こんにちは、ぽにこです。
今年もPTA界隈が賑やかな季節となってきました。
現在、私は小学校6年生の息子がおりますが、入学時からPTAには入っていません。
また、来年度入学予定の中学校でもPTAには入らないことにしました。
今回は、個人情報の取り扱いについて、学校とPTAの関係、私個人の観測範囲での経験を踏まえて、「学校とPTA」に対象を絞ってポイントとなる部分を共有したいと思います。
法令や条例って難しいですよね。
でも、知らなければ無力です。
知識は武器にも防具にもなります。
みずからを守り、他人の侵害をしないために、個々人のたえまない努力が必要なんです。
私もまだまだ勉強中の身でありますので、至らないところもあると思います。
今回の記事は、
- これから学校にお子さんを入学させる方
- PTAの役員をやるにあたり勉強したいと思っている方
- 学校とPTAの個人情報の取り扱いについて不審に思っている方
- 学校の教職員でイマイチ理解しきれていない方
に向けて書きます。
私はPTAには賛同していません。
むしろ恨みつらみがたくさんあります。
なので、PTAに関連する学校の取り扱いについては人一倍敏感です。
そういった背景の中で、みずからを守る術として、またちゃぶ台をひっくり返す隙を狙うため、着々と勉強を重ねて来ました。
学校が適正な取り扱いをしているのかを保護者として、市民として見ることができるよう、またPTAとして気をつけなければならないこと・してはいけないこと、などが理解できるよう、できるだけ平易に、シンプルに書いていくよう努めます。
2023年から適用の個人情報保護法についてはコチラ↓で解説してます。
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個人情報保護「法」と個人情報保護「条例」
個人情報保護法は、全国の民間の事業者に適用されます。
個人情報保護条例R2.12.12 https://www.ppc.go.jp/files/pdf/201212_personal_law.pdf
PTAは個人情報保護法の対象事業者となり、都道府県庁や役場、教育委員会、公立学校は地方自治体の定めた個人情報保護条例が適用されます。
公立学校は県や市の実施機関である教育委員会になりますので、それぞれ、各都道府県の個人情報保護条例や各市町村の個人情報保護条例が適用されます。
例)東京都渋谷区立小学校・・渋谷区の個人情報保護条例
神奈川県立学校・・神奈川県の個人情報保護条例
個人情報保護のおおむねの主旨や目的は同じですが、適用する対象によってそれぞれ別々で並列に立っている状態です。(2022年時点で個人情報保護条例は都道府県の数(47)、市町村の数(1741)、一部事務組合等(1562)だけあります!)
以下、別個人情報保護に関する法律の適用対象
今回は学校とPTAに絞りますので、対象の法律は「個人情報保護法(PTA)」と「個人情報保護条例(学校)」となります。
各地にある公立小学校やPTAの取り扱い実態は様々です。
条例も基本的な考え方は同じでも各自治体により取り扱いに違いがあることもあるようなので、今回は私の住む自治体をベースに話をすすめますが、該当する自治体の個人情報保護条例と照らし合わせ、実際の運用を確認してください。
個人情報保護法の基本理念と目的
いやいや、理念なんていらないよ〜って思いました?
いやいや〜、理念って、超大事ですよっ!
理念っていうのは基本的な考え方ですから。
法律っていうのは「この場合はこう」「ただしこの場合はその限りではない」とか、「ただし次の場合は除く」とか、まず普通に読むだけでも、行ったり来たりして、「で、結局どうなの〜?!」って頭抱えるのは私だけですか?
やっつけで、急いで理解する必要があって必要そうなところだけピックアップして進めたい気持ちはよーーーーく分かります。
だけど、その法律ができた経緯や目的、理念を知っておくと、理解度がぜんぜん違うし、実際に事例に当てはめて考えるときや迷ったときに指針にもなります。
大きく、どっちの方向を向けばいいのか、というのを示しているのが理念ってやつなんですね。そして「何のために作られた法律なのか?」が目的なので原点にかえるのに役立ちます。
理念も目的も、あなどっちゃいけませんよ〜。
個人情報保護法取り扱いの理念
じゃ、個人情報保護法の理念を見てみましょうか。
(基本理念)
第3条 個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取り扱いが図られなければならない。
わかりますか〜?
「個人の人格尊重の下に」。
個人情報を取り扱うにあたり、すべて「人としての尊厳」ありきです。
個人の人格を尊重するのが第一で、そこをしっかり守れるように個人情報を扱いましょう、個人情報を扱うときには、ちゃんとした手続きを踏んで、個人の権利利益を侵害することのないよう慎重に取り扱うべきだよ、って言ってます。
だから、ちゃーーんと個人を守った上で取り扱うことができるよう、取り扱いのルールを決めることが必要だよね、となります。
個人情報保護法の目的
つづいて目的。
個人情報に関する法律
(目的)
第1条この法律は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。
長くて細かいね。
でも頑張って!
