前提、つまり実施機関の作為義務(しなければならないこと)を記載します。

条例ではこう定められてるよね?でもやってないよね?って展開するイメージ。

●●市情報公開条例第●条により、非公開情報を除き、実施機関に当該公開請求に係る公文書を公開する義務を規定しています。

同条例第●条で実施機関に、公開請求に対する決定をし、公開請求者に対し、その旨及び公開の実施に関し規則で定める事項を書面で通知すること、第●条で、その通知は公開請求があった日の翌日から起算して14日以内にしなければならないとしています。

また、第●条第●項により、公文書の全部若しくは一部を公開しないとき又は公開請求を拒否するときは、公開請求者に対し、当該各項に規定する書面によりその理由を示さなければならないと定めています。

そして、実施機関が怠った作為義務について記載します。

しかし、処分庁は、当請求の一部に対し、公開決定、一部公開決定処分をしたものの、請求人が公開請求申請をしたもののうち、「●●●令和●年度会議録・資料」の第●回●●報告資料を除いた他の資料について、期限内に何ら処分も請求人に対する通知もしていません。

しかし、請求人が公開請求申請をしたものは「●●●令和4年度決算および明細」であるのに対し、「●●●令和3年度決算および明細」を開示決定するという誤った処分を行い、令和4年度の同文書については、期限内に何ら処分も請求人に対する通知もしていません。

それから、主張(あれば経緯も)を記載します。

請求の内容や手続きは正当であって、処分を行わない理由がない、または違法(不当)である旨指摘をします。

これに対し、請求人は何か事情がある可能性を考え、令和●年●月●日に電話にて処分庁に問い合わせをしています。一週間経ち返答がないため、同年●月●日に再度確認の電話をしたところ、会議録は作られていないとの返答がありました。

【令和●年度●●●会議録・資料について】

条例で公文書とは、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、実施機関が保有しているものをいう。」とされており、オンライン開催により資料が紙に印刷されることがなくても、職員が職務上、作成、取得した文書であれば、その様式は問いません*2

●●●について、令和●年度は4回開催予定とし、そのうち、●月●日に開催された第●回●●●の報告文書のみが決定・写しの交付がされています。

●●●は、●●●を目的としており、●●に関する調査研究、交渉、資料作成、情報交換が主な活動です。令和●年度以降、オンラインによる開催になっていますが、令和●年度まで、資料等の印刷に40万円を支出している実績があり、第●回●●●報告の内容を拝読しても、●●の性質を考えても、到着している第●回●●●報告書以外の資料、会議録・資料が全くないとは考え難いものです。

●●●は、●●●をもって出張依頼書としていることから、●●は職務であり、そこで作成または取得される文書は、学校内および市内各校で共有される文書であることから、情報公開請求の開示対象文書であることは明らかです。

最高裁(平成17年6月14日)で、公開請求に係る公文書に請求者が公開を求めていなかった情報が記録されている部分があることなどを理由として当該部分を公開しないことの許否について違法とされていることや、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づいてした行政文書の開示請求に対し、一部の行政文書について開示決定をしただけで、その余の部分について開示決定等をしないことが違法であるとして、外務大臣に対してされた不作為の違法確認請求が認容された裁判例(東京地判平成19年12月26日)等があります。

請求人が●●市情報公開条例にに基づいて行なった開示請求に対し、一部の文書のみを開示決定し、残部文書について、なんら処分も通知もないということは情報公開条例に反するものであり、条例の手続き上、処分を行わない理由もありません。

これに対し、請求人は何か事情がある可能性を考え、令和●年●月●日に電話にて処分庁に問い合わせをしています。同年●月●日に決算書および明細について準備が整ったが、再度請求し直すよう依頼がありました。

【決算報告および明細について】

●●●は教職員が職務上参加する会議であり、そこで取得した文書は学校内および市内各校で組織的に共有される文書であるとすることが相当で、情報公開請求の開示対象の文書です。

令和3年度は●月●日に、令和4年度は●月●日に●●が開催されており、令和4年度の決算報告がされる令和5年度●●は、当請求時にはすでに開催されてから相当の日数が経過していると推察され、作成されていないとは考え難いものです。

また、請求人が●●市情報公開条例にに基づいて行なった開示請求に対し、請求内容と異なる年度の文書を開示決定し送付したことは、処分庁の誤りであるとしか言いようがなく、本来請求した年度の文書についてなんら処分も通知も行わないことは、条例に反する行為です。

その上、請求人に再度請求し直すよう依頼することは、請求人にとっては何ら利益がないばかりか、本来不要である時間経過を要し、条例による情報公開の意義、行政手続きを毀損するものであって、行政活動の正当性を損ないかねず、ひいては住民に不利益をもたらす行為であり容認できません。

経緯は書いても書かなくてもいいと思うけど、そこに不当さがあれば記載して主張するといいと思う。

あくまで冷静に、できるだけシンプルに。

以下、締め。

本件請求について、処分および通知もないということは、条例に定められた手続きが適正になされておらず、条例に違反しているというほかありません。

これは、市民の知る権利や行政の説明責任を軽視し、条例の意義・目的をも損なうものであって看過しがたいこと、また、今後の行政活動に期待を込めて本請求をするものです。

いつもの締め「立証責任は行政にあるよ」は今回は使わなかった。くだらなすぎて。

 

参考判例等/答申

似たような事例について、参考や引用に利用できそうな判例や答申を置いておきます。

正直、ウチの事例がショボすぎてアホらしくなってくるわ〜

 

平成26年度(行情)202/諮問庁:財務省/平成22年度外国為替資金特別会計財務書類の貸借対照表における資産・負債差額の部が債務超過となっている経緯等が分かる文書の開示決定に関する件(文書の特定)(PDF形式:131KB)/

【付言/答申pdf内P.12】

請求内容に見合う文書が複数ある場合には、そのいずれかを開示すればよいとする考え方に基づいて対応したことがうかがわれるが、かかる対応は、法第1条に定められている行政文書開示制度の趣旨に整合しないほか、法第3条が開示請求の対象を「行政機関の保有する行政文書」と規定し、特段の限定を加えていないことに照らしても、不適切といわざるを得ない。開示請求において求められている情報が複数の文書に記載され、かつ、その記載内容が重複していたとしても、開示請求内容に合致する行政文書は全て特定し、開示決定等をすべきである

今後、処分庁においては、開示請求に対する文書の特定にあたり、法の趣旨にのっとった適切な対応をすることが望まれる。

 

裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan/最高裁平成17年6月14日県営渡船情報非公開処分取消請求事件

公開請求の対象を「公文書」と定めている旧岐阜県情報公開条例(平成6年岐阜県条例第22号。平成12年岐阜県条例第56号による全部改正前のもの)の下において公開請求に係る公文書に請求者が公開を求めていなかった情報が記録されている部分があることなどを理由として当該部分を公開しないことの許否。

本件条例2条2項、3項及び5条の規定によれば、本件条例が、本件条例に基づく公開の請求の対象を「情報」ではなく「公文書」としていることは明らかである。したがって、本件条例に基づき公文書の公開を請求する者が、例えば、「大垣土木事務所の県営渡船越立業務に関する情報が記録されている公文書」というように、記録されている情報の面から公開を請求する公文書を特定した場合であっても、当該公文書のうち、その情報が記録されている部分のみが公開の請求の対象となるものではなく、当該公文書全体がその対象となるものというべきである。本件条例の下において、実施機関が、公開の請求に係る公文書に請求の対象外となる情報が記録されている部分があるとし、公開すると、そのすべてが公開の請求に係る事項に関するものであると混同されるおそれがあるとの理由で、上記部分を公開しないことは許されないというべきである。