今の社会では個人情報はとても有用で、なくてはならないもの。
でもそれにより個人の権利利益が侵害されてはならないし、ちゃんと保護しなくちゃいけない。
だから、ルールを決めて、それにのっとって個人情報を取り扱うことによって、個人情報を活用して社会が便利になったり、豊かになったりできるようにしようね!!
これは個人の権利利益を守るための法律だよ。
のようなことを言っています。
じぶんの権利利益は自ら守る
理念も目的も、個人の権利利益を保護しつつ、社会の発展に資するために有効に使えるよう、取り扱いを定めたよ。みんなちゃんと守って、お互いの権利利益を侵害しないように気をつけながら、扱っていこうな!!!って書いてるんです。
現実をみると、
「全然守られてないんだけどっ!!!」
「子供たちのためなんだからと言ってウヤムヤにされてる」
が横行しています。非常に残念ながら。
個人情報保護法に限らず、個人を尊重するとか言って、ぜんぜん守られていない、むしろ侵害されてるようなケースはあちこちで見られます。
現実はそんなんだからどうしようもないじゃないか、と諦めの気持ちを抱いてしまうかもしれませんが、自分の権利利益は誰かが守ってくれるのを期待して待つのではなく、自ら守るよう努力することがどんな場合でも大切なんです。
とはいえ、ひとりひとりはとても非力です。
だから、できるだけ効果的な方法を考えて選んで行動すること、間接的であっても意見表明して流れを作っていくことも大切です。
公立学校の個人情報保護の取り扱いの責務
先に書いたように、公立学校は各市町村の定めた「個人情報保護条例」の対象となります。各市町村のHPに記載があると思いますので探してみてください。
学校の教職員は、地方公共団体のうちの個人情報取扱い実施機関「教育委員会」の従事者となります。
市の条例も、他の保護法と同様、
- 個人情報を収集するときは、個人情報を取り扱う事務の目的を明確にし、当該目的を達成するために必要な最小限の範囲内で、適法かつ公正な手段により行わなければならない
- 実施機関は個人情報を収集するときには、個人から収集しなければならない
- 実施機関は個人情報を取り扱う事務の目的外に使用してはならない。また当該実施機関以外のものに提供してはならない
- 目的外使用、当該実施機関以外のものに提供する場合、次のいずれかに該当する場合はこの限りではない。「法令等に定めがあるとき」「本人の同意があるとき」「公知性の生じた個人情報であるとき」「個人の生命身体・財産の安全を守るため、緊急かつやむを得ないと認められるとき」「審議会の意見を聞いた上で公益上の必要その他相当の理由があると認められたとき」
- 実施機関は、個人情報を実施機関以外のものに提供する場合において必要であると認めるときは、提供を受けるものに対し、当該個人情報の使用目的もしくは使用方法の制限を付し、またはその適正な取り扱いについて必要な措置を講ずるよう求めるものとする (市の個人情報保護条例より抜粋)
としています。
これをできるだけ平易な言葉で、学校に置き換えると、
ということです。
市の業務の実施機関である教育委員会(学校)が、本人の同意なく第三者(PTA)へ個人情報を提供することは、審議会で相当の理由があると認められてい限り、基本的にナイです。
個人情報取扱事務の届出
さらに私の住む自治体では、業務に必要な個人情報の取り扱い事務を行うにあたって、あらかじめ、指定の項目について届け出なければなりません。(条例で定めています)
届けられた内容は、庁舎で自由に閲覧できるようになっています。
この届出は、「市(教育委員会含む)が行う業務をするにあたって、個人情報を取り扱う場合は市長に届け出なければならない」というものです。すでに届出が出ているものの変更や廃止をする場合にも届出が必要です。
個人情報取扱事務届出「以外」の取扱いついて
子校では、毎年「個人情報の取り扱いについて」というお手紙が配布されます。
個人情報を取り扱うにあたり、「目的を明確に提示しなければならない」からです。
こちらについても、過去何度も学校とやりとりをしてきました(悲)。
もうイヤんなっちゃうよね〜⤵︎
今回、個人情報取扱い事務の届出をしているもの「以外」の取扱いについて、市の個人情報の担当課へ問い合わせをしました。
実際に、「届出がされているもの」と「届出がされていないもの」があり、条例を見てもその違いがなんなのか分からなかったからです。
子校から配布されるお手紙には、個人情報の利用目的に、
- 学籍管理、学籍移動、クラス編成、証明書作成
- 健康診断等健康管理に関わる業務を行うため
- 成績管理等に関わる業務を行うため
- 給食費等徴収事務を行うため
- 就学援助事務、要保護準要保護関係事務、特別支援教育就学奨励費事務を行なうため
- 学校だより、学年だより、ホームページ等に各種大会での結果を掲載するため
- 学校からの連絡メールを利用するため(外部委託)
- PTA活動の運営のため
上記、1〜5については市の個人情報取り扱い事務に届け出てあります。
とありました。
わたしの質問は、
学校が業務を行うにあたって、市の定める条例にある個人情報取扱事務に届け出ているものとそうでないものとの違いは何なのか?