 

裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan/平成19年12月26日東京地判/公文書不開示決定処分取消等請求事件

行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づいてした行政文書の開示請求に対し,一部の行政文書について開示決定をしただけで,その余の部分について開示決定等をしないことが違法であるとして,外務大臣に対してされた不作為の違法確認請求が認容された事例。

 

出雲市情報公開審査会答申平成29年11月30日

平成29年11月30日鵜鷺コミュニティセンター及び鵜鷺コミュニティセンター運営委員会の情報公開に関する処分について、請求の受理及び開示決定等の行政手続きを履践していないとして、直ちに公開決定を行うべきとした事例。

 

おわりに

もうほーんと、テキトーですよねぇ・・。

今回は、ある思惑の他に、以前、学校とPTAの個人情報保護条例(当時)についてお世話になってご尽力くださった方が間に入っていたっていうのもあって、審査請求書を出さずに差し替えに応じたパターンでした。

 

だけど、不作為は立派な審査請求の対象ですから、じゃんじゃんやっていきましょう。

 

ではでは。

ぽにこ

 

ponikox.hatenablog.com

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*1:実施機関によって決定期限が決まっている。

*2:職員が作成したメモや録音データも作成、組織共有性、保管等の状況により対象になり得ます。

あの封筒をもらってモヤった人へ。教科書のおカネの話。

こんにちは、ぽにこです。

 

今日は義務教育で使われる教科書のおカネについてです。

 

入学シーズンになると、毎年聞こえてくる声。

 

封筒の全文、転記します。

保護者の皆様へ

お子様のご入学おめでとうございます。

この教科書は、義務教育の児童・生徒に対し、

国が無償で配布しているものです。

この教科書の無償給与制度は、憲法に掲げる義

務教育無償の精神をより広く実現するものとして、

次代を担う子供たちに対し、我が国の繁栄と福祉

に貢献してほしいという国民全体の願いを込めて、

その負担によって実施されています。

一年生として初めて教科書を手にする機会に、

この制度に込められた意義と願いをお子様にお伝

えになり、教科書を大切に使うよう御指導いただ

ければ幸いです。

文部科学省

文部科学省 教科書配布用封筒

 

 

いやー。モヤモヤ、しますね!!

 

 

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教科書代ってどのくらい?

では、「国が無償で配布」している教科書代とは、一体いおいくらなのでしょう。

 

一般社団法人教科書協会で公表している令和5年度の採択教科書で計算してみました。

令和5年度教科書定価表

  • 小学校1年生・・・2,978円
  • 小学校2年生・・・3,456円
  • 小学校3年生・・・4,798円
  • 小学校4年生・・・4,014円
  • 小学校5年生・・・5,312円
  • 小学校6年生・・・4,570円
  • 中学校1年生・・・9,013円
  • 中学校2年生・・・3,897円
  • 中学校3年生・・・4,416円

義務教育 教科書代

※同一教科で、複数社が発行しているため、平均値を表示しています。

※上・下巻発行の場合、同一学年用の場合は合算して、複数学年用の場合は対象学年に振り分けて(3・4年生、上・下の場合、3年生に上、4年生に下)表示しています。

※専用ノートなどの付属品がある場合は含んで表示しています。

※地図帳や、1冊を複数年利用の教科書は、配布学年で表示しています。

 

思ったよりずっと安いね・・

と感じているのはわたしだけでしょうか・・。

 

ちなみに教科書に価格が表示されていないのは、教科書の作成時期と価格の決定時期が異なるからです。教科書を作ったあと(10月〜11月に納品が始まる)に、価格が決まる(2月ごろ)のです。

 

教科書代 vs 保護者負担

子どもを義務教育に通わせると、「義務教育は無償」とは言っても、なんやかんや保護者負担があります。

上記の教科書代と、保護者が負担している副教材等の負担*1を比較してみると、

  • 小学校1年生・・・
    教科書代2,978に対して保護者負担156,500
  • 小学校2年生・・・
    教科書代3,456に対して保護者負担72,000
  • 小学校3年生・・・
    教科書代4,798に対して保護者負担83,000
  • 小学校4年生・・・
    教科書代4,014に対して保護者負担90,000
  • 小学校5年生・・・
    教科書代5,312に対して保護者負担97,500
  • 小学校6年生・・・
    教科書代4,570に対して保護者負担125,000
  • 中学校1年生・・・
    教科書代9,013に対して保護者負担232,000
  • 中学校2年生・・・
    教科書代3,897に対して保護者負担144,500
  • 中学校3年生・・・
    教科書代4,416に対して保護者負担170,000

トータルすると、小中学校9年間で、

教科書代は42,450円に対して、保護者負担額は1,170,500円です。

この保護者負担額には、給食費や制服等の指定物品、修学旅行代を含みますが、いずれも特段の事情がない限り、通常学校に通うことに組み込まれているものです。

 

学校から徴収される「副教材費」だけに限定してみると、

  • 小学校1年生・・・
    教科書代2,978円に対して保護者負担10,185
  • 小学校2年生・・・
    教科書代3,456円に対して保護者負担8,673
  • 小学校3年生・・・
    教科書代4,798円に対して保護者負担10,260
  • 小学校4年生・・・
    教科書代4,014円に対して保護者負担9,010
  • 小学校5年生・・・
    教科書代5,312円に対して保護者負担13,532
  • 小学校6年生・・・
    教科書代4,570円に対して保護者負担14,624
  • 中学校1年生・・・
    教科書代9,013円に対して保護者負担22,366
  • 中学校2年生・・・
    教科書代3,897円に対して保護者負担12,411
  • 中学校3年生・・・
    教科書代4,416円に対して保護者負担11,177

教科書vs副教材 小学校

教科書vs副教材 中学校

上記表内の副教材として表示したものは、子どもの学校が、学校徴収金として徴収し、かつ教科が特定できるものだけを抽出したもので、教科が特定できないもの、学校から指定され各自購入し持参するものや斡旋購入品(鍵盤ハーモニカや絵の具、体操着等)は含んでいません。

 

あの封筒の意味

文科省がコラムを掲載しています。

コラム 義務教育教科書無償給与制度の意義を伝えるために~

義務教育諸学校における教科書の無償給与制度の意義を伝える取り組みについては、学校、教育関係者、児童生徒、保護者の方だけでなく、国民全体で教科書無償給与制度の意義の理解を深めるために大変重要なことです。具体的には次のような取り組みが行われています。

文部科学省では、昭和41年から、「義務教育教科書無償給与制度の意義」を裏面に印刷いた紙袋を作成し、小学校等に入学入学する新1年生の教科書をこの紙袋に入れて、子どもたちに直接給与するよう指導しています。

また、毎年、会議や通知等によって、教育委員会や学校等へのこの制度の意義を伝える取り組みが行われるように周知しています。

教科書無償給与制度の意義の理解を深めるためって言ってるね。

毎年、新1年生界隈にざわめきが起きるから、ある意味効果ありだね!

「教科書まつり」を開催してる学校もあるらしい・・

朝日新聞デジタル:「教科書さん」ありがとう - 鳥取 - 地域

 

また、平成19年度後期教科書(中学生は平成20年度)から、教科書にも、「この教科書は、これらからの日本を担うみなさんへの期待をこめ、税金によって無償で支給されています。大切に使いましょう。」と掲載されるようになっています。

教科書に掲載された意義

なんだか躍起だね。

教科書の掲載文はまだしも、やっぱりあの封筒の「国が無償で配布」ってところがモヤりポイントだよね。もとは税金だもの。

あとあの色合いもなかなか・・。

 

とにかく、あれですよ。

こと教科書に限って、無償にしてやってる感がすごい。

「この道路は国および○○県が無償で使わせてあげています」とか

見たことないよね〜

しかしながら、子どもたちだけでなく、学校や教育行政関係者においても、この制度の意義に対する理解が十分でないとの指摘がされております。

義務教育教科書の無償給与制度の意義の周知について(文部科学省初等中等教育局教科書課長依頼)

したがって、教科用図書の給与は、制度の趣旨を十分徹底させるため、入学式または始業式の当日等において、校長がこの趣旨を説明して直接支給することが適切であるとされているのであります。(下線は原文通り)

令和5年度における義務教育諸学校用教科書の無償給与事務の適正な処理について(文部科学省初等中等教育局教科書課長通知)

 

文科省は過去、教科書無償制度の廃止をめぐる攻防で受け入れを拒否したっていうから、制度の堅持という意味で啓蒙を重要視しているってこともあるのかもね。

一方で、文科省の根拠は義務教育の無償制の実現というより教科書統制であることに対しての批判もあるみたいよ。

 

いずれにしても、教科書が国の負担によって無償で給与されているということを、どう受け取ってほしいんでしょうか。

教科書が国民の税金によって無償措置されていることは、低学年などの子どもを除いて通常理解しているはずで、それでもなお「制度の意義に対する理解が十分ではない」とすることの真意はなんなのかなって思います。

教育に関わる金銭や責任については殊更に個人の利益に矮小化して、教育に係る各種法律の立法趣旨や教科書の無償措置制度の意義の理解がないのは、むしろ政府を含めた行政側じゃないのかなって思ったりしますけど。

子どもをダシに間接的に関係者に教育したいのかな?

効果薄〜

 

教科書供給事業社も辛い?

先述したとおり、義務教育で配布される教科書の価格は一般的な書籍と比べても、その内容や質から考えても、相当安く設定されています。

児童生徒ひとりあたりの平均教科書価格(全教科)は、平成18年時点で小学生3,109円、中学生4,504円。

そこから17年かけて、令和5年現在で小学生4,140円、中学生5,727円と約1,000円程度上がっていますが、教科数も内容(ページ数)も増えていることが要因で、「値上がり」とは言えそうにありません。

教科書価格の推移

教科書ページ数の変化

こりゃ重いはずだわ・・

公表されてる重さで計算したら小学校は教科書だけで2kg超え、中学校の教科書は5kg超えだった!

他にもノートだのファイルだのワークだの水筒だの体操着だの給食セットだの持って行ってるじゃない。ってかタブレットも!!
筋トレか!

 

その教科書の受領者である児童・生徒数も激減しています。

文科省が23日に公表した2023年度の調査によりますと、5月1日現在で全国の小学校の児童数は、前の年度より10万2,000人ほど減って約605万人、中学校の生徒数は2万8,000人ほど減って約317万8,000人となり、ともに過去最少となりました。

少子化の影響とみられ、小学校では42年連続、中学校では2年連続の現象となっていて、1年間で公立小中学校合わせて252校が姿を消しました。

少子化で小中学校の人数が過去最少に 大学学部生や女性教員数は過去最多-テレ朝news

児童・生徒数の比較

 

教科書の定価は、文科省によって上限が決められ(教科書の定価認可基準)、その範囲内で決められます。なので、ほとんどの教科書が、その上限に近い数字の価格になっています。

教科書の定価認可基準の一部を改正する件(令和5年1月24)

原材料費の値上がりや教材の新規開発があっても、規定された上限は超えられないんだね。

それどころか、価格上限は教科書を作ったあとに文科省が決める。いろいろおかしい。

 

教科書は、教科書発行者から特約供給所(全国53箇所)、取次供給所(2,653箇所)を経由して各学校に届けられます。

教科書が届くまで

教科書発行者から特約供給所には教科書の単価の約15%が手数料として支払われ、そのうち11%が取次供給所に支払われる仕組みのようです。

この15%ってのも特に根拠はないらしいよ。

文科省の予算の積み上げ時の数字をそのまま使ってそのまま慣習へ。

そういうの、好きだよね〜。根拠聞くと「ない」みたいな。

 

教科書の単価の平均(R5.ぽにこ調べ)は、小学校で411円、中学校で395円ですから、そのうち4%が特約供給所、11%が取次供給所に手数料として配分されると、学校に運んでくれる事業者には1冊あたり小学校で約45円、中学校で約43円が手数料となる計算になります。

多くがその手数料に配送料、倉庫維持費、人件費等が含まれている*2とのことで、期間が限られる非効率性や配送の正確性・迅速性が求められることや、実態として学校業務の範疇の業務まで代理している*3ことなども考慮すると、事業者としては教科書単価と取り扱い数は死活問題で非常に厳しいものであるようです。

仮に1,000人の大規模小学校で計算しても50万くらいかな?

何校か掛け持ちしても、儲からない商売かも。

取り扱いを辞退する業者も増えてて、今すごく減ってるみたいよ。

 

この「教科書発行者→特約供給所→取次供給所」の仕組みは、教科書を新学期はもちろん転校や災害対応時にも、僻地だろうが離島だろうが、全国隅々まで速やかに届ける上で優秀なシステムのだったようですが、

この教科書の安すぎ問題少子化の加速によって、供給システムの維持自体が困難になる時がきてもおかしくないかもしれません。

参考:教科書の流通実態に関する調査報告H19-公正取引委員会

参考:令和5年度教科書発行の現状と課題2023-一般社団法人教科書協会

 

ちなみに、教科書を失くしてしまうなどで新たに教科書を購入したい場合は、各県の教科書販売店に連絡をして購入することになります。販売店は、全国教科書供給協会のHP↓から、お住まいの都道府県をクリックすると取次店の場所や連絡先がわかります。

一般社団法人 全国教科書供給協会HP(教科書の購入・販売についてのお問い合わせ)

 

教科書のデジタル化

教科書のデジタル化についてはどうなんでしょう?

今年(2024年)から、本格導入するとかいう話もあります。

え?本当?現実味がないね。

確かに。実現するのだろうか・・。

 

現在、子どもの学校(中学校)では英語のみデジタル教材が無償配布*4されています。

英語のデジタル教科書

教科書をそのままに、単語練習や音声確認、小テストのようなものができるコンテンツに飛べるボタン(赤丸のとこ)が貼り付けられています。あと、拡大すると(お年頃なもので)、もとのテキストはだいぶボヤけて「あちゃー」という感じです・・。

実際の授業ではほぼ使ってないよ。

あらら。
デジタル化の道は遠そうだのう・・

 

さて、デジタル教科書の価格についてですが、令和2年度秋の年次公開検証(「秋のレビュー」)によると、現状のデジタル教科書の市場価格は、5教科平均で911円に対し、紙の教科書の5教科平均が667円と、デジタル教科書の方が割高な状況だと説明されています。

文科省(と教科書界隈やシステム界隈)には、知見や経験、エビデンスが不足しているようで、ひとまず導入時(実証研究時?)には、紙の教科書と併用前提でデジタル教科書の単価×人数で予算計上していくようですが、同レビューで、一般の電子書籍は紙の書籍よりも安いことや書籍と同様の単価計算が妥当なのか、併用なら膨大な費用がかかることなどが指摘されていましたので、今後、また変わってくるのでしょう。