です。
問い合わせた個人情報保護の担当課の見解とひとまずの回答は、
- 学校業務上、取得する個人情報については「届出」の必要があると思われ、6,7(連絡メール・HP等)については学校業務に該当すると思われる。これがなぜ届出なく記載されているのかはこちらで確認させて欲しい。
- 8(PTAへの提供)については主体が学校であるとは言えない可能性があり、届出以外の取得については、審議会で認められていればありうるという可能性もなくはないが・・。この点に関しても、確認してみないと何とも言えないので私の方から担当課へ直接確認させてほしい
とのことでした。
次からは、こちらの回答も含め、実際に私が経験した「個人情報の取り扱い、これマズイっしょ」案件を書いていきます。
学校の不適切な個人情報の取り扱い実例①
実例1)学校から配布された「個人情報の取り扱いについて」というお手紙の中で、「使用目的」に「PTA活動のため」とあった。
▶︎ 学校が集めた個人情報を第三者(PTA)に提供する場合は、「本人の同意」が必要です。そもそも学校がPTA活動のために個人情報を集めるというのは目的にもなりえません。
仮にあり得るとしたら、学校運営に必要な業務をするにあたり、PTAへの情報提供をする必要がどうしてもあり、審議会で必要相当と認められた時です。
我が市の場合、審議会にも問うておらず、学校独自の判断でした。よって、学校が個人情報の取り扱いについて周知のために配布した手紙の中の「使用目的」に「PTA活動のため」と記載するのは、適切ではありません。
記載を削除するのが妥当、少なくとも別の文書で本人の同意を取ることが必要ですが、PTAの運営に必要な個人情報は、学校が取得する必要のないことです。
校長のサービス精神かなんか?
学校へ電話し、修正の上再配布を依頼しました。
学校の不適切な個人情報の取り扱い実例②
実例2)学校から「個人情報の取り扱いについて(再)」という手紙が配布された。
以前指摘して訂正をお願いした内容です。中身を見ると、指摘した「使用目的にPTA活動のため」が記載されたままで、管理監督を行うだのしっかり管理しますだの、PTA活動はこんな活動していますだのが追加されています。
▶︎ はぁ〜〜。実例①で電話で直接指摘させていただきましたが、まるで伝わっていません。 そして少し調べたのか、余計な言い訳文章を追加した、さらに意味不明なお手紙が届きました。なんなんでしょうか?
繰り返します。
学校が業務のために集めた個人情報を本人の同意なく第三者(PTA)提供はありえません。
管理監督責任は、本人の同意を得て第三者提供をしたあとに、また第三者提供をするにあたり発生するものです。
本人の同意を得ていないのに、「勝手に」第三者提供することはしてはいけませんし、管理監督するから第三者提供ができるということはありません。
PTAは学校の従事者でもありませんし、学校の業務を委託している事業者でもありません。
個人情報取扱機関は、確かに従業者および業務委託事業者への教育と監督をしなければなりませんが、・・もう一度言います。PTAは学校の従事者ではありません。
委託契約にしても、前提としてその委託は「学校が行う業務である」ということが挙げられます。
我が市に関しては、PTAの活動は「そもそも学校が主体で行う事業ではない」と判断されています。
そうでない自治体の学校であっても、「学校に必要な事業として委託契約がされているのか?」は確認ポイントです。
学校がPTAに代わり、学校に提出をした個人情報を本人に同意を得ることもせず、収集し提供することに、どんな「相当の根拠」があるのかってことを確認するんです。
ここは独自解釈する学校に問い合わせるのではなく、市としての公式見解を聞ける場所、できたらより学校側に寄って解釈をする部署よりは、個人情報の担当課がベターだと思います。
ムダに動くと疲れるわ!省エネ戦略よっ
再度学校へ電話し、PTAに関する記載を全削除で再々配布することになりました。
※教頭が変わるなどで引き継ぎもされておらず、このやり取りは以後2年繰り返しましたが、理解している印象はありません。今回、卒業してしまうので、個人情報の担当課と話しした時にこの件は話しておきました。市は実施機関への教育の義務がありますから。
PTAは、自らの活動に必要な個人情報は、自ら取得してください。
(↑まじコレに尽きる)
学校の不適切な個人情報の取り扱い実例③
実例3)入学する予定の中学から、入学説明会資料が配布された。その中に、学校徴収金の振替手続き依頼があったが、学校徴収金に第三者であるPTAと後援会の会費が含まれている。同説明書内にPTAからの文書もあり、「会費の納入をもって会員の資格を得るものとする」と記載がある。様々な疑問点があったので中学校へ確認。すると、今までの慣習でずっとこのやり方をやってきており、入会の意思確認をする予定は今の所ない、今までもなかったとの回答。
▶︎ 上記流れでPTAが「会費の納入をもって会員の資格を得る」としていて、入会の意思確認をしてこなかった経緯を考えると、学校に提供した個人情報を学校がPTAへ提供しない限り、PTAは誰が会員の資格を得たのかわからない状況なはずです。
ところが、どうも成立している。
WHY?