令和2年度秋の年次公開検証(「秋のレビュー」)(4日目)教育現場のオンライン化の推進 令和2年11月15日(議事録)

 

では、そのデジタル教科書の費用は、今までの紙の教科書同様、国が負担するのかという点について。

いろんな資料をつまみ食いして読みましたが、いまいち定まっていない印象です。

デジタル教科書の価格同様、2024年から本格導入を見据えての実証研究や検証を踏まえ、どのように導入していくかを見極めていくようで、決定はしていないながら、方向としては国費負担になりそうな印象ではあります。(検証中は国費負担で、という方が近いかもしれません)

 

ちなみに居住自治体では、副教材(ある教科の資料)をデジタルで導入している中学校がありますが、紙の資料と価格は同額で、保護者負担でした。

今、うちの市の教育委員会は、市内全体で保護者負担の軽減に向けて見直しを進めていいて、そのためにデジタル教材の活用も検討されているようです。

国が検討しているデジタル教科書の状況や、他の中学校で導入しているデジタル教材のことなどを考えると、どの程度導入がすすみ、保護者負担の軽減につながるのかは未知数です。

ponikox.hatenablog.com

先生の研修もあんまり進んでないみたい。

忙しすぎるからのう。余裕はなかろう。

 

おわりに

はーーー。

昨今の政治界隈の体たらくも合わさって、暗い気持ちになってきました。

 

保護者の皆様へ

お子様のご入学おめでとうございます。

この教科書は、義務教育の児童・生徒に対し、

国が無償で配布しているものです。

この教科書の無償給与制度は、憲法に掲げる義

務教育無償の精神をより広く実現するものとして、

次代を担う子供たちに対し、我が国の繁栄と福祉

に貢献してほしいという国民全体の願いを込めて、

その負担によって実施されています。

一年生として初めて教科書を手にする機会に、

この制度に込められた意義と願いをお子様にお伝

えになり、教科書を大切に使うよう御指導いただ

ければ幸いです。

文部科学省

 

僭越ながら、わたくしから。

憲法に掲げる義務教育無償の精神をより広く実現するよう、児童生徒ひとりあたり4,5千円程度の教科書のみならず、国が内容を示し、自治体が実施する教育に不可欠だと請求されるあれやこれやを軽減するための制度、次代を担う子供たちが、将来、国の繁栄と福祉に寄与できるよう十分な教育の提供、機会の確保は、国の責務であり自治体の責務であると、制度に込められた意義と願いを、自ら省み、同僚や政治家たちに働きかけ、ご指導いただけると幸いです。 

ぽにこ

 

あ、あと、教科書を無償給与する法案を審議してるときの審議の議事録載せておきますね!

教科用図書の給与に関する法律案 ○昭和26年3月19日衆議院 文部委員会

○政府委員(辻田力君)憲法に定められておりまする義務教育の無償をできるだけ早く広範囲に実現いたしたいということは、政府としての根本的な考え方でございます。併しこれは国力と見合わなければならんことは当然でございますが、現在では御承知の通り国庫補助の面における義務教育につきましては、授業料をとらないという形で無償ということになつております。で、我々のほうでは普通の生活のための費用以外の、要するに義務教育を教育として実施する場合に必要な経費はこれは公共のほうから出しまして、義務教育を受ける立場からはこれは無償とすることといたしたいというふうな理想を持つておるわけでございます。即ちその内容といたしましては、現在は授業料でございますが、そのほかに教科書とそれから学用品、学校給食費というふうな、なおできれば交通費というふうなことも考えておりますが、それらを一時に全部やるということは到底現在の財政上ではできませんので、止むを得ず今回は教科書、而もそれも一部分だけ実施するという試みにして、その結果によつて又次の飛躍を期するというふうに考えておる次第でございます。

第10回国会 参議院 文部委員会 第22号 昭和26年3月19日 | テキスト表示 | 国会会議録検索システム シンプル表示

 

この理想、どこ行った?

いつの間にか↓

こういうこと?


ってか、マジで、年少扶養控除返してくんないかなー。

15歳以下の生活費は課税された上に、消費税も取られて、挙句に義務を課されてる義務教育にかかる費用の親の負担(もちろん消費税も!)よ・・。
ちなみに、教科書は非課税*5。保護者が負担する副教材や指定物品は課税対象。

No.6233 学校の授業料や入学検定料、教科用図書の譲渡など|国税庁

 

年少扶養控除廃止して、代わりの児童手当配っても税金で持ってかれるから実質受け取れる額はわずかだし貰えてない人もいて、結果的に増税になってる家庭がほとんど。

義務教育でこんなに負担させるなら、税金取らないでほしいわ。

って、教科書代でドヤられても、原資は税金だし、控除も取り上げられて、税金も上がってるんだから、教科書代以上に払っとるわ。

せめて、学校にかかる教育費は非課税。

いや、やっぱり税金取らんといて〜

 

ではでは。

ぽにこ

 

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*1:学校により差があるため、我が子の学校で例示しています。

*2:1割ぐらいは送料を別に出すケースもある模様

*3:教科書需要数の把握、配送後の仕分けなど

*4:2022年度から文科省の実証実験の一環で、公私立の小学校5年生~中学校3年生、特別支援学校、小学校の重点校の小学校1~4年生対象に実施

*5:デジタル教科書については不明。文科省は令和3年度予算に消費税を計上してるっぽい。

審査請求シリーズ〜(教職員加入団体文書)作成及び取得していないため保有していない

こんにちは、ぽにこです。

 

情報公開請求について勉強したことや実体験を共有して、制度を育てよう🌱会、審査請求シリーズ第三弾です。

 

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今日は前回に引き続き、

「作成及び取得していないため保有していない」

と非開示理由を付されたパターンですが、

学校とは別の団体で、最初は断片的な情報しかなかった謎の組織の開示請求にまつわるものです。

結果的に教職員が職務上加入しており、間接的な教育活動と言える種の団体ということが分かるのですが、それを知らないと思っているのか、他の自治体へ確認の必要があって再び開示請求したら、不開示だったため、審査請求したやつです。

 

 

子どもが学校へ通うようになると、なんだか色んな集金があるのですが、

○○協議会だの、○○連絡会だの、名称からおおよその分野は分かるものの、それ以外の情報はなく、保護者がその会費や負担金を支払う必要があるものか、謎です。

 

他の費用に混ぜてサラッと集金されるだけなので、多くの保護者は、集金されていることも、その存在に気づいてもいないかもしれません。説明は全くありませんから。

気づいていたとしても、「まぁなんか必要なもんなんだろう」で流せるんでしょう。

 

しかし、学校にかかる費用は、原則公費で賄われるはずなのに、様々な名目で保護者(住民)に負担を求めています。

そこに正当性があるのか調べ始めた、というのが今回のケースの始まりです。

 

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進路費として徴収される費用の中にあった負担金

学校で徴収されるさまざまな費用について調べていますが、そこに中学3年生になると払う「進路費」というのがありました。

 

この進路費の存在も、開示請求をしてはじめて知ったもので、集金間近になると対象学年の保護者には知らせがありますが、あらかじめ公開されておらず、支払いの直前になって「なんだこれ?」「こんな支払いがあるんだ!?」と思ったとしても、調べる時間も、検討する時間も、もちろん検討した結果支払いませんという選択肢もありません。

もう、支払う前提で計画されているものです。

内容に異議を唱えたところで、「今さら言われても・・困る!!」ですよね。

今さらて言われても、直前で出してきて困るわ〜

こういうのばっかりやで

 

そして、その集金は保護者が行なっており、卒業対策委員会同様、保護者が自主的に立ち上げ、生徒の進路にかかる事柄についてフォローしていくという体裁の、実質、官製の強制立ち上げ強制徴収の委員会です。

 

その委員会の決算報告を読むと、進路資料用の印刷用紙やインク代、名刺、郵送料、入試問題集、進路会議費、交通費等、

なんだか、払う必要があるような費用、に思えます。

その中にあったのが、進路に係る協議会の負担金支出でした。

 

協議会と名のつくもの、ほんっとに多いですよね。

ある課題について協議会を発足させて連携・協議・陳情や要望・共有して還元とか、有用に活用されていれば有意義だと思う面もあるので否定はしません。実態はともかく。

 

しかしですね、それがどんな活動をしていて、どのように還元されているか、人員なり費用なり負担させるならなおさら、説明があってもいいはずですが、これがまた、ないんです。なんにもない。わかるのは、協議会の略称と負担金額だけです。

なんも説明しなくても徴収できると思ってるとこがすごいわ

オレを信じろ。悪いようにはしない。

 

他に確認したい資料もあったので、ついでに、この協議会に関する資料請求を行いました。

 

教育委員会では作成及び取得していないため不存在

作成及び取得していないため保有しておりません

 

連絡先を教えてくださいと言ったら出てきた資料

この協議会について開示請求を行ったら「作成・取得していないから無い」と処分を受けました。

 

この時点で、この協議会については、

  • 体裁としては有志保護者が委員会を立ち上げ、委員会が費用徴収した中から支払っている
  • どうやら進路に関わる協議会っぽい
  • 協議会の略称(正確な協議会名称は不明)
  • 学校単位の負担金額

しかわかりません。

 

誰が構成員となり、学校がどう関わっているのかすら分かりません。

 

学校の先生に直接聞いてみるということも考えましたが、

  • そもそも公立学校に係る徴収金全体を調べている
  • 市に対して調べていることを暗にアピールする意味もある
  • 説明を受けたところで確実な資料が手元に残らない(証拠として弱い)
  • それが事実であり正当であるかまでは判断できない(信じるしか選択がない)

という点で、学校より教育委員会に聞いてみることにしました。

 

「この協議会について、どのように調べたら知ることができますか?」

「では、直接聞いてみるので、この協議会の連絡先を教えてください。」

 

しばらくして会則が手に入ったと連絡があり、再請求すること(審査請求ではなく、開示請求を改めて行う)になりました。

その会則を手にできたのは、最初に開示請求をしてから、およそ2ヶ月半後です。

怒る猫のイラスト / Angry cat Illustration

手がかりを広げる

負担金を保護者が負担している謎の協議会について、ようやく会則を手に入れました。

その資料により、協議会の正式名称、会の目的、組織の構成、事業内容、構成員、会費額の決定について知ることができました。

 

そこで判明したこととして、

  • 協議会は、教員で構成される協議会である
  • 中学校単位で加入する
  • 会長は校長会の推薦により総会で承認される
  • 会費額は、進学希望の生徒数で計算される

らしいということで、

教職員が、職務上参加している協議会であり、その成果をなんらか職員間で共有し、進路に係る指導に活かされる、というそこで作成される文書は、職務上作成され、組織共有性の高い性格のものである疑惑が浮上です。

また、保護者が負担するものではないのではないか?という疑問も強まります。

 

職員が職務上、組織共有性を有した状態で利用し、で保有している・・・。

 

行政文書とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。」

 

もうここまでくると、開示請求対象で開示されるべき文書であったことは間違いなさそうです。

あとは、本来の目的である、その費用を保護者が負担すべきものであるとの正当性への疑いを裏付けすべく、情報収集を続けるため、使用された資料等を含む会議録や、役員名簿、予算決算資料およびその明細と、次々に開示請求を行いました。

 

開示を重ねることで明らかになったこと

開示される資料が多ければ多いほど、その内容について詳細に知ることができるのは自明で、多くのことを知ることができます。

知ることができて考えるための材料がそろってはじめて、判断ができるようになります。

逆を言えば、この部分の多くが閉ざされていて、自覚があるなしは置いておいても、事実上、「判断させない」という運営が行われているとも言えるかと思います。

 

開示請求して分かったのは、進路費は、保護者が委員会を立ち上げ集金し、進路に関わる費用を拠出し、サポートをするという体裁でありながら、実際には、教員が管理・執行しているものでした。委員会に入れば知ることになることでしょうが、一般保護者に特別にアナウンスがされているわけでもありません。

(進路費の使途については、また別に記事を書くつもりです)

 

また、その協議会は、職務上の「出張依頼」がされているものであり、うちの市の職員については県において出張旅費が出されていることも確認されました。

 

さらに、その協議会における教員の負担、負担軽減のための内外への取り組みの経過が書かれている部分があり、過剰な負担への叫びを読み取りました。

そりゃそうなんですよ。進路費の使途内容から、こんなことまで学校がやるの?って思ってました。

そして、そうしなければならなかったんだろうと思う地域の受験に関する仕組みがあります。

この構造的な負担についての改善要望や交渉は、おそらく進行中で、結論は記載されていませんでしたので、近々確認しようと思います。

 

他市に請求したら、また非開示決定ww

集まった資料を内容を見ていると、おかしなことに気づきました。

この協議会の会費は、会則によると、「進学を希望する生徒数」で決定されると記載されています。

ところが、市内各校の負担金が、どうにも割り切れず、学校によっても異なり、生徒一人当たりの会費の算出ができずにいました。

 

はてな??(悩む)のイラスト Question

 

追加で取り寄せた決算等の資料によると、やはり、生徒一人いくら×進学希望生徒数で計算されていることになっています。

しかし、各校の負担金の拠出額を見ると、どうも、1校あたり数千円上乗せされています。

つまり、協議会で設定した市ごとの負担金(受領額)と、市全体の実際の負担金(市内各校の負担金支払の総額)が合いません。

 

この点については、市に調査と説明を依頼しつつ、加入している他市(この協議会は近隣の複数市で構成されている)にも、開示請求して確かめることにしました。

 

そうしたらですね。

不開示決定www

ズコー

ズコー

 

請求理由文を記載例

前置きが長くなりましたが、不開示決定が出ましたので、請求理由文を考えます。

今回は同一の協議会について、市内各校の負担額がわかる決算資料および明細を請求しています。明細を請求しているのは、決算資料だけだと合算されていたりして不明瞭だからです。

 

その他資料でこの協議会への参加は職務であると認められ、その性質上、個人の領域を超えた組織共有性も推定されます。

処分庁は、「実施機関として●●協議会に会費を納付しておらず、他の任意団体が所持している文書であることから、実施機関において保有していない」ため不開示としていますが、公文書は、行政機関の職員が職務上作成し又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの(公文書管理法第2条第4項)とされ、●●市情報公開条例(以下「条例」という。)においても「実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書、図画および電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の近くによって認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。」としています。