市の個人情報担当課とのやりとりの中で、この件について疑念があるとお伝えしました。市の内部の担当課同士で確認をしたいとなり、後日学校教育課から連絡がありました。
「ご指摘の通り、個人情報の点から言っても非常に問題で、当該中学校については問題のある取り扱いが確認できました。他の小中学校に関しても現在調査を開始しています。必要に応じて是正指導をしていきます」と報告されました。
「調査しました」「指導しました」で終わる可能性もありますので、その後の報告もお願いしていますし、タイミングをみてこちらからまた確認する予定です。
さて、次はPTAです。
PTAの個人情報保護の取り扱いの責務
PTAは民間の事業者にあたり、個人情報保護法の対象事業者です。
個人情報を扱う事業者は、その取り扱いについての義務があります。
PTAは、
- 個人情報の取得・利用
個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うにあたって「利用目的をできる限り特定しなければならない」としています。(個人情報保護法15条第1項)
また、特定した利用目的はあらかじめ公表しておくか、個人情報を取得する際に本人に通知する必要があります。
取得した個人情報は利用目的の範囲内で利用し、特定した範囲外で利用する場合はあらかじめ本人の同意が必要です。
また、要配慮個人情報を取得するときには、利用の特定、通知または公表のほか、あらかじめ本人の同意が必要です。- 適正な取得
個人情報取り扱い事業者は、偽りその他不正な手段により個人情報を取得してはならない。(17条)
個人情報取り扱い事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで要配慮個人情報を取得してはならない。- 個人データの安全管理措置
個人情報取扱事業者は、「個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置」を講じなければならないとしています。(第20条)
個人データの安全管理のために、組織は規定を策定するほか、規律に従った運用と整備、従業者への教育、物理的・技術的安全管理措置をあげています。- 個人データの第三者提供
個人情報取扱事業者は、取得した個人データを第三者に提供する場合は原則としてあらかじめ本人の同意を得る必要があります。(第23条第1項)
この場合の例外は、法令に基づく場合、人の生命・身体・財産の保護に必要な場合、公衆衛生・児童の健全育成に必要な場合、国の機関等法令の定める事務への協力、委託・事業継承・共同利用の場合です。
また、第三者へ提供した場合、第三者から提供を受けた場合、一定事項を記録する必要があります。(第25条、第26条)- 保有個人データの開示請求
個人情報取扱事業者は、本人から保有個人データの開示請求を受けたときは、原則として本人に対して保有個人データを開示しなければなりません。(28条)また、個人情報の取り扱いに関する苦情等には適切迅速に対応するよう務めなければなりません。
のあたりが運営上、個人情報を取得し利用する際の特に注意すべきポイントです。
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/kojinjouhou_handbook.pdf
(参考)個人情報保護委員会リーフレット(2022年4月改正版)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/APPI_handbook_for_company2022.pdf
こちらもシンプルに言いかえると、
- 個人情報を取り扱うなら、利用目的を具体的に特定してあらかじめ公表するか、取得する際に本人に通知せよ。あらかじめ特定した目的外に使うなら改めて本人の同意が必要だぞ。
- 個人情報取り扱うなら、安全に管理できるように対処せよ。規定を作るのはもちろんのこと、従業者の教育も、保管場所もしっかり用意しろよ、PCのアクセス制御や漏洩対策もよろしく!