  1. 当該文書を教育委員会保有していなくても、市の設置した学校で保有するものも当然対象で、取り寄せも事案の移送も可能であることから、「学校で保有しているが、教育委員会保有していない」ことは不開示の理由とはなりえません。
  2. 任意団体が作成する文書であっても、学校の職員が職務上取得し、学校組織として共用の実質を備えた状態、すなわち、組織において事務または事業の執行上必要なものとして、利用または保存されている状態は「組織的に用いる」に該当するとされ(平成19年11月16日青森地判、平成19年2月14日東京高判)、本件のように学校の教職員が職務上、事務遂行上、配布を要すると認識し、児童生徒を経由して保護者に配布し、また転入学など必要に応じて配布が予定されるような文書は、組織として管理・利用しているものと見ることが相当です。
    本件原本については、任意団体が所持していると推察は可能ですが、金銭の徴収に係る文書について一切を学校が関与しておらず、取得、保管されていないとは到底考えにくいところです。
  3. 本請求の対象である「●●協議会」は、校長・教諭が所属し、役員を担い、中学校単位で構成される協議会で、同協議会資料には、●●をもって「出張依頼」と記載されており、教職員の職務であると思料します。
    同協議会は生徒数に応じた負担金を徴収しており、その負担金を任意団体が徴収・拠出しているとしても、任意団体が同協議会へ直接納付することはなく、担当教諭(または校長)を通じ、●●の幹事校が取りまとめ、同協議会へ納付しています。
    任意団体がその負担金を拠出している場合、その負担額は学校(担当教諭・校長)を経由して任意団体(保護者)へ通知し、金銭授受の上、任意団体(保護者)へ報告があると考えることが一般的であって、教職員が職務上行った金銭の授受がある以上、作成または取得している文書がないとは考えられないところです。

 以上のことから、請求人が開示を求めている文書は、条例に該当する公文書であり、本件不開示処分は違法であると言わざるを得ません。

ちなみに、この市の一部の学校では、教員が集金を行なっていることが、学校HP上にある学年通信から明らかです。

本件審査請求が開示と裁決されなければ、今後、審査庁*1は諮問通知書(審査会へ諮問するよという通知)と弁明書(処分の正当性を主張する文書)を送ってくる流れになります。

開示決定を行わないのであれば、審査会に諮問に付すしかなく、処分が正当であるという弁明書を作成しなければなりません。弁明書は「持ってないからない」なんてカンタンな理由で済まず、なぜ持っていないか、請求人の主張に対して理由を認めない根拠を詳細に記載することになります。

それに対して、コチラは反論書を送ることができるので(送らなくてもOK)、反論書を送るようなことになったら、保存してある学年通信を添付して送るつもりです。

これは最近のやつでまだ未決なの。
※後に開示決定となりました。

 

そしてお決まりの文書で締めます。

 なお、非公開決定等が訴訟で争われた場合には、対象となった文書や情報が非公開事由に該当するかどうかの主張・立証責任については、実施機関の側にあるという判断が示されています(大阪府水道事件。最判平成6年2月8日民集28巻2号255頁)。

おわりに

この協議会の負担金自体、大した金額ではありません。

しかし学校徴収金は、こういった一つ一つの費用が積み重なっており、その中には疑問を感じざるを得ないものも多くあります。そういった一つ一つを調べ、情報を集め、行政に対してそれらが「保護者負担である理由」を聞く、という作業を繰り返しています。行政の反論根拠をひとつひとつ潰している感じですかね。

こうやってジワジワやるのも、彼らが考えざるを得ない機会を増やすという効果もあります。

そして「ちゃんと見てるで」とメッセージも同時に送るわけです。

 

同じように、情報公開制度も、請求の窓口にないから「ない」ってカンタンに言ってくるから、いちいち、審査請求をかけます。

これも大事なメッセージ。

教育委員会は請求の窓口であって、教育委員会保有する文書だけではなく、その所管の学校が保有する文書も対象です。

仮に、この請求が通らなくて文書が手に入らなかったとしても、私にとっての問題は、目の前の自治体で、すでに取りまとめて質問は投げてますので、個人的に困るようなことはありません。

 

しかし、繰り返しになりますが、情報公開は住民の権利であって、行政の義務です。

センシティブな情報というわけでもない情報ですら、なんやかや、勘違いや誤用も含めて、行政の判断は開示しない方向に働いていることをヒシヒシと感じてしまうような状況が現実です。

情報公開制度は開示が原則やで〜

だよね〜。
非開示が例外なのに、まるで開示を限定してるみたい。

 

そういうことが当たり前に浸透していたら、本当に困った時はもちろん、判断するための情報を奪われたり隠すことを容易にすることでもあり、それは私たちが、考え、判断することすら、ないものとして扱われることと等しいと思っています。

現に、市政もそうですが、学校はとにかく説明がなく、あいまいにしたまま進めていることが多くあるように感じます。裁量と信頼を自ら掲げて、黙って従えスタイルです。

費用負担に関して公開しているところは非常に少なく、その必要性もあまり感じていないようです。

 

てか、

ですよね〜。

 

 

ではでは。

ぽにこ

 

*審査請求シリーズ

 </p

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*1:教育委員会には上級庁がないため、審査庁も教育委員会になる

審査請求シリーズ〜(PTA等保有文書)作成及び取得していないため保有していない

こんにちは、ぽにこです。

 

情報公開請求について勉強したことや実体験を共有して、制度を育てよう🌱会です。(←今思いついて書いてる)

 

本シリーズ初回の前回は、「審査請求書の書き方」でした。

ponikox.hatenablog.com

事例に合わせて追々、役に立ちそうな小ネタを入れていけるといいなぁと思ってます。

(わたしの勉強した範囲内ではあるけどね!)

 

今日は、審査請求書のメイン、「審査請求の理由」です。

今日取り上げるのは、PTAなど他の組織の所有する文書について、

「作成及び取得していないため保有していない」

という理由を付されて不開示とされたケースについてです。

 

PTAと学校は別の組織ですので、一見、妥当な理由に思えるかもしれません。

しかし、その請求する文書の内容によっては、学校(教職員)が職務上取得し、組織的に用いるものに相当するものもあります。

 

自治体(の教育委員会)に請求する情報公開請求は、各自治体が制定した条例に基づいて行われます。

解釈、引用する場合は、各自治体の条例を優先します。

 

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PTA等の他の組織の文書が公開請求できるの?

できます。

ただし、一定の条件は必要です。

 

PTA等は、学校に近接している団体とはいえ、別の組織ですし、ましてや行政ではありません。

実際、開示請求すると、「市(学校)が作成及び取得していないため保有していない」などとして不開示決定がされることがあります。

開示しない理由

しかし、別な組織が作成した文書であっても、学校(教職員)が職務上作成または取得し、組織的に利用しているような場合、開示請求の対象となります。

 

PTAが作成した文書も公文書(行政文書)になる?

PTAが作成した文書そのものは公文書(行政文書)ではありません。

しかし、先に書いたように、学校(教職員)が職務上作成または取得し、組織的に利用している文書の場合、他の組織等の文書でも、公文書として開示対象の文書になります。

 

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)では、

(開示請求権)

第三条 何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長(前条第一項第四号及び第五号の政令で定める機関にあっては、その機関ごとに政令で定める者をいう。以下同じ。)に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる

行政機関の保有する情報の公開に関する法律 e-GOV

と、情報公開請求(開示請求)できるのは、当該行政機関の保有する行政文書としています。

「行政文書」っていうと、行政が作った文書ってイメージだよね!