- 個人情報は嘘ついたり不正な手段で取得したらいかんぞ。また、要配慮個人情報は本人の同意なく取得してはなんねーぞ。
- 第三者への提供は本人の同意が必要だぞ。例外規定はPTAにはほぼ当てはまらないからな。
- 要配慮個人情報っていうのは、個人に大きな不利益を与える恐れがあるぞ。取得するなら本人の同意を得るほか、その取り扱いには十分な配慮と注意をせよ。
- 本人から求めがあれば、すみやかに保有する個人データを開示せよ。
- 個人データの第三者提供をした場合、受けた場合は決められた内容を記録せよ。保存は3年だ。本人から開示請求来てから慌てんなよ。
ということです。
さらに、2022年4月の改正によりPTAに関わる内容としては、
- 安全管理措置の公表義務
- 漏洩等の事案が発生した場合、発生したおそれがある場合は個人情報保護委員会への報告と本人通知の義務化
- 保有個人データ利用の停止、消去、第三者提供の停止請求ができる理由が増えた
- 罰則規定の強化
というあたりです。
これ、もうすぐの話ですけど、PTA内で共有されてますかね?
いや〜、きっちり勉強してたらアンナコトしないよねー
また、個人情報取り扱い事業者は、以下の点について、HPや事業所への掲示などで「本人が知りうる状態に置く必要がある」とされています。
- 個人情報取扱事業者の氏名または名称および住所
- 全ての保有個人データの利用目的
- 保有個人データの利用目的の通知の求め、または開示等の請求手続き
- 全ての保有個人データの安全のために講じた措置
- 保有個人データの取り扱いに関する苦情の申し出先
現在、子どもが通っていた小学校のPTAはHP上でわかりにくいところに個人情報の取り扱いについて置いています。中学に至ってはまったく見当たりません。
また、小学校PTAについても、内容は不十分と言わざるを得ないです。まったく連絡先の記載もありませんし。きっと改正後に合わせて更新するんでしょう(嫌味)。
全国的に、入会の意思確認をしないで成立している実態
これは全国規模で個人情報をダメダメな取り扱いをしていると言える原因となっている事象なんですが、全国的にPTAは「入会の意思確認をしない」ところが多いようです。
全国的な調査が行われたわけではありませんが、いくつかデータがあります。
2017年8月に東京都小学校PTA協議会が行った実態調査では、加入が任意であることを説明しているPTAが62%、していないPTAが34%だったそうです。
加入が任意であることを説明するしないが、ただちに「入会の意思確認を行っていない」「学校から個人情報の提供を受けている」とは言えませんが、下の2020年8月に行われたアンケートでは、82団体中16団体が入会の意思確認をしていないと答えています。
教えてアンケート「1年生のPTA加入について」結果報告 - 一般社団法人 東京都小学校PTA協議会
逆に言うと、66校はなんらかの意思確認をしているじゃないかと思いそうですが、よくよく読んでみると改めて説得を試みていたり、入会が100%だったり、圧力が働いている可能性は排除できず、実態を反映しているとは素直に言えない内容です。
実際に意思確認をしないで、どうすれば入会が成立して個人情報を収集できるのでしょう?会費を集めるのも同様です。
任意加入のはずが…入学前にPTA会費の全員徴収「意向聞く前の集金は理解できない」|総合|神戸新聞NEXT
こちらの記事では神戸市が2020年8月に行った調査として、学校園の7割が入会の意思確認をしていないと書かれています。
鳥取県PTA協議会の調査です。
調査研究報告・講演会開催報告|鳥取県PTA協議会|PTA協議会|鳥取県|小学校|中学校|郡市連合会
HP上はH27年度、資料は26年度となっている謎はありますが、「H27年度PTA活動実態調査」によると、「任意加入を周知しているか」という問いに対して、「はい」が47.6%、「いいえ」が49.2%となっています。
任意加入を周知してないの理由として、「原則全員加入」「自動入会が慣例になっている(問題になっていない)」「周知した時の対処方法が確立していない」「加入減となり組織運営に困難が予想される」となっています。
これらのことから、鳥取県PTA協議会に属するPTAが「任意加入を周知しない」のは、知りながら「敢えて」説明していない意図があることが伺えます。
どこのPTAも、任意加入であることを周知し徹底することは、「できることならしたくない」ことなんでしょう。
こういった背景をもとに、保護者は学校へ提出した個人情報を自動的にPTAに提供されるがゆえ、「入らざるを得ない」状況を生み出されていると言えるのです。
学校は、保護者個人の権利利益を守るどころか、個人情報を本人の同意なく第三者であるPTAへ提供し、それを享受しているPTAとともに、保護者個人に圧力をかける構造に加担しているんですよね。
学校もPTAも、子ども達のためであれば、社会に貢献的な良い活動だから、という類の理由で個人の権利利益を侵害してもやむなしというお考えなのかもしれません。
超個人的な主観に過ぎませんけどね。
こういう独自理論で個人情報を使っちゃう事業者がいるから、個人を守るためにルール決めてるんですよ!!!
さ、では気を取り直して、PTAのヤバい取り扱い、実例編です。
実例①PTAの個人情報保護法違反
実例1)入学式。幼稚園の入り口に、新入園児のクラス発表の名簿が掲示されました。それを名簿作成のためにPTAが写真を撮っています。
▶︎ どうしますか?ツッコミます?明らかな不正取得です。
PTA側の事情を聞くと、そのタイミングでクラス分けされた名簿を手に入れて作業を開始しないとそのあとに控える大量の作業が間に合いませんし進みません。
でもこれはPTA側の都合に過ぎません。これは実際にあった出来事です。しかもその後、正式に園から名簿を受け取っています。園は保護者に同意なんて取っていません。
実例②PTAの個人情報保護法違反
実例2)PTA会費を集金する時期となりました。PTA会費は世帯ごとだったので、兄弟関係を含めて名簿のチェックと準備が必要です。ところが入会届のような申込書類を書いてもらっていないので、名簿の作成ができません。教頭先生にお願いすると、兄弟関係を含めたクラスごとの名簿を渡してくれたので、それを使って確認しながら集金しました。
▶︎ だろうと思っていました。こちらは教頭先生自らがうっかり私に話してしまったケースです。個人情報の取り扱いについて、理解していない様子だったので「してはいけないこと」がわからなかったのでしょう。
分かっていようが分かっていなかろうが、知りませんけど。
このケースの場合、学校は第三者提供をしていますし、本人の同意も得ていませんから明らかに「個人情報保護条例」違反です。また、第三者(学校)から提供を受けたPTA側も、学校が取得した経緯を確認する義務がありますし、学校も取得の経緯を偽りなく提示しなければなりません(第26条)。
今回のケースでPTAに関していうと、第三者(学校)から提供を受けるにあたり、適正に取得された情報であることの確認(本人の同意を得ていない)を怠ったとなりますし、そもそも適正に個人情報を収集していません(17条)
今回は取得した経緯を確認する作業により目的外使用である、または第三者提供であることが明らかになるはずで、不適切な使用であることを認識した上で互いに個人情報を不正に取り扱ったことになります。
実例③PTAの個人情報保護法違反
実例3)PTAの役員決めをするにあたって、保護者全員に集まってもらった。なかなか決まらず、くじ引きで決めることにしたが、どうしても役員はできないという人がいる。一方で全員がくじ引きの対象でないのは不公平だという声もあがった。
仕方がないので、みんなの前で「できない理由」を話してもらい、みんなが納得したらくじに参加しなくていいということにして、みんなの前で「できない理由」を話してもらった。
▶︎ 悲しいPTAあるあるです。
個人情報保護法では、「要配慮個人情報」という枠組みがあります。
保護法に定める「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実、身体障害・知的障害・精神障害その他規則で定める心身の機能の障害、その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないように、その取り扱いに特に配慮が必要な個人情報をさします。
要配慮個人情報は、個人情報の取り扱いの中でも特にナーバスな、とても注意が必要な情報です。安易に扱えば、多大な不利益を与えてしまうかもしれません。取り返しがつかないことです。
そこが・・人としてもとても悲しいことですが、不公平感を減らすために(たったそれだけのために!)、いともカンタンに、多くの保護者の面前で晒さなければならないことが起こっている・・。
止める人がいないどころか、当然の儀式となっていたりして、目も当てられません。
そもそも個人情報を適正に取り扱っているとは言えない団体で、「止むを得ず」要配慮個人情報を知らせた保護者に不利益が生じないよう、配慮し安全に保護できるなんてことは信じられません。
「人の口に戸は立てられないからね〜」とかいうレベルの問題じゃないんですよ。人の人生がかかってるんですよ。
今後、学校・PTAに求められること
先ほども少し触れましたが、2022年4月に個人情報保護法が改正されます。
ちなみに保護法は社会の変化に対応するため、3年おきに改正されます。
今までにすでに定められている保護法の遵守はもちろんのこと、新設された条項や強化された条項についても、個人情報を取り扱う限り、対応していかなければなりません。
たとえ、毎年のように入れ替わるPTAであったとしても、です。
3年おきに改正される法律と、素人集団のPTA、しかも人が毎年入れ替わるような団体が付き合っていくには、法律とまともに向き合うことです。
個人的な独自解釈を続けていても、代を追うごとにオカシクなっていくのは、もう十分経験したじゃないですか。こんな大事なコトに伝言ゲームはいらないんです。
学校も、従業者への教育を徹底すべきです。
条例に違反して、保護法に違反することに加担するなんて最悪です。
そこまでして学校に提出した個人情報をPTAに提供したいなら、最後まで責任持ってもらいましょうか。学校だけでなく、市にも。PTAで揉めても、重大な不利益を生じさせても、「任意団体だから・・」で逃げられないように。
ふぅ、落ち着け私。
今のところ、私の観測範囲では「法律をなんとか自分たちの都合の良いように解釈することに必死」なケースが見受けられます。
こんなやり方ではいつか破綻します。
自分たちの代は何とかなっても、いつか誰かを追い詰めます。
PTA活動に賛同して活動したいと思ってくれる保護者に、違反しなければ成立しない状況のまま引き継ぎ、そうなっているとは知らずに引き受けてくれた保護者に負わせますか?