 

では、その行政文書って何なのかと言うと、同法で、

(定義)

第二条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。

(略)

この法律において「行政文書」とは行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。

(略)

と、

行政文書とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。」

と定義しています。

 

★情報公開は、各自治体の条例に基づき行われます。「定義」は各自治体の条例のはじめの方に記載されていますので、確認してみてください。

 

たとえば、下記は、東京都の情報公開条例です。

東京都情報公開条例

(定義)

第二条 この条例において「実施機関」とは、知事、教育委員会選挙管理委員会、人事委員会、監査委員、公安委員会、労働委員会、収用委員会、海区漁業調整委員会内水面漁場管理委員会、固定資産評価審査委員会、公営企業管理者、警視総監及び消防総監並びに都が設立した地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)をいう。

2 この条例において「公文書」とは実施機関の職員(都が設立した地方独立行政法人の役員を含む。以下同じ。)職務上作成し、又は取得した文書図画、写真、フィルム及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。

(略)

多少の表現の違いはあっても*1、公文書とは、

  • 実施機関の職員が職務上作成し、または取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録
  • 実施機関の職員が組織的に用いるもの
  • 実施機関が保有しているもの

とされています。

 

PTAや同窓会のように、学校とは別組織の文書で、実施機関が作成していなくとも、実施機関の職員が職務上、別組織の文書(以下図画、写真等および電磁的記録含む)を取得することはありえます

学校や行政が公式に作った文書だけが開示対象だと思っている教職員はいまだにいるよ。

 

請求理由に学校が「職員が組織的に用いている」ことを示そう

実施機関の職員が職務上取得しているだけでは、開示対象とはなりません。

「組織的に用いられている」ことがポイントです。名刺を渡すのイラスト / Give someone one's card Illustration

欲しい資料が「組織的に用いられている」という点について、判例や学説、公的組織の見解等」を援用しながら、「どう組織的に用いられているか」の客観的事実等を請求理由に盛り込んでいきます。

 

では、「組織的に用いる」とは、どのような状態か。

 

判例では、行政文書不開示決定取消請求控訴事件/平成19年2月14日/東京高判/原審・東京地方裁判所平成18年9月1日)などがあります。

「組織的に用いる」とは,その作成又は取得に関与した職員個人の段階のものではなく,組織としての共用文書の実質を備えた状態,すなわち,当該行政機関の組織において,業務上必要なものとして,利用され,又は保存されている状態のものを意味すると解するのが相当である(以下,このような状態にある文書を「組織共用文書」という。)。

行政文書不開示決定取消請求控訴事件/平成19年2月14日/東京高判/裁判例検索/web

 

また、自治体職員のための情報公開事務ハンドブック(村松享/第一法規)によると、

 

この「行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」とは、作成または取得に関与した職員個人の段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該行政機関の組織において業務上必要なものとして利用・保存されている状態のものを意味します。したがって、職員が自己の執務の便宜のために保有する覚書や資料、職員の個人的な検討段階にとどまる起案のための草稿、課題等の整理資料、参考となる事項のメモ書き等はこれに該当しません。

と解説されています。

 

つまり、個人取得・利用の領域を超えて、

  • 組織としての共用性がある
  • そのために保有されている

ようなものは、たとえ他の組織が作成しているものであっても、学校が組織的に用いているものに当たると考えることが相当です。

 

では、PTAなどの学校とは別の組織が作成している文書の「組織共有性」は、どうでしょう。

  • 入学説明会等で学校が用意する資料と併せて必要資料として配布している
  • 転入児童・生徒がある場合に備えて、同資料を保管し、適宜配布に利用している
  • 教職員が職務上、資料を作成している
  • 学校がPTA等の会費を集金しており、徴収に係る資料等を作成・取得している
  • 学校がPTA会費等を管理しており、徴収・決算に関する資料等を作成・取得している
  • 職員が職務上、打ち合わせ・会議等に出席し、他の職員と共有している
  • 行政が補助金を交付しており、その根拠資料を作成・取得している

ような場合、「組織的に用いている」と認められる可能性があり、請求理由の根拠として提示する材料となってきます。アドバイスを聞くのイラスト / Advice Illustration

根拠となる内容を示す資料があればなお良いですが、特段なかったとしても、その状態が実態として明らかな場合、仮定であってもその状態が高い確率で推察されるような場合(状況的に根拠となるものがあるような場合など)は、理由として記載します。

 

行政文書は、行政職員が用いるものなので、請求人は厳密な特定や立証をする必要はありません。できるだけ具体的な根拠を示すのは、「行政の不開示処分には正当な理由がない!」と、コチラの主張を補強するためです。

なかったらなかったで、それはそれだよ。

 

(学校にはあるが)市・教育委員会では保有していない

これもよくあるパターンです。

家にカネはあるが、今は持ってない

お客さん、それじゃ売れないよ〜

 

もう、こんな理由が通用すると思ってるところがイタいです。

前回から引き続き繰り返しになりますが、情報公開請求は開示が原則です。行政機関は、不開示情報として条例上に定めた一部の例外を除き、開示する義務があります

 

公立学校は自治体が設置し、教育委員会が所管する教育機関であり、その学校が保有する文書も情報公開の対象です。

 

国の公文書等の管理に関する法律 | e-Gov法令検索では、

(定義)

第二条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。

 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関

 内閣府宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)

 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)

(以下略)

と、対象の行政機関を規定しています。

 

自治体にも、文書管理規定(規則)があります。教育委員会は独立して定めています。

自治体名+教育委員会+文書管理規定で検索!

たとえば、東京都は「東京都教育委員会文書管理規則」を定めています。

(用語の定義)

第二条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 文書等 職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)をいう。

(略)

 庁 東京都教育庁設置規則(昭和二十三年東京都教育委員会規則第二号)に定める東京都教育庁をいう。

 部 東京都教育庁処務規則(昭和四十五年東京都教育委員会規則第三十四号。以下「処務規則」という。)第二条第一項に規定する部をいう。

 所 教育事務所、教育庁出張所及び事業所(教育委員会が所管する教育機関のうち、学校を除いたものをいう。以下同じ。)をいう。

 学校 東京都立学校設置条例(昭和三十九年東京都条例第百十三号)第一条に規定する学校をいう

 課 部及び所の課(課に相当する室及び支所を含む。)並びに学校をいう。

東京都教育委員会文書管理規則

そこで、対象となる行政機関を定義し、それぞれの文書等の管理について定めています。

 

情報公開条例において教育委員会は実施機関であり、所管する学校の窓口でもあります。

(定義)

第二条 この条例において「実施機関」とは、知事、教育委員会選挙管理委員会、人事委員会、監査委員、公安委員会、労働委員会、収用委員会、海区漁業調整委員会内水面漁場管理委員会、固定資産評価審査委員会、公営企業管理者、警視総監及び消防総監並びに都が設立した地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)をいう。

東京都情報公開条例

教育機関の所管)

第三十二条 学校その他の教育機関のうち、大学及び幼保連携型認定こども園地方公共団体の長が、その他のものは教育委員会が所管する。(以下略)

地方教育行政の組織及び運営に関する法律e-GOV

市や教育委員会の文書管理規定などは、引用や根拠に使えるときもありますので確認してみてください。

 

また、情報公開法では、請求された文書が他の行政機関において開示決定が妥当なものについて、事案の移送を認めています。

(事案の移送)

第十二条 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書が他の行政機関により作成されたものであるときその他他の行政機関の長において開示決定等をすることにつき正当な理由があるときは、当該他の行政機関の長と協議の上、当該他の行政機関の長に対し、事案を移送することができる。この場合においては、移送をした行政機関の長は、開示請求者に対し、事案を移送した旨を書面により通知しなければならない。

 前項の規定により事案が移送されたときは、移送を受けた行政機関の長において、当該開示請求についての開示決定等をしなければならない。この場合において、移送をした行政機関の長が移送前にした行為は、移送を受けた行政機関の長がしたものとみなす。

 前項の場合において、移送を受けた行政機関の長が第九条第一項の決定(以下「開示決定」という。)をしたときは、当該行政機関の長は、開示の実施をしなければならない。この場合において、移送をした行政機関の長は、当該開示の実施に必要な協力をしなければならない。