教育のためには法を犯してもいいという姿勢は、どんな教育になりますか?
個人情報の取り扱いが適正に行えるよう勉強を
現在、PTAがどのように研修を受けているのかは関知していませんが、教えてくれなかったから分からなかったとは通用しません。
保護法でも、個人情報取扱事業者は、従業者に対して個人情報が安全に管理できるよう教育を実施することや監督することが求められています。
また、学校も市の管轄であれば市が教育研修を行なっていると思われますが、実態がこれでは到底目的を達成できていないということになります。
法律の内容、ガイドラインもリーフレットは、公表されていますので誰でも見ることができます。
- 個人情報保護法(R2.12.12時点)
- 各自治体の個人情報保護条例(各自治体HP)
- 個人情報の取り扱いガイドライン(通則編)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/210101_guidlines01.pdf - 民間事業者向け個人情報保護法ハンドブック
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/APPI_handbook_for_company2022.pdf
- はじめての個人情報保護法〜シンプルレッスン
また、不安を感じる場合は市の個人情報取り扱い担当課へ相談することもおススメします。力になってくれるはずです。
PTAが早急に講じなければならないこと
そもそもの個人情報保護法の理解、取り扱いの理解はもちろんですが、取り扱いルールにのっとって整えなければならないこともありますし、2022年4月に改正された内容に応じた措置もしなければなりません。
一応、書いておきますけど、
個人情報を取り扱う以上、避けて通れません。
「会員に理解されるかどうか・・」という次元の話ではありません。
どうしても無理だと考えるなら、いっそ、個人情報を取り扱わなくていい方法を模索する方向にシフトすべきでしょう。
何も対策をしていないPTAが個人情報を取り扱う上でやるべきことは、以下です。
- 責任の所在を明確にし、公表する
- 個人情報を収集して利用する目的を具体的に明確にする
- 個人情報を利用する目的をHP等、誰でも見ることができるよう公表する
- 個人情報を適正に集める方法を考え実施する(半ば強制なものも改める)
- 個人情報の適正な管理方法について具体的に決めて公表する(気をつけます程度のお気持ちじゃ話にならない)
- 組織内で適正な取り扱いができるような教育制度、マニュアルの作成
- 開示請求・苦情に対応する窓口の設置と公表
- 万が一漏洩した場合の体制づくりと周知徹底
こちらも念のため記載しておきますが、個人情報を収集する際も、同意を取る場合も、判断する側が、「容易に知ることができる状況」「判断できるだけの合理的で適切な材料」を提示しなければなりません。
こちらはガイドラインに明確に書かれています。
個人情報保護法では、公表や通知、同意などについて、
- わかりやすい場所に
- 本人が容易に認識できるように
- 合理的で適切な説明
を事業者側が努力して行うこと、としています。
わかりにくいところにこっそり掲示していたり、錯誤を与えるような説明、本人が誤認・認識できないような表示、通知、公表は、適切と判断されません。
「(わかりにくいところにヒッソリとだけど)一応お知らせしたよ。本人が誤解してしまうのは、もうこちらとしはどうしようもないよね」
は通用しません。
この辺りのことを考えると、個人情報の取り扱いについて適切に扱うことはもちろんのこと、PTAは活動内容をしっかり説明し、誤認されないように最大限注意を払いながら、純粋に本人の賛同と同意を得て、個人情報を取得するという段取りが必要になってきます。
結局、誠意ある説明と本人の意思確認をする手続きが必要なんだよ
学校の従業者への教育
先述しましたが、学校従業者へ教育を行なっていたとしても、実務に生かせていなければ意味がありません。
それどころか、誤用とも言える実態があります。
公務員であるはずの学校関係者が、みずから法令を無視し、あるいは理解せずに間違った運用をすることによって、市民の権利利益を害しているということは、「遺憾」とか言ってる場合じゃないんです。
誠に遺憾です!