自治体の条例にも同様な定めがあるはずです。

都道府県などの広域な場合は、移送が行われることがありますが、市町村では移送を行うまでもなく、教育委員会で取りまとめが可能です。

 

よって(学校にはあるけど)、市(教育委員会)にはないというのは、理由になりません。

 

請求理由文を記載例

では、以上のことを踏まえた、請求理由の記載例です。

処分庁は、「市で保有していない」ため非公開としていますが、公文書は、行政機関の職員が職務上作成し又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの(公文書管理法第2条第4項)とされ、●●市情報公開条例(以下「条例」という。)においても「実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画,写真,フィルム及び電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって,当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして,当該実施機関が保有しているものをいう。」としています。

市で保有していなくても、●●市の設置した教育機関であり、●●市教育委員会が所管する学校が取得し保有する文書も開示対象です。

●●市情報公開条例第●条に基づく事案移送のほか、●●市教育委員会において学校と連絡調整も可能であることから、「市で保有していない」ことは非開示の理由とはなりえません。

●●市情報公開条例(●条)では、「実施機関は、公開請求があった場合は、当該公開請求に係る公文書に次条に規定する公開しないことができる情報(以下「非公開情報」という。)が記録されているときを除き、公開請求者に対し、当該公文書を公開しなければならない」とし、実施機関には条例で指定した非開示情報を除いて開示する義務があります。

ここまでは、↑どこの自治体の条例にも、だいたい共通する内容です。

市町村名や条文番号、当該自治体の条例を引用した印以降の斜字の部分は、適宜置き換えてください。

 

また、主張を裏付けるような根拠がある、あるいは処分に理由がないことを裏付けるような根拠がある場合、下記↓のように付け足します。

その際、「職務上取得している」「組織共用性」を意識します。

また、●●に関する資料について、学校において入学説明会時に入学予定者に対して学校説明資料と併せて、説明会に必要な資料として配布しており、転入児童・生徒があった場合にも同様な取扱いが行われていると推察されることから、教職員が職務上取得し、組織的に用いているとすることが相当であり、非開示処分の理由がありません。
よって、本件非開示決定は不当であると考えます。
また、●●の費用について、学校が徴収しており、その会計に係る資料をなんら取得・保有していないとは考え難く、通常、教職員が職務上作成または取得し、費用負担者である住民に対して、通知・報告をしていると考えることが妥当です。
よって本件非開示決定は不当です。

また、●●について、●●補助金交付要綱の制定、市の補助金の支出、市の事務の請負がある事実、●月●日の教育委員会会議録において●●等を確認している旨記録されていることから、市が公金を支出するための根拠資料をなんら所有していないとは、到底考え難く、非開示決定は不当であると考えます。

それから、締めに、

なお、判例によると、非公開決定が訴訟で争われた場合、非公開事由に該当するとする立証責任は実施機関の側にあるとされています(大阪府水道事件。最判平成6年2月8日民集48巻2号255頁)。

と入れておきます。

これはママの小さなこだわりww

 

根拠資料を収集する

今回の程度の不開示であれば、わざわざ根拠資料を探すまでもないですが、

  • 教育委員会会議の議事録チェック
  • 議会議事録のチェック
  • 自治体の条例・規則の確認

などは、インターネットで調べることもでき、主張を裏付け補強したいなという時に、そこで仕入れたネタが役に立つこともあります。ノートパソコンを触るのイラスト / Operate a laptop Illustration

自治体の条例・規則を調べたいときは自治体HPにある法規(例規)集から探すか、自治体名+法規(例規)集、または自治体名+条例(規則)名で検索します。

 

それでも見つからず、必要なら直接問合わせると、実はHPに掲載されているけど分かりにくいなら、そこへたどり着く方法、公開されていないなら入手や閲覧の方法を教えてくれます。

そもそもアクセスしにくいのはどうかと思う

法規の担当は、総務部や総務課、文書課あたりの名称だと思います(組織図なんかをみるとわかります)。

基本的に丁寧に教えてくれますし、勘の良い職員に当たると、改善に動いてくれることもあります。

 

学校向けに作成しているマニュアルや要綱、手引きなどをあらかじめ開示請求して取り寄せておくことも有効です。

そこに、開示すべき理由の根拠となることが書いてあることもあるからです。

  • 情報公開に係る要綱・マニュアル・手引等
  • 文書管理に関する要綱・マニュアル・手引等
  • 学校徴収金に係る要綱・マニュアル・手引等

などです。

これも、必ず役に立つとは言えないんだけどね。

開示請求は繰り返してなんぼなところはあるよ

 

おわりに

学校とは別の、他の組織の文書についての不開示決定に対して、審査請求をする場合に記載する理由について書きました。

確かに別組織だけど、絶対学校は持ってるよね?というパターンです。

 

他の組織の文書を請求する場合、

  • 職務上作成または取得している
  • 組織的に用いており、保有されている

ことが必要です。

逆にいうと、職務上作成または取得しているとは言えず、組織的に用いているとも言えないようなケースだと、保有していないことを理由に不開示決定が妥当となりえます。

 

開示請求は、どのような文書を請求するか、その文書が実施機関でどのように扱われているかによって開示不開示が変わってきますので、その状況がどのようなものであるかを示して、処分の理由が不当であると主張します。

公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)第二条第四項において、「この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)を含む。第十九条を除き、以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。」と規定されているところ、どのような文書が「組織的に用いるもの」として行政文書に該当するかについては、文書の作成又は取得の状況、当該文書の利用の状況、その保存又は廃棄の状況などを総合的に考慮して実質的に判断する必要があるものと考えており、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

平成30年4月20日国会答弁/内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 菅 義偉

衆議院議員逢坂誠二君提出公務員が作成した「備忘録」の公文書管理法上の位置づけに関する質問に対する答弁書

 

どうぞ、職員が取得していると思われる理由、組織共有性を存分に語ってください。

 

それにしても、職員が取得し、組織的に用いられている文書について、いとも簡単に不開示決定を行う行政機関が多いこと多いこと。

とか、

  • 実施機関が利用、提供、廃棄等の取り扱いについて権限を有していない、他の任意団体の所有する文書である

とか、

  • (他の資料から存在が確認されているのに)不存在

とかね。

そんなに出したくないなら、取得利用しなきゃいいのに。

だよね〜。都合良すぎ。

あ、あとアレな、最初から開示しとけ。

ちなみに、ウチの子が通う中学校は、PTA等の会費を学校が教材費等と一緒に徴収することをやめました(入会希望者のみPTA等の指定口座に振込)。

開示請求が理由ではないと思いますが、関わりが多ければ多いほど、組織共用性が高まり行政が取得した文書として開示請求の対象となりえます。

 

行政は「無いって言っておけば、それ以上は言ってこない」と高をくくっていたりします。

非開示情報を除いて、自分たちに開示する義務があることを忘れているかのような職員もいます。

 

審査請求は、文書さえ出来てしまえば、あとはポスト投函するだけです。

先方は、審査請求が届き再検討した結果、なお開示しない場合は、審査会へ諮問に付すことになります。諮問に付す場合、処分の主張が正当であることを記した弁明書を作成し審査会へ提出します。適当なことは書けません。

不当な非開示に出くわした時は、ちゃんと抵抗しましょう。

 

ではでは。

ぽにこ

 

*審査請求シリーズ

 

 

 

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*1:自治体ごとに定めた条例に従いますので、運用も異なることもあります。

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