市民の信頼を失墜させる行為で、当事者が失うものも大きいでしょうが、将来的に市の業務を円滑に執行する妨げになってしまうでしょう。
地方公共団体は、個人情報の保護が適切に確保できるよう、実施機関への教育ほか、必要な措置を講ずる義務があります。区域内の事業者に対しても、必要な支援をすることが定められています。
また、国は地方公共団体が適切な策定や取り扱いができるよう支援するよう定めてられています。
市民の責務
最後に、市民の責務です。
うちの市の個人情報保護条例では、
市民は、個人情報の保護の重要性を認識し、自己を本人とする個人情報の保護に自ら努めるとともに、他人の個人情報の取り扱いにあたっては、その権利利益を侵害しないように努めなければならない。
としています。
”自己を本人とする個人情報の保護に自ら努める“とともに、”他人の個人情報の取り扱いにあたっては、その権利利益を侵害しないように努めなければならない。”
個人情報の保護は、その目的や取り扱いのルール、罰則まで法律で規定し、個人を保護していますが、本人がみずから保護することも怠っちゃいけないよ、他人の権利利益も害しないように努めなきゃいけないよ、って言ってます。
誰かが代わりにやってくれることを待っていると、どんどん持ってかれますよ。
自分の権利利益を害されているな、と思ったら、自ら動くことです。
私たちはすでに手放しすぎたんです。
おわりに
ふー。長くなりました。
私は、どこにでもいそうな、少し変わったところがあるだけのお母さんです。
法律も教育も専門家でもなく、子どもを育てる過程で出会ったものたちについて、考え勉強していくうちに、今の状況になっています。
子どもを授かり、成長にしたがって幼稚園や小学校に通い始めると、おかしな仕組みが待ち構えていて、巻き込まれていきました。
ただ、普通に、学校へ通わせたいだけなのに。
仕組み、構造としておかしいことに加え、「親として」「親なんだから」「お世話になってるんだから」「子どものために」と誰かが作った物語に、勝手に役割を与えられ、その小さな世界に住むことを強要されるのも、嫌です。
個人的な恨みを原動力に、これらを勉強してきました。
また、一人の人間として非力であることを認識して、効果的に動くことも学びました。
より効果的に動くためにさらに勉強しました。
今回は、この勉強の経過の中で、市の個人情報の担当課の方と話す機会があり、結果的に「市内小中学校全て」を対象に、学校がPTAへ本人の同意を得ずに個人情報を提供している件について調査、是正指導が入ることになりました。
付随して、学校徴収金にPTA会費や後援会費が含まれている学校事務の取り扱いや、PTAが適切に個人情報を取得していない件についても、上記内容と同じく調査・是正指導を行うとのことです。
今までの経過を考えると、ここで終わりとはならないんじゃないかと思ってしまうのですが、ひとつ進んだな、とは思います。
私が実際に見てきた事柄を通して法律を独学で理解していますので、もしかしたら偏りなり間違いなりあるかもしれません。
実際の事例に対する解釈や、例えばどこまでを学校業務に位置付けるかなどに対しての市としての判断、考えは微妙に違う可能性もあります。何かしら判断が入るような事柄については役所に確認してしまうのが早く確実です。
まずはその前段階としての理解に、多少は役立つかなと思います。
PTAや学校の取り扱いにおかしいな?と思っている方や、これからPTA活動をするにあたり勉強しておきたい方、私のように自分の権利利益を守るために行動しようとしている方のために、自分の理解していることを事例を交えてわかりやすくして、共有したいと思って書きました。
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むやみに感情だけで動くと傷つきます。
しっかり防具を整えて、省エネで戦略的にいきましょう。
中にいる人も、外にいる人も、これからも人も、
どうか、自分を大事に。
あ、校長センセ?
今は試験問題集にも載ってることなんですねぇ!
校長・教頭・教育管理職試験問題集。 pic.twitter.com/VO1y3WLWh8
— ぽにこ🏕 (@ponikox) 2023年2月15日
☆PTAについて、より理解を深めたい方にオススメ↓3冊☆
知識が助けてくれるよ!
☆学校にかかる保護者負担のお金について理解を深めたい方は↓
ではでは。
ぽにこ
[rakuten:book:20884129:detail]
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